そんなわけで息子とロボット、2日目。

一日目のBlogはこちら↓

http://ameblo.jp/akihiko/entry-10015954419.html

自分で書いていて謎なんだけど、これは児童心理学寄りのエントリーなのか、ロボットよりのエントリーなのか、それとも新しいエンタテイメントやインタラクティブメディアかなんかのエントリーなのか。

いろんな分野の方に、気楽な単なるBlogとして読んでいただければ幸いなのです。あと反応もほしい。

■映像2日目はこちら

http://www.youtube.com/watch?v=jfrYH4pHICg

script_ameba_vision_movie,http://visionmovie.ameba.jp/mcj.php?id=52s52pA7/x:bZhgVX:hd:fGy6ox_KAcd0YAfdPP8mIIWG:RNgbbi:y.:2mH7Xs6Raff/CimScqf

さてPCとの接続や基本的なサーボの動作確認、キャリブレーションを済ませたところで息子が起きてくる。

昨日の反応からするに、ロボットに対する反応はよかったので、命を持ったように動き始めたら、もっと好きになるのではないか、という予想はあった。

…が。

動くロボットを見るなり、逃げ出した。

どうやら、人形と同じ「モノ」であった『ロボットさん』が動き出したことに、恐怖というか、違和感というかを感じたらしい。

観察から、いろんな理由はあるのだが、多くはサーボモータに起因しているものが多い。

・音が怖い

・急に動く

・触ると堅い

SPIDARで子供向けVRコンテンツを作ってきた人間なので、DCモーターの利点を知っているからかもしれない。

でも、多くのロボット野郎さんたちが、サーボだけで2足歩行ロボットを作っているのを見るので、常識的にはサーボ、サーボで設計するものなのだろう。しかし産総研のHRPはSPIDARと同じマクソンモーターで出来ているというし、先日のSIGGRAPH E-Techでは川渕さんが「DBよりもやわらかい」空気シリンダ駆動のロボット腕を発表していた。

映像のほうは時間の都合上、1日目ほどは編集も字幕も打っていないので、見づらくて申し訳ないのですが、反響&時間があったら多少は修正するかもしれません、研究にも関係あるし。

モーション関係について、気がついたポイントを記しておきます。

■子供向けロボットとモーションに関する観察

・当初、勝手に動いているのが怖いらしい

・ホームポジションなど、高速に動くときが一番怖い

・触るときは指が挟まれる可能性などをまったく考えていないので注意(トルク的に大事故にはならないだろうけど)

・「倒れる」→「起き上がる」というWeird-7の大技!がもっとも心をつかんだ様子。

・「キック」や「突き」などの攻撃系の動作はまったく興味なし、相手がいないからかも。

・歩行系は、あまり安定していないのもあるが、怖いらしい

・それほど賢くないので?障害物をどかしてあげる必要があると思っているらしい

・新しい歩行モーションを開発するときは、息子が「引き起こし担当」を一生懸命やってくれるので助かる

「ちょっといろんな動きができるプラレール」 という位置づけでしょうか。

いろいろ気づく点があったのでまとめておきます。

■子供向けロボットに必要となるであろう要素

・見た目がかわいい

・さわれる

・関節がやわらかい

・速く動きすぎない

・壊れづらい

・音が激しくない

・安く作れる

・電池が長く持つ

・構造がある程度見える(理解できる、高学年向け?)

