ある方の日記「最近の教科書」からTBですが、これが元ネタのURL。 http://www10.ocn.ne.jp/~fanta-sy/index00.html そういえば漫画家の青木光恵 が以前、娘の教科書を「なんつーか、絵が落ち着かない」と言っていた頃があったが、じゃあちゃんと統一すればいいじゃん、とかマンガ・アニメ並みのキャラクターデザインすればいいじゃん、という問題ではなかったということが、よくわかる。 当初の感想を一言で言えば「あの、時々校門の前にいるロケットペンシルとかを餌に高い教材を売っている、アレですか?」というところだったんだけど、フランスでも似たような教科書が出てくるかもなあ、という一抹の不安ともに再読してみる。 …が、大人の私(いやいちおう博士ですが)にとっても…絵がうるさすぎて、問題が読めない、というか問題の主旨にすらたどり着けない。。。 昔の算数の教科書が「良かった」とは言いたくないが(昔から気が散って、パラパラマンガ描いてた子だったので)、いわゆる「応用問題」に出てくる、リンゴがどうしたとか、鶴と亀がどうした、とかいうあんまり応用になってない「かく乱問題」としては使えるのかもしれないが…さすがに魔法学校とかには通ってないしなあ。 単なる興味で「駄目だよねえ」とか言っててもしょうがないので、真面目に解いてみた。 ★のところが私のココロの叫び。 【小学校2年の算数】 ・48ページ [3]子どもがあつまっています。  あと4人くるとm30人になります。  いまなん人いますか。 ★まず、このクマがなんだかよくわからない。  手前にいちばん大きく描かれている主人公のために、  後ろに26人いるのか25人なのか微妙に数えられない。 ●のずを見てかんがえましょう (★●の図がどこにあるのかよくわからん!がたぶんこういう解釈) いまの人数□人|くる人数4人 ●●●●●●●(26個並んでる)●●●●●●●●○○○○ (全部の人数30人) ↓ いまの人数□人|くる人数4人 [ いまの人数□人 ][ くる人数4人 ] ★べつに下の図解はいらないんじゃないでしょうか?  あえて回答から解説を呼んでいるような。  ●の数を数えた方が、明らかな回答だし、それをわざわざ隠蔽してもしょうがない。 [4]シールを8枚もらったので23枚になりました。  はじめはなんまいありましたか? ★なんで23枚数えているのにあえて始めの枚数を数えないといけないのか動機付けが、まったく持って不明。加えて言うと、このバーグラフのような図解がよけいに分からない。「個・枚・cm」に対して純粋に引き算の概念を教えるために「残りはいくつ」と聞けばいいのに「始めはいくつ」「減ったのはいくつ」という「解説に見せかけた問い」が常に付きまとうので、何のために考えているのかよく分からなくなる。 小学校6年の算数ドルフィンのまほう学校 74ページ [1]駅からアリスさんの家まで1800mあります。  アリスさんは家から駅に向かって分速70mで,テレスさんは駅からアリスさんの家に向かって分速80mで,同時に出発しました。  2人は何分後に出会うでしょうか。 ★小学校6年の算数でも、ほとんど変わらないノリで1ページ2問だけで進んでしまうのが恐ろしい。 名前が「アリストテレス」をもじってアリスとテレスになってるのはちょっとだけ笑えるが、だから何。  そもそも「分速」っていう単位を使う時点で無理があるんですが、そこは除いたとしても、(フレンドリーなイラストよりも)まずは駅と家との距離の関係を図にしないと絶対理解できないのでは。しかし「表に書いて考えましょう」とある…のであえて教科書にしたがって表を埋めてみる。がこれでは延々と表を書いて、結局分かるのは「2人のあわせた道のり」であって「いつ出会う」かの答えがない。 [2] [1]で駅からアリスさんの家まで2400mあるとすると、2人は何分後に出会えますか? ★いきなり「もしも」になってしまう。