現在、ベルギー、ブリュッセルにて欧州のゲーム関連カンファレンスに参加しています。 ヨーロッパ圏内でこの手のカンファレンスが開催されることはそれほど珍しいことではないのですが、特にCORDISというEC圏のIT関連共同プロジェクトの主催のシンポジウムであるのが参加の決め手でした。 詳細はこちら “Game development technologies and networking” http://cordis.europa.eu.int/ist/audiovisual/neweve/e/ws050406/ws050406.htm そもそも、CORDISがこんなテーマを採択していること自体が驚きでもあるのですが、メインのテーマは「Network and Communication Technologies」のようです。しかし、会場にはかなり 幅広くのエンタテイメント業界関係者、IT業界、通信業界、学術系研究者が参加していました。 参加費無料、セッションもGDCのようなパラレルではありませんし、カンファレンスの規模としてはちょうどよいと思いました。 ちなみに会場には日本人はおろか、アジア人は私しかいませんでした。 以下、いかつか面白かったものを抜粋して紹介します。 オーストリア、ウィーンの「Sproing」というスタジオのHarald氏  「Sproing」は、PC ,Console , Online gambling ,Interactive Tvなどで10年以上の経験がある会社。冒頭ではPCとコンシューマゲームプラットフォームの違いについて、ある種常識、ある種、必須の見解をまとめていました。 (引用)欧州ではPC市場はコンソール市場よりも大きいが、米国市場ではPCは徐々に縮小傾向。コンソールについては欧州には、Sony, Microsoft and Nintendoといったプラットフォームフォルダが いない。つまり、欧州は開発機材を最後に受け取る土地ということだ。コンソールのよさは、プラットフォームフォルダが、コンシューマ(消費者)に対して強いアピールをして、保護されつつ、成長のある、統一市場をを巨額の投資をして作り出してくれるということだ。競争はより緩く、小売価格は安定している。消費者向けのテクニカルサポートは必要なく、全てのPS2においてコンパチビリティが保たれている。(引用終わり) 続けて、開発環境について、マルチプラットフォームの重要性を主張していました。 (引用)なぜ、マルチプラットフォームが必要か。開発コストと、顧客の期待は高まる一方、1プラットフォームで投資を回収するのは難しい。マルチプラットフォームを実現するには異なるアーキテクチャで動き、その詳細を隠蔽する役割がミドルウェアに求められる。ミドルウェアは絶対的な鍵になる。インハウスR&Dによって開発されるのが最善であり、デベロッパによって価値が付加される。中小企業は彼らのミドルウェアを全てのプラットフォームで動くよう面倒を見ることはできない。最も強大なミドルウェアプロバイダであったクライテリオン・レンダウェア(RenderWare,Criterion)は世界最大のパブリッシャであるEA(Electronic Arts)に買われてしまった。小規模な欧州ミドルウェアプロバイダの みが存在するが、最重要顧客はUSであり、高価。つまり導入時の障壁がある。(引用終わり) その後、3D、Physics、AI、Animation、Audioなどのミドルウェア、CriterionのToolsやプロダクションパイプラインツールなどの紹介を行なった。まとめとして、(引用)開発者は開発期間中にマルチプラットフォームを管理する必要が出てきている、またプラットフォームホルダーの異なるプロセスをまかなう必要がある。ミドルウェアは、高度なR&D投資が必要であり、クラス分けと受容がヨーロッパのゲームR&Dにおける課題と言える。高度なスキルと特化したスタッフによって提供される特殊教育プログラムが強化されるべきで、ゲーム開発者には時に学卒、修士卒、博士卒といった高等教育レベルが要求される。(これらの取り組みは)最重要のエンジニアリング課題であり、マルチプラットフォームをサポートする、ミドルウェア、ツール、R&Dサポートなど、既に存在するEU構造を活用すべきだ。欧州はゲーム業界における世界の牽引役になるべきである。(引用終わり)と締めくくった。