…といったところではないでしょうか。

もちろん対象年齢が幼稚園児なのか小学生なのか中高生なのかでは全然違うわけであるわけなんですが、それは「かわいい→かっこいい」、とか「速く動きすぎない→動作精度がよい」という点に変更が求められる、もしくは「音が激しい」といった制限が『許される』というぐらいの違いでしかないはず。

さらに加えると、

■家庭用のホビーロボットに求められる要素は

・明確なアプリケーション

・メンテナンス性能もしくは改造性能

・交換部品の入手しやすさ

…といったところが気になる。

具体的には以下のような点。

■明確なアプリケーション

 人間に近いBipedが何かモーションをする、というのは確かに面白いんだけど、自律性がない、1体しかない、といったあたりから、何か実用性要素があるアプリケーションがないと簡単に飽きられてしまうと思う。

 例えば電子部品のキットや電子ブロックでは「侵入センサ」とか、「オルゴール」とか「テルミン」とか、既存の電子製品や玩具に近い位置づけの使い方がある。もちろんそれはそれで飽きられるんだけど、子供の興味や集中力を引き出す『具体的な夢』というのはけっこうそういう「実用性のある具体的応用」だったりする。作ったロボットに何をやらせるか。

 そう、もっと世俗的なたとえを持ち出すと『算数を覚えても何に生かすのかわからない』という状態がホビーロボットにはつきまとってしまう。『フランス語を覚えて何するの?』でもいい。

 日常生活(のTV番組)に格闘ロボットがあふれる日本なら、『ロケットパンチやキックを繰り出して、敵のロボットを倒せる!』という明確な夢というかアプリケーションというか、タスクがあるのかもしれないが、残念ながらウチの家庭は暴力禁止だ。

 まあこれは「ユーザに任されている」ということに他ならないのだが、家事料理をてつだってくれないまでも『花壇の水遣り』ぐらいは任せられるようになってほしい(そうでないとスポンサーである嫁に理由付けができない、という冗談でもある)。

■メンテナンス性能もしくは改造性能

 Weird-7はサーボと木材でできているので、メンテナンス性能よりも改造性能のほうが上回っている。実際、ウチのTatta(仮名)は完成したときから首のサーボが甘く、ほとんど『Dr.スランプの則巻アラレちゃん』であった。歩くたびに、首が落ちる。

 これで夢の『則巻センベエ』ライフも一歩近づいたというものであるが、実際、歩くたびに首がもげるロボットというのは不気味で、嫁は絶叫するし、息子はなれるまで、ビビリまくりであった(ビデオ参照)。

 あまり選びたい解決方法ではなかったが、サーボホーンは瞬間接着剤で直すという手がある。明和電機の土佐社長には『ガムテープ工学』ならぬ『セメダイン工学』と呼ばれてしまいそうだが…。しかしラジコンと同じく、接着剤で直しても、構造上、衝撃に弱い場所というのはごまかしが効かない。次に転倒したときには、もうサーボホーンはサーボを巻き込んで「もげて」しまった。再起不能ともいう。

 結局のところ、夏のバカンス中のフランスでは、修理するにもサーボもホーンも手に入らないので、改造することにした。詳細は映像の後半を見ていただきたいが、大胆に上半身を捨て去り、電池ボックスをPelvisに配置。マイコン基盤の防御性能も上げた、という感じ。せっかくなら単4電池ボックスを使いたいぐらい。おかげで付属のモーションデータはほとんど使い物にならなくなったが、まあこれはこれで諦めがついたかなという感じ。あとはこの巨大な足(feet)を少しづつ削っていけば、Biped探求道のはじまりである…が、何かの解決になったのだろうか??

 しかしこのBiped探求道は原作者自身のテーマでもあるわけで。どうせならマイコン側とPC側のソースもほしい。せめてプロトコル解説とか。結局、自律動作をこのキットだけで実現するのは難しいので、PICすらいじりたくなる、環境はないので敷居は高いが。配線図と基盤を追いかけて、自分で制御用マイコンまで設計すればいいんだけど、そうすると、このサーボの塊がサーボの塊+よくできた板切れ、という存在になってしまってちょっと悲しい。

 …というかそこまでやると、中高生相手になってしまう(我に返る)。

 メンテナンス性能という意味では、木ネジ、タッピングビスで作る以上、接着剤ソリューションは必要なのかもしれない。そういう意味でも構造が単純で木工部品がエレガントにできているこのキットは「壊れようがなく」、下手にプラスチックでできていて、接着部や接合部が折れたらサヨナラ、という最近の玩具よりも出来がよいといえる。

