SF映画のような美麗で超高速なCGのゲーム作品「AceSpeeder2」に、 最も適した全身型ヒューマンインターフェイスってなんだろう。 とりあえず技術的な要素はほとんど片付いてしまった。 木村君と二人がかりで組んでいるというのもあるのだが…。 おそらくこの二人で取り組んで作れないヒューマンインタフェースというのはあまり思いつかないぐらいのコンビと思われる。 ちょっと足りないものといえば、時間と、お金と、数学力ぐらいかな…。 掌の肌色認識は、実験したところ、なんと3人種とも成功してしまった。 詳細な技術は明かせないが、秘密は照明にある。 そういえばE-Tech&千葉大も去年、似たような技術を使ってたな。 システム構成と装置の価格は破格なほど安いけど…。 そしてGPUVisionは日増しに高速&安定化している。 まあソースの整備をしている、というのが実情だけれども、かなりいろんなアプリケーションに対応できるよう育ちつつある。 実際には高度で難解なコンピュータビジョンを実装しなくても、面白いアプリケーションに繋がるための仕組みというものは作れるはず。 それに、学生やメディアアーティストっぽいひとたちが「これはきっとコンピュータビジョンでできるはず」と思っている用法が、今までの手法だとどうやっても8-15FPSしか出なかったわけなんだけど、GPUVisionだとモノによっては600FPSとか出てしまう。まあもちろんカメラのキャプチャがそんなに速い(高価な)ものが用意できるわけじゃないので、せいぜい60-90FPSがキャプチャ周りの速度なんだけど、それでも全然速い(ちなみにこのカメラはフィリップス製で日本では売ってない)。 今の「産みの苦しみ」は『ファンタスティック・ファントム・スリッパ(FPS)』を1997年に作ったときの状況によく似ている。 「技術的に当たり前な技術」を組み合わせて、何か作ったとしても、それは「おもしろくない」のだ。 カイヨワや私の「遊び研究」における『予測された結果』だからだと思う。 FPSのときは、当初、床にタイルのようなものを投影して、それを順番に踏めば「ダンスしている!」というコンテンツがつくれるじゃん、というアイディアが出た。これは自分的にもかなり熱かったが『じゃあ、スイッチでいいじゃん』とか『ファミリートレーナーに敬意を』ということで没にした。せっかくデモのようなものも作っていたのだが。 FPSでつかったモーションキャプチャシステムはPSDという半導体カメラでこれも1灯なら400FPSも出てしまう代物だった(ただし座標ではなくて赤外線光の重心)。プロジェクタの光の下で、何度もモーションとインタラクションを検討して、ふしぎな感覚を味わいながら、何日も徹夜して、何度もプロジェクタの光で夜を明かしたものだった。 とにかく、面白くないといけないのだ。 さらにいうと、理由が欲しいのだ。 もっというと、見た目がカッコいいこともかなり重要だ。 「そこにその技術があったから」とか 「先生が言ったから」といったような理由ではなく、 作品としての必然性が欲しい。 ゲームデザイナとかファミ通用語だと 「操作感」とか「ゲーム性」なんだけど、 ヒューマンインタフェースは私(=非コンシューマの人)にとってはゲームデザインの一部だし、科学者の端くれでもあるので「人間が快適に・楽しく感じる応答速度」については妥協をしたくない…というかむしろ調査対象。 とても欲張りなことであるのだけど、 これをいい加減にしてしまった挙句、 「デモ以上、作品以下」というプロジェクトを世界各国で見ている。 だいぶ、見えてはきているので、 あともうすこしでブレイクスルーがある予感。