最後まで図解はないまま、延々と表を埋めつづけるんだろうか?ちなみに次ページの[3]ではアリスは挿絵でホウキに乗ってしまっている。分速の差を出したかったと思われる出題であるが、これでは歩かないので距離自体が変わってしまう。 …とりあえずほんの一部にだけ突っ込みを入れましたが、疲れました。 正直、これが教科書だったら苦痛です。 こんな役にも立たない思考をむりやりさせられる算数なんて嫌いです。 まだ文字と記号化されたイラストで「せよ」といわれる方が幸せな気がしてきました。 いや、このアニメ調の絵でゲームやテレビを見ているほうがぜんぜん楽なんですが。 実は私は子ども時代はぜんぜん学校の勉強をしない、駄目な子だったんですが、ひとつは「気が散って演習できなかった」という、勉強以前の大きな問題点を高校卒業するまで気がつかなかったという点にあります。 上のように、算数の陳腐な応用問題に突っ込みを入れまくって、教科書に書いてない解法(たとえば空を飛ぶ、穴を掘る、鶴が地球を一周するまで待つ)とかいったことを考えていたものです。子どもの想像力というものをなめてはいけないとおもいます。絵が見た目きれいだから、とかいうのはぜんぜん関係ない話で、多分私はアリスやテレスの顔にヒゲを描いてしまうでしょう。 それから個人の趣味についてあれこれ言いたくはありませんが、この教科書を紹介している人の職業が「教諭」だということの方が、むしろこの教科書より恐ろしいです。 へんちくりんな教科書は採用しなければ済む話ですが、学校の体育館に魔方陣を描いて「センシちゃん」を召還したり、創作童話の隣に自称18禁イラストやエロ小説を臆面も無く載せてしまう学校の先生がいることの方がよっぽど恐怖を感じます。 自己紹介のページから引用すると http://www10.ocn.ne.jp/~fanta-sy/sensi_page.htm >オタク教員が少ないのにビックリしてます。 >子どもを理解するにはアニメ・マンガ・ゲームの理解が必須だと思うんだけどなぁ。 > とありますが、同僚に理解者がすくないあまり、 子どもの「理解」じゃなくて、子どもの「洗脳」に走らないことを祈りたいです。 ということで、まずはこのサイトと作者自体がネタであることを祈ります。 …にしても息子の教育についてはこれから頭が痛い問題が多いよなあ、日仏の言葉の問題もあるし、フランスは日本以上に「ゆとり教育」だからなあ(成功している方だと思う)。 絵を描いたり、走り回ったり、小学校低学年ぐらいまでは日本の子どもたちに比べて、ゆとりがうまく働くと思うんだけど、そのうち算数とかは明らかに学力差が出てくるんだろうな。 ちなみに「海外で子育てコミュ」とか見ていると「九九を暗算できる」とヒーローになれるらしい(挑戦してみるか)。 「覚え歌」みたいなのも日本人は得意ですが、そういうのも結構ないみたい(まだ知らないだけかも)。 アルファベットの覚え歌もまだ聴いたことない(多分英語の替え歌であるかもしれないが、仏語オリジナルはないらしい)。 日本の「ゆとり教育」で電卓使ったりとかいうのも話題になってたけど、あれも多分、当の小学生にしてみれば「あほらしい」事なんだろうな。 だって普通にパソコンつかってマウスつかって電卓つついて計算させたりしてるんだもんな。 携帯のメニューに入っている簡易電卓とか。 まだソロバンを超高速で使える子どもの方がかっこいい、といか触知で考える力が身につくというか。 ドラクエで「残りHPがいくつだから…」というあたりで算数覚えたという子や、FFで漢字読めるようになったという子もどうかと思うけど、そっちの方がよっぽど遊びから、生きた算数を学んでいるよな、適度に演習時間もあるだろうし。なによりRPGなどはゲームシステムから考え方のヒントを与えられる可能性もあるし。 そういう言語非依存の理数エデュテイメント作品とか、教科書とか考えてみようかなあ、と本気に考えるきっかけになったかも。