フランス人の見た日本(3):食事編。 ひきつづきバレリー観察日記をつけてみる。 今回は食事に関連して気がついた点。 ・ペットボトルのお茶  何でこんなに飲料があるのか疑問に思っているかもしれない。  一番判りやすいのは「いえもん」さんである。  どこかに「GREEN TEA」と書いておいて欲しい。 ・オニギリ  コンビニのオニギリは非常に興味を持って接していた。  ただ、完全に日本語で書いてあるので、何がどんな味であるのか、  中身が見えない恐怖の食べ物であることは間違いなかった。  ウニむすびがなぜ高価なのか説明するのはほぼ無理だった。  ツナマヨネーズは選ばれなかった、おそらく普段から不味いツナを食べているのかも。  天麩羅は既に味を覚えていたらしく、天むすは大ヒットであった。  昆布はどうだったんだろう、そもそも昆布はブレトン人(西フランスのイギリスと同系人種)しか食べないように思う。  なお、ドゥロショー教授やテクノポールのディレクター、ギはブレトン出身であり、  身長も高く、生魚や若布や日本酒大好き、という日本食に相性のよい人々である。 ・焼肉  「焼肉のさかい」というのは実は岐阜県各務原市に本店があるのだそうな。  タクシーの運転手に聞いてはじめて気がついたが、確かに宿のド近所に本社というものがある。  で、最寄の焼肉のさかいで他の先生方と一緒に始めての日本で会食してみる。  バレリーは学生さんと同じ席になったので細かいリアクションは観察できていないが、  シモンについて言えば最初は「何で日本で牛肉」という感じであったのだが、  一口食べたらその鮮烈な味わいにかなり上機嫌であった。  ただ生魚や味のきついもの、辛すぎるものなどはダメとみた。  ぜひフランスで焼肉屋をやるべきだ、と言っていたところを見ると相当気に入ったと思われる。  なお焼肉をフランス人に紹介するときは「バーベキュー・ジャポネ」が美味しそうに聞こえる。  韓国がルーツであることは食べ初めて聞かれたら教えてあげるとよいだろう。 ・箸が使える  日本人に「お箸が使える!」といって驚かれるのは嬉しいらしい。  何のことはない、中華だってあるし鉛筆だってもてるんだから…。  しかも日本の角箸とか割り箸は中華の樹脂丸箸とちがって使いやすい。  なので近々日本に行くフランス人がいたら箸の使い方を意識させておくとよい。  逆に握り箸とか、ご飯に突き立てたり、茶碗を鳴らしたり、  スパゲッティ風に箸をつかっていると超みっともないので事前に指摘してあげよう。 ・頼んでもないのに水が出てくる  しかも飲み終わると急いで注ぎに来る。なぜだ?  …いやなぜといわれましても。  いきなりご飯食べると胃に悪いから。  水道水が高品質低価格だから。  湿度が高くて汗をかくから。  とかかなあ。 ・カレーライス  英国で働いていた彼女にはあまり面白いものとしては映っていない様子。  本当はディープな日本カレーの世界を紹介したいが、英国の印度カレーにはかなわない気もする。 ・日本酒  冷よりも熱燗の日本酒が美味しいらしい。  試してないがチューハイも興味あると見た。 ・ぎんなん  ぜんぜん美味しくいただいている、これは隠れた名品かも。  フランスに炒ってないものを輸入できるかどうかは結構微妙な気もしないでもないんだが。 ・あんきも  あまり美味しいと感じてない、というかあまり美味しいあんきもではなかった。 ・焼き魚  たぶんあまり得意ではないとみた。見た目が激しいしなあ。  生魚はともかく、北陸でいい出会いができるといいんだが。 ・朝食  朝食=プチデジュネである。沢山食う朝食はアメリカ式と呼ばれる(英語ではコンチネンタル?)。  要は火を通す必要のないパンだとかフルーツだとかとコーヒーを少々いただく。  私も含め日本人は朝からがっつり食べるので、知ってはいたが、見て結構驚いていた。  日本のホテルに主流になりつつある朝食ビュッフェはもちろんどちらにも対応できるのだが、  そのバリエーションの多さにびっくりしているのである。  もちろん食べておいしいが、胃がついていかないと思われるのでマイペースにさせている。  (が目の前に美味しそうな選択肢があって選ばないというのはなかなか出来るものではない) ・矢場トン  せっかく名古屋にきたのでポークカツレツ・ソースソジャ(味噌カツね)を食べたかったので、  誘ってみたんだが、まず一声「日本人ってすごい肉食べるんだね!」と。  ああそうですとも、何度か言ってはいたけれども、まだ判ってないかもしれない。  まあ明日からは金沢なので蕎麦と魚と酒や野菜の土地なので想像道理かもしれないけど。  で、Hugoは入り口から拒絶。残念ながら今回の訪問では味噌カツは食べれなそうだ。 ・お湯割りもろみ酢  なんだか行った店が変な商品を出していたので、特に勧めなかったんだが、  本人きっての希望で飲んでみたらうまかったらしい。  酢は普通にありますし沢山使いますが飲酢は日本人でも人を選ぶしな。  私はリンゴ酢とか寿司酢が入門者には飲みやすいかと思いますが、  もろみ酢(米ね)はフランスだと入手しづらいのでお土産に買っていくかもしれないぐらいの気に入りよう。  お勧めのタイミングはデザートというよりアペリティフだろう。 ・ラーメン  夜遅くなったおかげで飯屋の選択肢がなくなった(名古屋の夜は早い!8時には閉まり始める)のと  英国クライテリオンに勤めていたときに、ラーメンが不味いといった英国人はいなかったので、  駅ちかのホテルのレストランでどういうわけかラーメンを頼んでみたがやはり鮮烈だった模様。  胡椒は入れ忘れたが、次食べるときは最後のほうにちょっと試させてみたいところ。  なお今回は醤油チャーシュー麺であった。 ・うなぎ  自分的には「ひつまぶし」を食べたかったので頼んでみたので、うなぎをちょっと試させてみたが、  「肉かと思ったけど予想外の味」と見た目と異なる味に驚いていた。  おそらく食べさせるときは日仏辞書で「鰻」をまず引いて説明して、味わいをちゃんと説明してから  食べさせるとよいのではないかと思う。  「肉かと思って食べたら実は蛇のしょうゆ漬けを食べさせられた」という状況だと誰でも不安になると思う。 ・栗きんとん  栗はフランスでは結構食べられている。  年末料理で使ったりもしてこの時期かなり共感できる食べ物である。  栗きんとんのディスプレイに目を輝かせていたので、コーヒーとの組み合わせを試させてみた。  実は彼女は和菓子は苦手だったらしく、某氏にもらったものは全部旦那にあげていたらしいんだが、  今回ナマ和菓子を食べて、その強すぎない繊細な味わいに感動を覚えたらしい。  お土産に数箱買って帰りたいという。飛行機乗っても味わい代わらない和菓子を探さねば。  これはやはり金沢で買うべきか。