卒論も提出し、成果展示も準備が終わり、いよいよ卒論プレゼンが明後日です。 以下、卒論プレゼン技術について、連続Tweetでつぶやいたものがあまりに反響があったのでまとめておきました。 ハッシュタグ #卒論プレゼン技術 あってるかどうか分かりませんし、審査をする先生としてはグッと心に秘めていることかもしれません。当日ついうっかり他の研究室の発表に突っ込んでしまうかもしれないので、とりあえず列挙してみました。

  • 卒論のプレゼンテーションで最も重要なことは、「自分自身が卒業するために、胸を張って研究したことを隣の研究室の先生に話せるかどうか」ということだ。専門家と非専門家の両側の理解と共感を得る視点が必要だ。指導教官や専門家の先生の視点なんて二の次。それは外部発表で。
  • 卒論のプレゼンで「まず言い訳をする」ということは、それが「結論」であるということだ。つまり「言い訳をしなくて済むよう、パズルを解く」という行為、すわなち研究に時間をかけていないということの証明。それを真顔で「通してください」と言われても審査するのは無理。
  • 紙に書いたシナリオを読まないとプレゼンできないということは、設計が甘いか、ビジュアルが足りないか、練習が足りない度胸が足りないかのどれかである。じゃあ読めば片付くのか?紙なしで読めば度胸はつくし、忘れている用語や要点は見えてくるし、練習になる。だからダメよ。
  • 質疑応答での瑣末なツッコミを避けるために、母集団、属性、実験の前提や引用な「瑣末な情報」は画面に入れておく
  • 君の視力で目を細めなければ見えないフォントは、オジサンたちは絶対読めない。
  • そして「余白の美よりレイアウトの美」。無意味な空白があるなら改行入れてでも、ちゃんと配置すべし
  • 「…で?」を言われたくなかったら、冒頭3ページまでに「結論」を述べろ。
  • 迷ったら「(タイトル)」に立ち戻れ。タイトルに結論が含まれていない時点で何かが終わっている。
  • 引用したビジュアルには大学名などで良いのでわかりやすい引用表記を入れよ。自分がやったかのように思っていなくても、見る側はそうは思わない。なお、引用についてはオジサンたちの視力がついてこない範囲で構わない。コントラストも下げ。喋り用。出所が明らかになれば良い。
  • 引用写真でも引出線入れて解説するだけでオリジナリティが追加される。
  • 自分が自信を持って話せない内容なら、こねくり回すよりもカットする。
  • 文字ばかりで話が長くなり、聴衆が眠くなるならビジュアルで1枚で語れるようにする。
  • 発表終了直後の審査員が最も聴きやすく、それでいてボディブローが効きやすい質問は『いろいろ素晴らしいんだけれども、この研究を一言で言うと、何が解決したの?』である。Twitter民なら普段の成果を生かして140文字以下で語って欲しい。
  • 卒論のプレゼンテーションを推敲していく過程で論文執筆時点では見えていなかった『新しい知見』が生まれてしまったりする。それはいままでの考察が甘かったということだが、悲観することはない。いまはうまく整理して胸を張って生き延びるべきだ。ここで折れてはすべてが無駄に
  • 君はその分野について既に「専門家」である。審査の先生方は別の分野の専門家である。質問の意図は『専門家だからこそ、そこは整理して回答できるはず』。なので回答は、Yes/Noでハッキリほしい。もしくは最初の一言で整理されているか。間違っても「言い訳」ではない。
  • すべての質疑応答には「質問意図」がある。質問意図が分からなければ、君の言葉で『~というご質問でしょうか?』と聞き返すべきだ。そして接頭詞に「ありがとうございます」を加えるのを忘れずに。審査の先生方は君とスパーリングがしたいわけではない、それはゼミでやるべき。
  • この発表時間は断罪でも免罪でも贖罪でもない。聞き手の理解を感じながら、相手の目を見て話す。そのために十分に設計する。そうすれば、終わった瞬間に、感動の拍手が巻き起こる。
  • アンチョコ見ていいですか?』ハア?何いってんの?頭に入ってない事を話す気?もう一年居る?
  • 最初の1分で『話の前提も結論も見えない話』をしてはいけない。もしかしたら「一般的なユーザ写真」や「普通のWebデザイン」などのビジュアル1つで十分な話をしているのかもしれないぞ。プレゼンテーションが始まった瞬間から結論に向かい、方向性とスケールをまず描こう。
  • 卒業研究は、就活が大変だろうと、外部発表を何回していようと、それぞれの学生にそれぞれの高さのハードルが設定されている。ハードルの高さは問題ではない。どのような方法論によって、仮説を立て、苦労をし、問題を解決したのか、それを整理して話せというだけのこと。
  • 学部の卒論には問題解決能力が問われる。修士の学位論文には問題解決能力に加えて問題発見能力が問われる。博士の学位審査にはそれらの能力を超えて、人類の歴史への寄与や学術分野を構築するビジョンを問われる。大学により基準は異なるが有名大学ほど博士候補が多く難度は高い。
  • 審査の先生方は優しく聞いているつもりなんだ。でも迂闊にも君の研究が面白かったりすると、普段のゼミの調子でスパーリングが始まることもある。たじろいだり、アタマ真っ白になっている場合ではない。ゴングが鳴るまでスパーリングを続けろ、指導教員はゴングかタオルの準備だ。
  • 指導教員と審査の先生方が場外乱闘を始めたとしても動じたり傍観してはいけない。タイムキーパーの先生にブロックサインか、両拳を上げて判定勝ち宣言を自分でするぐらいの勇気が必要だ。そこは最先端の共同研究テーマを発掘するか、研究室どうしの私恨を残すかの瀬戸際なのだ。
  • なんだかんだ言っても、卒論発表会は君たちの「晴れの舞台」なのだから。

以上です、頑張って!