Vista on VMWare

Windows Vista RC1をVMWare Workstation/Player環境で試してみる。 先日、デスクトップマシンに入れたのだけど、都合で消してしまったので。

ポイントは2点。 ..vmxファイルをテキストエディタで開いて以下を追加。 svga.maxWidth = “640” svga.maxHeight = “480” ethernet0.virtualDev = “vmxnet”

その後、VMWareToolsをインストール。 ネットワークカードが見つからないのでUSBメモリキーが使えたのはラッキー。

以下参考

VMWare上で8色→フルカラーになった瞬間はうれしかったよ。 ついVistaに転びそうになった。 でも解像度640x480から変えられない。だめじゃん。。。

VMWareToolsを最新のものからqemuをつかって引っ張り出すという方法があるらしいが…やくざだなあ。

とりあえず今日はここまで。


TRIZをRPGに

先週の研究室ゼミの続き。

ベルギーのKortrijk(コルトレイク)でうちの研究室の先生が、 9-11日に以下のタイトルの発表を行うらしい。 「Using TRIZ in the forecasting of the computer role playing games Evolution, Michal Kurela」

おそらくこの会議。 TRIZ Future http://www.triz.be/index.html

TRIZってなんじゃい、ということで調べてみた。 「TRIZ」は英語で Theory of Inventive Problem Solving を意味するロシア語の頭文字。 発明を助ける思考手法。

TRIZのエッセンス - 50語による表現 中川 徹 (大阪学院大学) http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jpapers/Essence50W010518.html

比較的わかりやすいページ http://www.hypertech.co.jp/products/to/triz.html

一見、エキスパートシステムなどにも近いようであるが、リソースの最小限化と創造的な活動に使える点が違うと思う。RPGの将来についての研究にどうやって生かしたのかは今度しっかり聞いてみようっと。

そういえば2001年に「コンピューターゲームの興奮度定量化 (1) 主観評価を使用したゲームジャンルの分類」という論文を書いたことがあった。このときはWebアンケートと6つのキーワードソートをつかって、現存するゲームジャンルの分類・可視化を可能にした、という論文。英語で書いておけばよかったか。


Google YouTube

ついにGoogleがYouTubeを買収しましたね。

おいしい芽は早いうちに摘みましょう、ということですね。 (それでもずいぶんと収穫期に入ってしまったとは思いますが)

Google To Acquire YouTube for $1.65 Billion in Stock http://www.google.com/intl/en/press/pressrel/google_youtube.html

関連ニュース。

16億ドルのGoogle株式交換かあ。約1600おくえんん。

これって思うに、IPAとか通産省とかがシグマ計画とか第5世代コンピュータに投資した金額の倍以上だよな。

米国の国防省がらみでないプロジェクトで、しかもミレニアム法まっただなかで映像著作権の取り扱いが難しい時期に、しかもGoogleがGoogle Videoという対抗サービスをやっていたし、他にも似たようなことを考える人はたくさんいた上に、技術的にはFlashVideoという何のひねりも無い他人のコアテクノロジーなので、ゲリラ戦を巧く戦ってで勝ち取った成功だよな。YouTubeは2chユーザにも感謝しないと。

でも私がYouTubeのコアのエンジニアだったら、今すぐ現金つかんで高飛びするなあ。 でもってtorrentのネットワークで著作権管理が比較的緩やかな映像ネットワークを構築するかも。

さらば第二世代YouTube。Google Videoと統合されて、インディーズから一大企業になって、固い著作権管理とユーザ情報収集に励んでくれ。 (すぐにはそうならないと思うけどね)

おまけ。

A Message From Chad and Steve http://www.youtube.com/watch?v=QCVxQ_3Ejkg

そしてYouTube氏(Steve Chen) http://www.youtube.com/profile?user=YouTube

おもえばビジネスモデルが謎のまま、買収までたどり着いたんだよなあ。 創業者の顔も名前(Steve Chen,Chad Hurley)もほとんど知られてなかったしね。

