今年はIVRCの審査員ではありません
まず、今年、私は審査員ではありません。いろんな事情があって辞退しております。 実行委員会や企画委員はVRやIVRC振興のために、積極的に企画に関わって良い、というルールになっております。 そうでなければVRはいつまでたっても 「ヘッドマウントディスプレイとデータグローブとグラフィックワークステーションですよね?」というところから進化しませんので。 企画書の添削はボランティアです しかしながら、IVRC投稿用の企画書案をメールで送りつけてくるひとがいらっしゃいます。 まず、私のメールボックスは常にパンクしていますので見れません。 ゼミや講義の範疇での「企画書の書き方」指導についてはゼミや講義の範疇でお請けします。 その他の個人的な制作や投稿は、皆さんの作品で、皆さんの活動です。 私からすればボランティアワークです。 ともかく、本日のレビュー受付はこれで終了します。 土曜日正午までにFacebookのグループなどで共有されているものについては、善処します。でも保証できません。 沢山の良質な企画が世に生まれることを期待します。 結果がどうあれ、冬のLaval Virtual ReVolutionにもぜひ投稿していただきたいところです。 また近しい境遇の学生さんたちと共有するのは大事なことです。 他のチームのWORDへのコメントを見ると、自分の企画も良くなります。 まだ執筆途中の企画書を私のBlogで共有する事はできませんから、 以下、共通で言えることを列挙しておきます。
作業ロードマップを立てること
まずSIGGRAPHやLaval Virtualなどの投稿で共通のことですが、作業ロードマップを考えていかないと、どこかでコケたら全てこけます。 美大芸大系の学生さんたちによく見かける光景ですが、やはり受賞するひとはちゃんとワークフローを組んでます。 締め切りギリギリ、封筒の文字もグッチャグチャ、という履歴書やポートフォリオを送っている就活学生によく似ています。
投稿プロセスをまずは1ラウンドおわらせること
特に、月曜日の締め切り直前は、本当に修羅場になるとおもいます! 最後の30分などは、一生忘れられない体験になることでしょう!
そうなる前に、まずは1ラウンド、必ず投稿プロセスを終わらせて下さい。
要は、いまの企画書で、梗概、企画書、同意書、振込証明書などをPDFにしてアップロードするのに「何分かかるのか?」を測定します。 それで、やっと「締め切りまでに最大何回更新できるか?」がわかります。 ちなみにハリウッドのCGエンジニアも同じように「締め切りまでに何回レンダリング試せるか?」で技術を選定します。 「ゼロ回」という時点でアウトです。見積もれない技術。 ただしこれはサーバーが遅延したり、参加者大勢すぎてサービス停止したりしなければ、という話です。 まずは1回、ひとラウンド、回して下さい。 そうでなければ地獄を見ますよ>各位
自分への締め切りも重要
私は明日の12時の段階で「1回も見ていない企画」については手伝わないことにしますのであしからず。 現在、他の仕事を止めて、測定してみました。 4件のレビューを回すのにも2時間かかっています。 全力でやって1件30分です。 他の業務をとめて、このベンチマークなので、ホントご理解ください。 IVRC作品というものは、この世にまだ誰も観たことがないのです。 イデの状態を具象に落とすのは無限の可能性がありますが、無限に時間がかかってしまうことでもあります。 明日の正午までに締め切り! その考え方も重要です。
見る人のことも考えよう
企画書を書かにゃならん、という締め切り3日前なのに「バイトが…」とか言う人いますけど、そもそもワークフローの構築がおかしいです。 こんな時にバイトを入れて売る時間があるのであれば、人に何かお願いする立場ではないですよね。 私は息子が熱病で倒れています。不測の事態です。 それでも約束なので、時間を供出しています。あんまり酷いことしないで欲しいです。 こんな感じの「自己中企画書」は企画書の文面にも現れてくるものです。 読んでくれる審査員がストレスを感じるたびに、予選通過が遠のきます。 共感、感動、熱意が感じられればプラスの点数も入りますが、1回目の読了でストレスが上回ることもあります。 1回でゴミ箱行き、ということはないです。レビューコメントを書くためにあと2・3回は見ます。 でも、書き手には直すチャンスはないです。 審査員に与えたストレスは、ここで跳ね返ってきてしまいます。
