今日は息子が年中さんセクション(petit-moyen)に進級。 ちゃんと朝からつきそいましたよ。 彼は周囲がバカンス明けで号泣にも関わらず、見事に順応した様子。 偉いぞ息子。今日から午後もあるんだけど泣くなよ! …と息子の成長の余韻に浸るまもなく、仕事の山。 とある国際研究プロジェクトの企画書を執筆中。 規模が大きいと参加する研究者も多いから、まとめるのも大変。 某国立研究センターと日本の某機関のコラボレーションによる研究交流予算なのだけれど、その「某センター」というのは、非常に敷居が高い。日本の研究者には理解できないかもしれないので、簡単に触れておく。 日本だと科研やCOE、CRESTのようなものであれば自由が効いてよいのだけれど、このプロジェクトの場合、「某研究センターの傘下でなければ予算がおりません」と明記されている。つまり同じ国研でも、某情報学研究所所属だと派閥が違うというか、事務方の都合で「断られてしまう」という。 「某センター」は大規模大予算研究が多い。確かに優秀なのかもしれないけど、大予算や大設備には優秀な学生が集まる傾向があるし、追試不可能な実験や論文なども生まれやすい。 こんなところで当たり前のステレオタイプを語るつもりはないけれど、日本人に判りやすく表現するなれば 「東大でなければ研究室にあらず」 といわれるようなものである。 しかも「東大でなければ予算は適用されない」というおまけつき。 結局、修士コースを運営する隣町の研究者が「某センター傘下」だから助かったのだけど、ここにたどり着くまで1週間かかった。でも見つけてくれた上司に感謝だ。人付き合いのよさも才能のうちだ。 違う畑の研究者だけど、光機能性化学などは元いた畑なので刺激的ではある。 で、インスピレーションが沸いてくるので一気に概要を書いてみる。 しかし今度はフランス側の同世代研究者に足元をすくわれる。 というか、彼は彼でやりたいことがやりたい。 週末だし、サッカーの試合があるので、 とりいそぎ概要だけでも書いて送信してみたが、即座に提案を覆される。 しかし一理も二理もある。むしろ彼のほうが正しい。 簡単にいえば、私の提案は話が大きすぎるという。 しかし研究交流予算というものは「これぐらいにしておかないと…」という感覚が日本人研究者としてはある。 彼自身はバントヒットでランニングホームランを打つようなタイプだから、私としては学ぶところが多い。 しかし彼の書いた最新の論文(大御所採択)でもあり、彼の最新の興味というテーマには突っ込むところが沢山ある。 一通り読んで、ディスカッションしてみたら、それはそれで国際間研究になりそうなネタであはある。 軽くふれると「3Dカメラ動揺」つまり「3D酔い」に関する研究なのだが、面白いことに日本人研究者がいろいろ「酔い」について研究している割には、欧米ではホットではない(米はすこしある、が深刻ではない)…というかあまり堅いデータがないみたいだ(まだ完全に調査してないので後で否定するかも)。 しかし日本ではNintendo64やxboxがあまりぱっとしなかった理由、というぐらい、FPSについてはユーザーの「酔い」がうるさい。 3D酔い@Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/3D%E9%85%94%E3%81%84 気になるのは「酔うならやらなきゃいいじゃん」と思うのだけど、ゲーム好きとか、3DCG関係者とか、視覚工学、認知、実験物理学関係の人々に『3Dは酔うから…』という人が多いのである。 三半規管、前提動眼反射、サッケード、内部モデルとの不一致、などなど見解もいろいろある。 しかしここで総花的なことを述べていても仕方がない。今いえることは、この手の論文を書く日本人は、どういうわけか国内、比較的小規模の研究者に多く、英語で論文を書いていないので引用できない。 さらに「日本人の(ゲーム業界の)常識」として知られている、カメラ制御関数なども含むいくつかの現象や実装、つまり3D-FPSにおける不快感やストレスが、世界的にはぽっかりと認知されていない。 「日本でなぜFPSが売れないのか」という理由にもつながる潜在的なマーケット喪失の具体的理由を発見したような気がする、気のせいかもしれないけど。 とまあ、つまり。論文1本読んで、突っ込みいれるための調べ物をして、再提案もして…と1本のメール書くのに4時間近くかかっていることに気づき愕然とする。 結局、サッカーは見にいけなかった。まあそれはそれでいいんだけど、土曜日だというのに、明日も息子の学校があるらしい。 帰って、寝よう。 英語酔い、メール酔い、企画書酔いしそうだ。