めでたしめでたし。


ひさびさタブレット

タブレットといっても錠剤飲んだわけじゃない。 そういやフランスで錠剤ってめったに飲まないけど。

本当は今日は某FuturoScopeに行く用事があったのだけど急遽キャンセル。

査読とか雑用に当てることに。 でタブレットを使う用事がありそうだったのでセットアップしてみた。

世界的にはワコムのタブレットが寡占状態だけどどういうわけか、NGSとかいう会社のもの。 http://www.ngslurbe.com/

いまどき電池式、しかも単四なんだけど(たぶん特許の関係で磁気誘導方式が使えない)、いい感じの重さでいいと思う。

aki200610.jpg

アラン・ブラフォードさん

次世代オンラインゲームへの思索と邂逅 アラン・ブラフォードの「OnlineGame 2.0」論 http://watch.impress.co.jp/game%2Fdocs/20061010/online04.htm

TGSとかWeb2.0的アプローチ自体はさして面白いとは思わないんだけど(この辺は編集側の意向もあるだろうし)、外国人がこれだけの日本語とディープな思索・解説ができることに驚いた。

他の3投稿も読んでみると良いです。

特に面白かったのはこれ。

■筆者プロフィール■ アラン・ブラフォード(日本在住)。コンピュータ関連カレッジ卒業後、大手電機メーカでエンジニア、研究開発を経て、オンラインゲーム関連ビジネスに身を置く。学生時代サークルの仲間とトランプゲームを研究したことがある。54枚+αの限られたカードによって、さまざまな遊び方ができる。今日の MMORPGはカードデザインの違うババ抜きしか存在しない。 デザインではなく遊ばせ方に着目してほしい。デザインを変えてもユーザーがババを引くことの繰り返しにならぬよう。

ゲーム研究者であれば、この「カード絵の違うババ抜き」問題は当然気がつくべきことだけど、ゲームの周辺の気配りと、この問題を両方語っているのが好感。


サドキング

サドキング、とか書くとハードゲイとかサド伯爵とかが浮かんでくるけど「査読ing」。

某VR国際会議に投稿された誰かさんの論文を読んでます。 音楽インタラクティブ関係。かなり良くかけていると思う。 使ってるジーニアス英和大辞典が音楽関係の単語に弱くてつらい。

それにしても、インターネット時代の国際会議査読について「査読はこういう風にすべし」という常識は無いもんかな?もちろん会議ごとに査読基準を設定してくれていることは多いのだけど、私はネイティブ英語研究者ではないので、まじめに査読・精読すると、ほとんど同じ論文の日本語版ができてしまうぐらいの労力が必要。

そこから専門分野に関する意見を掘り下げていかねばならないから、余計大変。

さらに言うと、エンタテイメントVR、インタラクティブ関連だと、扱うべき、考慮すべき要素が、文化芸術ぐらいまで入ってしまうので、「国際会議=英語の会議」ではないというのもポイント。

美術や文化、ユーザに対する考え方は国ごと違う。英語を読めば、ラテン系なのかアングロサクソンなのか、アフリカやアジア系なのかぐらいの違いはわかることはあるけれど、問題提起や結論のつけ方などは一様に判断していいときと、不味いときがある。

たとえば共感覚、フォティズムの研究。 平たく言えば、色を扱う研究において「赤は女性・青は男性」なんて前提はあまりにステレオタイプに基づいているといわざるを得ない。もちろんそんな例ではないのだが、この種の論文で必ず出てくる単語「colored」が、フォティズムのそれを思い浮かべるのか、「有色人種」を思い浮かべるのかでも全く得られる印象は違うだろう。

…とか書いていると査読内容がばれるので、このへんで。

Synesthesia for VR

査読終わった。ちゃんと読みましたよ。

さて、共感覚をVRに使うという話は何も新しいわけではない。 擬似触覚に共感覚を利用した(という説をとる)論文もあるようだし(SIGGRAPH2000)。

でも今回の論文を査読して、関連する研究をサーベイしてみて気になったのはSynestheticなもの、特にphotisms(心像)が即物的に扱われているということ。さらに言うと、研究者が英国と東海岸に集中している。