ちゃんと学んだ人は自信満々な日本語を使えない
企画書という文章を書き慣れないのかもしれませんが、語尾に以下のワードが並んでいたとします。 ・であるといえる ・に違いない ・であろう ・わかる ・言うまでもない ・確信する ・可能だ ・予定である とっても自信満々なのですが、自信がほとばしっているのは語尾だけで、十分な調査もない場合にしか使わない語尾のオンパレードです。 「やった人間しかわからない日本語」って、あると思うんですよ。まずは遠回りして、やってみてほしい。
その他、共通で気になること
書きかけ企画書の典型です。
・英語タイトル不在
Webフォームを先に埋めたらわかること!これは国際コンテストです。 英語で説明できない作品は、とても弱々しいコンセプトにもとづいているものだったりします。英語はその点大変合理的な言語です。 英語のタイトルや概要を考えるだけで随分整理できたりします。
・概要が「Kinect」で始まる
Kinectがどんなにすごくても、作品のコアを担っているとしても、その単語で初めてはいけない。 作品の概要の1行目は「この作品を一言で表すと何なのか!」です。 そうでなければ、その作品の世界観を表すキャッチフレーズでも置いてみるべき。挿絵も歓迎。
・構成要素が全て書かれていない
システム構成図に出てくるのに解説なし、という事があります。 とつぜんHMDが出てきたり、Kinectが出てきたり、謎のセンサー(想像)が出てきたり。
・システム構成図だけで語っている
実体図、プロトタイプなどの写真をここに入れましょう。 例えば、感圧センサーを使うなら、そのセンサーを貼り付ける場所やマウンターが必要です。 君のすごいスマホで写真を撮ればいいことなのです! つまり、それがない時点で『微妙なフェイク感』を演出しますし、図面があればまだしも、最低でも手書きスケッチぐらいは出てくるべきです。
・作品の広がりを表現していない
こんなこともできる、こんな課題がある、体験者はこういう印象を抱くはず…… といった「想い」を冒頭に書いてしまう人が結構います。 「作品の世界観」は冒頭でも良いと想いますが、「作品の広がり」部分は自然に後半にビジュアルとともに出てくるべき要素です。 こんなこともできる、こんなユーザも出てくる、こんなふうにユーザを幸せにできたらいいな、こんな研究要素の可能性がある…などなど。 逆言えば「作品の広がりがない作品」は予選通過できても、ファイナルまでは残らない可能性が。 ・過去作品の引用が一切ない 過去の研究、特許、皆さんがネタにしている動画類など発想の原点となったものはかならずあるはずです。 それを紹介できない、ということはどういうことでしょうか?盗用?著作権法違反?いずれにせよダーティーな匂いがします。 また過去20年のIVRCの作品には、きっと似た着眼の作品があるはずです。 『たまたま似ていた』と言い訳することは簡単ですが、審査員はその視点では見ません。 『ないはずはない!』という視点で探していないだけだと判断されます。 過去に似ているコンセプトの作品があったとしても、それが即、落選理由になるのでしょうか? 過去に似ているであれば、その作品が表現できていない点、改善すべき点、意味が異なる使い方、などミライに生きるみなさんは必ずオーバーライドできる要素があるはずです。 それが出来なければ負け、です。 ですから、「似ている」と思われるのであれば、上回りましょう。 知らなかったフリは、調査不足として減点になると思います。 だからこそ、書きかけ企画書やアイディアは、偉い先生、長い先生、専門の先生に見てもらうべきなのです。
・スケジュールがおかしい
9月に大阪で開催される予選に完成するスケジュール、この時点で何かおかしいです。 機能テスト、合体テスト、アルファ、ベータといったIT用語の基本を再度考えなおしましょう。 ユーザテストも同様です。コンテンツ作りこみといった要素も必要です。最近はどこの大学もオープンキャンパスをやっています。このような機会を使って試すべきです。 (作品は非公開である必要がありますが、学内イベントは可なのです) 以上、本日時点での気がついた点(共通)ですが、まとめてみました。 ぐっどらっく!