流れ上,E3関係はこちらの一連のやり取りにまとまってます. http://mixi.jp/view_diary.pl?id=131383513&owner_id=21545 (マイミクさんしか見れません) いまさらWiiのコントローラでは驚かないのですが,エンタテイメント系インタフェース野郎は応援しなければなりません. それはそうとE3ですが,GDC(Game Developer Conference)に比べてパブリッシャーより,ゲーム雑誌編集者向き,ゲーム消費者向きのイベントと言われています. なのであまり技術的に「すげーなー!」というような発表は目立ってきません,ただし一般や雑誌向けに絵的にすげーものを発表してたりすることもあります. その典型. http://www.youtube.com/watch?v=3zQSWOTS3Gw&dpos=0 バスケットボールなどの動きの速いスポーツをゲームにするということは「いかに人体のすばやいアニメーション生成が必要になるか」という課題を理解するよい例ですよね. 視点,首の動的アニメ,ちょっとした布アニメーション,などなど. 一つ一つの技術は大きいものではないですし,PS2時代から語られていた技術ですが,絵にするとわかりやすいです. 「これが製品になったらさぞかしすごいんだろうなあ」 …と発売前の消費者や揮発性メモリなライターさんは思うわけです. しかし,EAというのは不思議な会社で,同じようにFIFA01とかで,業界に「歯までモデリングしてるよ,PS2で!!」とか言わせていたのに,FIFA06になっても同じ,いやそれ以下かもしれないクオリティでゲームを作っていたりするのが驚きです. すごいゲームを作るとの,売れるゲーム,儲かるゲームを作るのはまったく別の話で,それは同じ大会社の中でもおきたりする,といういい例ですね. まあそれはそうと,エンタテイメント系の技術者は,上のURLにあるEAの派手なプレゼンは見ておいたほうがいいと思います. 技術的にも,パフォーマンス的にも. Wiiのコントローラなどにも思うところですが,コンシューマエレクトロニクス,コンシューマゲーム機の世界の恐ろしいところは,発売前は「スゲー!(みずしな風)」なのですが,発売後は「きっとできるんだろう,うんうん」という『一般化・凡化』してしまうということですね. しかも論文化や技術のオープン化がされているわけではないので,Wiiのコントローラがいかに流行ろうとも,プラットフォームとそのユーザ,その開発者を超えた域では何の利益も享受できないのが痛いところです. もちろん「バックアップ活用テクニック」なハッカーが,発売日にWiiを分解し,中を解析・公開してくれることでしょう.非公式サードパーティがあっというまに非ライセンスなコピー版Wiiインタフェースを発売することでしょう. しかし公式のUI開発用のSDKはやはりNDAの内側ですし,仮に血の滲むようなハッキングの果てに,誰もが使えるWiiコントローラのSDKなど公開しても,陽のささない裏街道になってしまうことは変わらないでしょう.まあこれは定石化した現象というだけで,これから変わるかもしれないんですが,PS2でLinux出しても,みんながそこを開発プラットフォームにするというわけではないわけで(インストール数が少なすぎる上に,使用に価格や技術的な障壁をともなう,という話もありますが). 基本的にコンシューマゲーム機での開発というのは,PCに比べて,苦痛を伴うフェチッシュでサドスティックなものであるということは否定できないと思います. XBox360と「PS3はPC化への道」を選んだようですが,Wiiは明らかにその方向とは逆を向きました.プラットフォームメーカとしてはそれぞれよい選択だと思います,ただし絶対に成功する必要があります. 残念なことに私はどのプラットフォームもライセンスを持った開発者ではないのですが,研究者の視点から,いろいろ応援していきたいと思います.