何のことやらわからない人は、この実験をやってみるといい。 http://www.bbc.co.uk/science/humanbody/mind/surveys/synaesthesia/see/

共感覚については、1960年代ぐらいから研究されていて、音→色とか色→音とか、他にも味覚や触覚、嗅覚とのつながりが報告されているわけなんですが、これをオカルト的な超能力として扱うのは科学の範疇からちょっと外れてしまう。

幽霊を共感覚で解明するという話はラマチャンドランが有名。 脳のなかの幽霊、ふたたび 見えてきた心のしくみ

共感覚をポジティブな能力としてみることに異論はないのだけど、査読において、定性的な追試ができない現象をそのまま受け入れるわけには行かない。さらに言うと、昨今の共感覚研究は脳の認知モデル解明に近いところが熱い。脳の認知モデルのネットワーク形成と、色や数字が重なってしまうといった現象を脳のモデルから仮説付けた上で、VRシステム(この場合はVJシステム)として構成しました、という話なら受け入れようもあるのだが「私は共感覚者です・共感覚者の世界を体験できるVRを作りました」というアプローチでは、評価のしようが無い(ちなみに査読した論文はそんなにひどいものではありませんでした、むしろビジュアルなシステム部分はよくできていると思います、音響については論文からは読めませんでしたが)。

ちなみに論文中に「circle of fifth」つまりコード進行における五度円に関するくだりがあったのだけど、思うにコード進行自体が記号化(≒色彩化)可能なわけなんですよね。 たとえばこれ↓

http://blue.sakura.ne.jp/~esper/cgi-bin/chord/CircleOfFifth.cgi http://blue.sakura.ne.jp/~esper/cgi-bin/chord/CircleOfFifth.cgi?progression=Fmaj7(%2311)+Am7+Bbmaj7+Bb%2FC

コード進行→可視化というプロセスを具現化したCGI。ご丁寧に色までついている。作曲理論上、違和感のあるコード進行は耳で聞こえる前に目で違和感を感じる、という仕組み。音→色の共感覚者(坂本教授とか…)や絶対音感の持ち主は、これが見えているのかも。

この手の自称共感覚者さんに訊いてみたいんですが、和音は何色に見えるんでしょうね?上のような5度円?それとも色が混ざるの?加色混合法??

いずれにせよ「作曲」という職業においてはこの能力は「5555…の中から2」を探す能力よりも便利に違いない。しかし、脳モデル的視点で考えれば、音→色だけでなく、色→音に聞こえてしまう人も、また他の感覚につながって知覚される人もいるし、色覚異常・色弱さんのように特定の色そのものが「なんともいえない色」に知覚される人もいる(この色弱についてはピクセルシェーダーで再現可能であるなあ、とRichard君と語り合ったことがあるな)。

結局のところ何がいいたいかというと、特定の人間しか利用できない能力をアポステリオリにVRシステム化しても、応用の方法が無い。もちろんVJやゲームシステム、体験システムとして多少の興味は集めるだろうけど(おそらく開発者=共感覚者=本人にとってはアプリオリな意味を持つのかもしれない)。肝心なところは共感覚自体がもつアプリオリな意味、いまのところ脳のモデル解明といった仮説に基づく弁証法として、VR作品が使われるなら、高く評価できるのですが…といったところ。

きわめて普通のことしか言ってないので、自分がちょっといやになりますが、査読ってこういうものかもしれない(それ以前に評価方法とか仮説に対する実証とかが甘い論文だったこともあって)。

実際のところは「どうしてこんなもの思いついちゃうんだろうな!頭ちょっとおかしいんじゃないの??」という作品が、「えー、そんな理詰め科学の方法論できっちり書いてくるか??」という感じの論文を書いたりする例を期待している。間違ってもマーケティングと間違えた論文じゃないやつ。でも、そういう奇想天外な具現化(作品)って評価方法もかなり天才的である必要があるんですけどね、なかなかそういうのは無い。