■交換部品の入手しやすさ

 Weird-7のように木材とサーボとホーンだけでできているロボットはまだいいほうかもしれない。しかもキットを販売している共立電子のページにはかなり充実したオンライン販売サイトが準備されている。しかし、マブチモーターやタミヤのギアほど気軽に店頭で買える、というわけではない。 さらにいうと、壊れる部品、必要な部品が理解されてないような気もする(キット販売上の戦略かもしれないが…)。肝心のサーボホーンは注文ロットとしては250円なのであるが、ブッシュやネジと同梱で、ネジは壊れようがない(あ、1本、ありえない折れ方したか…)。しかも売り切れ中。ホーンだけ売ってくれ!!っていうか、キットにホーンの予備を入れておいたほうがいいんじゃなかろうか。高いもんじゃないし。多分2・3個入れても3万円は超えないぞ。

作者のかずひさんのホームページを見ていて気がついたのだけれども、米国西海岸在住らしい。少なくともWeird-72はサンフランシスコあたりからROBO-ONEに参戦している。サンフランシスコではFutabaのサーボやPICはともかく、この種の部品の入手は簡単なのだろうか。

あと、私の心の師の一人である、イラストレーター まつむらまきお氏が従兄弟だったりする。

人の心をつかむクリエイターというのは、何か遺伝したりする要素があるんだろうか。謎。

とりあえずまとめてみたい。

(1)子供とロボットを一緒に作るのは良いことだと思います

 ものづくりを学ぶ上で、構造を学ぶ、大変さを学ぶ、という重要な学習ができます(精神論ではなく…)。

 最近の玩具はプラスチック製&ブラックボックス化が激しいので、キットで3万円というのは悪くない値段です(上限)。

(2)危険性と安全性

 コンピュータゲームに指摘されるような脳への悪影響が心配されそうな要素は、あまり見つかりません。

 なぜかというと、単純作業といっても「デジタルなキャラクタに対する攻撃」などではなく、「ひたすらサーボに100個部品を精度よく取り付ける」といった『地味な忍耐力』が必要になる作業が多いので。

 興味と忍耐力が同居するのに知識や技術が手に入る、という条件は学習環境としては良いものでしょう。

 ただし危険性はあります。主に工具ですね。Weird-7はすごいことに、ドライバ1本とハサミしか使いません。

 半田ごてやテスタ、旋盤、ボール盤、万力にニッパ、ラジオペンチ、瞬間接着剤にガムテープ、といった危険な工学系基本装備が必要ないのです。木工だから。これは下手するとMechanoやマインドストームに匹敵するお手軽さです。

(3)何をさせるか

 私の場合は、ひたすら作り、そしてひたすら治し、そしてひたすら改造した上で、やっと『歩かせる』というアプリケーションの入り口に到達しました。

 ガンプラ世代としてはこの後は「戦わせる」か「自爆させる」か、です。残念ながら。

 三月兎さんのレポートには「子供にデコレーションさせる」というアプリケーションがありました。

 これはこれでかわいらしくてよいのかもしれませんが、せっかくの2足歩行ロボットなのであり、モーション作成ソフトウェアなどもついているので、『子供の遊び相手になるような』アプリケーションが子供自身で発見できるようになると良いのではないかと思います。残念ながら、PCがないと制御できないというキットではありますけど。

今回はこれで筆をおくことにしますが、かずひさん他、このプロダクトに関わった人々に感謝と継続をお伝えしたいところです。

補足:

上記Blogはとりあえず買ってでできること、の2日目の状態です。

Kenさんという方がWeirdなロボットのポータルを作ってらっしゃいます。

もちろんサーボコントロールプログラムのソースなどもありました!

http://www13.ocn.ne.jp/~kenslabo/Weekly/download.htm

すばらしい。自作ロボコミュニティ。