日本のCGはNPR(ノンフォトリアリスティック・レンダリング)が強い、といわれてきた時期もあるけど、最近はそう一概に言えたものではないと思う。 まさに自分が去年まで働いていた分野でもあるのだけれど、 特にHD時代が「次世代」ではなく「現世代」になってから、フォトリアリスティック、TV向け、VFXのクオリティ向上は容赦ない(+リアルタイム、という研究をしていたわけですが)。 研究をしていたときに常々、このフォトリアリスティック&TV向け&VFXという集合の応用について悩まされてきたわけですが、最近ではNHKで円谷特撮の原点「WoO」をハイビジョン特撮ドラマとして制作したり、ちょっと状況が変わってきたようにも思います。 「生物惑星WoO」 http://www.nhk.or.jp/woo/ 民放では以前から特撮ヒーロー、戦隊ものでハイビジョン合成が行なわれてきたわけですが、個人的には2D合成はもうAfterEffects,Premiereでゲロが出るほど作り/見飽きているので見る気が起きませんでした…が、戦隊シリーズではなく、シナリオは広井王子・レッドカンパニーが協力し、白組がVFXを担当している「魔弾戦記リューケンドー」は、ちょっとヤバいクオリティです(もちろんいいほう)。 「魔弾戦記リューケンドー」 http://www.tv-aichi.co.jp/ryukendo/cast.html マイミクのたけぴょさんをはじめとするお母さん方にもとても評判のよいストーリー、「魔物→恐怖を与える→マイナスエネルギーを集める」というプロットは「絶対無敵ライジンオー」(サンライズ・1991年)に原点があることを注記しておきますが、ロケ地が気になる「あけぼの街」のノンビリ具合、豪華キャスト、どんなに暴れまわっても破壊されない街、謎と含みのあるシリーズ展開、特撮ファンが思わずクスっとしてしまう「大人のネタ」が随所にちりばめられており、一度は見たほうがよいと思います…じゃなかった、VFXのクオリティがまるでTVシリーズではありません。 おそらく白組が鬼武者3などで培ってきた、ミニチュア制作&HDR撮影& vRay(じゃないかもしれないけど)によるGIレンダリングの成果が生かされているのではないかと察します。 逆を言えば、毎回「あけぼの町」で事件がおきるからこそ、完全な「あけぼの町」のミニチュアを作ることで、さまざまな光源(朝・昼・夕方・夜・暗黒)、さまざまな視点での映像が自由に作り出せるのでしょう。 また、サポート役のロボットが出てくるのですが、石の森正太郎シリーズだとつい「着ぐるみロボット」になってしまうところが、ほぼ完全にCGであるところがすばらしいです(もちろん着ぐるみショー巡業では着ぐるみでしょうが)。歩き方が「着ぐるみロボット」ではなく、「軽めのCGロボット」、そうちょうど、バーチャロンのように見えるのがちょっと残念ですが、アニメーションキネマティクスをすこし改良すればもっとリアリティが上がると思います。しかし、なんと言っても注目すべきなのは影や環境光への馴染み方ですね。CGキャラクタや、敵怪人の激しい物理攻撃(例えば鉄アレイが空から降ってくる…とか、やたらと光線に頼らない)、衝突時の煙などが、かなり緻密に計算されたカメラワークでヒーローと合成・共演されてます。 最後に映画「小さき勇者たち ~GAMERA~」を紹介します。 http://gamera.jp/ タイトルからすると、まるで「ミドリガメが集団で戦ってそう」な感じですが、かなり泣ける映画に仕上がっているそうです。 ガメラといえばもとからちょっとかわいい感じの怪獣でしたが、オリジナルのガメラでもミニラでもなく、その間ぐらい、ちょうどガンダムぐらいのサイズに最終的には育つようです。 ところでガメラ3のVFXを担当していた「デジタルエンジン」って今は解散してしまったんですよね? どこがVFX制作したのか情報ありませんかねえ? スタッフ公式Blog http://blogs.yahoo.co.jp/totogametarou