自慢じゃないのですが 私は結構最近まで「尊敬できる上司」という存在に出会ったことがなかったのです。思い起こせば。 まず雰囲気が悪い、冷徹、高圧的、頭が固い、趣味に走る、裏技大好き、貧乏揺すりが激しい、年に一度しか会えない、人月で部下をカウントする、部下のモチベーションを考えない、16時半に仕事渡して自分は帰る、自慢話が多い、女性社員に頭が上がらない、メール受信ボタンばかり押している、そのくせ大事なメールは転送しかしない…そんな感じの上司ばかり。 まあ感じがよくても、働かない、保身に走る、家族に甘すぎる、賄賂を喜んで受け取る、そんな上司なんかもけっこう多かった。日本の話ではないけど。 とにかく恵まれてない、と思う。 世間の上司という生き物はそういうものだと思っていた頃もあった。 過去の私の上司がこの文章を読んでいたとしても自分のことだと気がつかないかもしれない、まあそれは本人にとって幸せなことかもしれないが私にとっては不幸な環境。 包丁持ってさしちがえようと、何度か計画しました。 社員食堂を使った毒殺とか、ごすんごっすん五寸釘とか。 …ともかく。 私は日本に帰ってくる際に、今までのようなフリーランスの研究者ではなく、何かしらの組織に属して働く覚悟があった。なのでできれば「尊敬できる上司」なり経営者なりの下で働きたかったわけです。どうせ働くなら。 その点、今の職場は「日本の未来を変える!」という自分のオカしい夢に対して、採用面接を通して、なんども「尊敬できる上司らしき人」に遭遇しました。 どんな人かというと、 背負ってるオーラが清々している、笑顔が良い、信念がある、理想が高い、ごまかさない、挑戦心があるが伝統も重んずる、組織とは何かを理解している…そういった感じの人々。 実際に会社に入ってわかったことは、彼らの化けの皮…ではなく、すんごい忙しくて死んじゃいそう、なのにも関わらず、そのようなネイティブでいられるという事。 さらに言うと、異常なまでに部下の数が多い上司もいる。立場を乗り越えて一般社員にボランティア精神で接する上司もいる。アニソンを絶唱できるかなり上の上司もいる。九州男児風味の無茶振りと義理人情の効いた事務方上司もいる。 なんというか、こういう人々と一緒に仕事をさせていただいてホントに楽しいと思ったわけです。実際にはたくさんハンコもらわないといけない役所方面な組織ではあるんですが、それすらもコミュニケーション、というか、伺い書の作文一つとっても、楽しみました。きつかったですけれども。 そんな上司が、大地震です。いや、大地震の前の初期微動かもしれません。日本人なので地震と台風と大雪には慣れっこですけれども。 短いつきあいだったのですが、 ろくにお礼も言えずじまいです。 もっと大暴れして、 「あのときこいつを採用したのは俺だったんだよ~」と 自慢話の一つでもさせてやりたかったのですが残念です。 永久の別れではないですから、涙は無用です。 むしろ誰も死んでません、サダメです。 しかし一緒に戦えて幸せでした。 ありがとうございました。 これからも 日本の未来を変えるために頑張ります。