今年もSession Chairを担当させていただいております 国際VRデモコンペティション「Laval Virtual ReVolution」の 結果が発表されました! http://www.laval-virtual.org/revolution/ 採択クラスには「Invited」と「Welcome」の2種があり、招待になると Welcomeで提供されるブーススペースに加えて、渡航費・滞在費・懇親会などが 提供されるのが特徴です。 公式サイトはこちら。 http://www.laval-virtual.org/revolution/index.php?option=com_content&task=view&id=47&Itemid=66 Accepted Class “Invited” * YOTARO, University of Tsukuba * LevelHead, N/A * Copycat Hand for All, University of Tsukuba * Space Trash, Institute of Graphics and Paralell Processing, JKU, Linz Accepted Class “Welcome” * Babbage Cabbage, Mixed Reality Lab, National University of Singapore * Thermotaxis, Yonakani * Musical “gugugugu” and “A~”, Otobane Project * LightTwist, Laboratoire Vision3D * La fleche de l’odeur, Kanawaza Technical College * Catopsys project, University of Auvergne * BrickLayer, Kyoto University * Joystick everywhere, University of Tsukuba * Scoop-and-Release, Tama University * Good-bye feet!, University of Tokyo and Tokyo University of the Arts * Surrounding of Firefly, The University of Electro-Communications * Laval VRchive, Tokyo Metropoilitan University / Photon, Inc 今年はかなり幅広い種類の投稿があり、 選考は非常に難航しました。 参加していただいたプロジェクト各位には この場をかりて御礼申し上げます。 今後の業界の振興も考えて、 今年の採択のポイントを2点紹介しておきます。 まずは「魅力的かつ革新的なデモの提案」、これが最も大切です。 ReVolutionは”VRの歴史に革命を与えるプロジェクト”を探しています。 そして「完成度の高さ」つまり「未完成でないか」という点。 これは既に発表を行っている作品は有利ではあります。 (そのために”新作であること”という縛りはありません) 以上の2点が最大の議論のポイントになりました。 他に、毎年の評価点としては、 学会発表論文とは違った視点で映像や説明資料を準備し、 一般向けのデモに仕上がっているか、特にLaval Virtualに向けて どのようなデモを行うかを少しでも考えているか、 というあたりが評価されています。 なおIVRCや他のアートフェスティバル受賞作品であっても、 グランプリ受賞=Invitedとはなりません。 逆に佳作や審査員奨励作品が高い評価を受けることも多々あります。 また今年はビデオや作文中に子供の映像を使っている場合は 被験者の感覚、肖像権の扱いについても配慮があるか、 といった点もある程度評価しています。 例えば作品の体験を通して “楽しさ”や”自然な体験”をコンセプトにしているのに ビデオでの子供たちの表情が困惑したものであったりすると 評価を下げているケースがありました。 一般向け展示における子供の表情は大人と違って素直で読み取りやすく、 かつサンプル数と効果が十分であれば、 ネガティブな映像よりもポジティブの映像が多くなるだろう、という判断です。 逆に、一般公開での記録において、 体験者の生き生きとした表情や動き、 待ち列の子供たちの視線や表情などにも配慮しつつ、 かつプライバシーや肖像権に配慮した記述や処理を少しでも 行っているような投稿はプラスの評価を得ました。 ところで工学分野ではあまり気にされることがないようですが、 近年の科学の分野ではヘルシンキ宣言による被験者への インフォームドコンセントは必須になりつつありますし、 情報分野でも「安全安心」は基幹テーマになりつつあります。 このような要素への配慮が展示物の開発においても 重要になってくる可能性があるでしょう。 さて、Invitedで採択されたプロジェクトについても少し。 今年のInvited採択はプロジェクト数も招聘人数的にも 例年に比べ多く選ばれています。 一方で「残念ながらWelcome採択」というプロジェクトも、 毎年非常に多いという点も事実です。 今後参加される方のためのヒントを記しておきますと Invitedで採択されるプロジェクトはそのプロジェクトの 他の同様なプロジェクトを大きく超える”インパクト”に加え、 「機材・物品・人員などの規模が明確に示されているか」 という点が大きく影響します。 「輸送費用は負担しない」という条件が既に設定されている中で 大規模な作品で大人数のプロジェクトを Invitedで採択するにはそれなりの理由とリアリティが必要になります。 そのような条件を見越して、どのようなコストがどう発生するかを きちんと「自腹で払うつもりで見積もっているか」が 重要なポイントになりました。 「Invitedで採択されたら嬉しいです、Welcomeなら無理」 というメッセージを書くプロジェクトが大量にある中で、 「もしInvitedで採択されたら何名がどのように参加し、輸送はこうします」 といった情報が記載されているプロジェクトは相対的に評価が高くなります。 もちろんその情報が見積もられている中で、 技術面の評価者だけでなく、市民参加のイベントである意味もあり、 コストと効果が最も大きい作品がこの4作品であった、 ということになります。 さて、講評だけでなくよい話も2つほど。 まず採択された方もそうでない方も、 今すぐ「Award」に登録してください。 特に当日ReVolutionで発表を行うプロジェクトは 審査員に直接評価されるチャンスがありますので、 受賞のチャンスが高まります。 参考までに去年の受賞作品リスト↓ http://www.laval-virtual.org/index.php?option=com_content&task=view&id=127&Itemid=218 そして、今年は大きな変更点。 国際会議「VRIC」のプロシーディングに ReVolution作品も掲載されることになりました! これは学術成果としてカウントできますので、研究者にとっては大きいです。 追って事務局から連絡が行きますが、 執筆フォーマットは以下のVRICのフォーマットに従うことになります。 http://www.laval-virtual.org/index.php?option=com_content&task=view&id=118&Itemid=210 以上、日本人むけのちょっと為になる話でした。 日本からの作品はその作品の質や完成度に於いて、 非常に期待されています。 これからも、VRの歴史を変革する、すばらしい作品が 世界のステージに立つための応援ができれば、 と考えています。