マイクロソフトのOfficeはWindows Vistaのリリース遅延に併せて発売が遅れたみたいだけど、アップデートされてもメチャ高いソフトを買わされた上に、余計な機能盛りだくさんでPCが遅くなるという副作用は相変わらずであることが予想できるので、これから徐々にMS Office離れをはじめて行こうと思う。 それというのも論文は基本的にTeXで書くものだし、仕事上、仏語のOfficeと日本語のOfficeを使いこなさねばならない。できればスペルチェッカは英語辞書も欲しい。しかし、OfficeXP仏語版をインストールしたとたん、メニュー類が全て仏語になってしまい、とても不便な環境になってしまった(直せるみたいなんだが、切り替えはCDROMをいちいち準備する必要があり容易で無い)。 そんなところにOpenOfficeの新バージョン2.0.2が正式リリースになりました。 前々からちょっと試してはいたのだけど、Officeにいままでかなり注ぎ込んできた手前上、十分余りある機能もしくは利点が無い限り乗り換える気はなかったのですが、今回はなんと日本語環境サポートだけでなく、CDROMブートも可能ということで、早速試してみました。 http://www.geocities.jp/yo_take_uchi/OOo/CDBootOOo.html 普通はCDROMを焼いて利用するようなのですが、OfficeソフトのためにCDROMドライブを占有する気は無いので、DaemonCDでマウントしてみました。HDDにおいてあるisoファイルからの起動は全く問題ない速度。さらに1GBのコンパクトフラッシュ(遅い)から起動してみましたが、これも普通に我慢できる速度です。というか、最近のOfficeも普通に遅いので。 さらに言うとWriter(=Word)の書き味が非常によいです。昨今のOfficeXPなどはIMEがゴテゴテになったおかげで、書き味、特にレスポンスや変換アルゴリズムが不満だったのですが、Office2000以上の書き味を体験している感じです。特にスペルチェッカや文法チェッカがウザくありません。ユーザエクスペリエンスが開発側にフィードバックされている結果でしょうか。Office特有の独特のキーバインドもないし、素のテキストエディタより便利な感じがしますし、なにより不測のクラッシュなどが(ほぼ)無いのが意外です(今のところ)。書き味としてはMacWriteとかクラリスワークスのような感覚さえありますね、抽象的ですが。 気になる機能互換ですが、少なくともWordで普通に文書を書く上では特に問題は無いようです。マクロに関してはあまり期待できません(クラッシュしました、まあ自動復旧機能でキレイに治りましたが…)。しかし論文でマクロを使う環境なんて、LNCSを採用している高額な国際会議だけといっても過言ではないので、しばらく付き合ってみることにします。 Calc(=Excel)についてもカラーや書式、コメント挿入にいたるまで、使う機能はほぼ再現されているようです。少なくともエクセル書類を開いて閲覧する環境が、無料で手に入るのは助かります。 プレゼンテーションソフトImpress(=PowerPoint)はOfficeXP的なUIで、ウィザードまでついています。さすがに「カーネギーのアドバイス」と書いているわけではありませんが、骨子はすぐに出来上がります。追加のアートワークをインストールしていませんが、ベジェ曲線ツールも揃っているので私的には不満は無いですね。でかいプレゼンで試していませんが、ビデオの挿入などもPowerPointと比べて遜色なく利用できるのは驚きです。 Access風味のオリジナルデータベースツール「Base」ですが、機能的にはまだまだ不十分かもしれませんが、エンドユーザUIとしてはもしかするとよいソリューションになるかもしれません。データベースエンジンとしてはJREを使うこともできるようですが、AccessのMDB形式だけを念頭においているのではなく、ODBC経由などさまざまなデータベースインタフェースを提供しているようです。逆を言えば、Accessベースで作った業務アプリを今まではしちめんどくさい方法(Accessを隠蔽する形でVBAとして利用する)で開発・運用していたわけですが、OpenOfficeの採用で、無料でエンタプライズ級のDBエンジンやらMySQLなどのフリーのDBエンジン、Webインタフェースとの連携が図れるということになります。このへんの選択可能性を備えたエンドユーザ・データベース環境が無料で提供されているというのは高く評価できます。 他にも数式エディタ「Math」とStarDrawからの流れを継ぐオリジナルの図形描画ソフト「Draw」がありますが、これはまた今度の機会にでも。