写真家時代に風景写真を撮るのはあまり好きにはなれなかったが「この世の終わりみたいな空」を撮るのは結構好きだった。 「最終兵器彼女」というマンガと近年になってであったが、あの若者たちが見た空というのが、まさにそれだと思う。いつもと同じ夕暮れのはずなんだけど、もしかしたら二度と太陽は昇らないかもしれない。そんなことを感じさせるような日没の方が、何も気がつかないで過ぎ去った日よりもよっぽど大切なはずなのである。 フランスは日没が本当に遅い。北欧の方は日照時間が短いせいで鬱になる、というが、長すぎるのもそれはそれで大変なのである。気持ちの切り替えが出来ないまま、15-21時ごろまですごすことになる。 しかし、こんな夕陽を見ると「ああ、明日はもう来ないかもしれないな」と、ありえない大地震や戦争についてちょっと考えてみたりもするし、そんな終末がやってくるなら、こんなつまらない仕事をしてないで、早く家に帰って家族の顔をみて、何気ない一日の終わりを何気なく迎えるのが、本当の幸せだと思ったりもするのである。 というわけで、この写真は、そんな切羽詰った生き方をしている働く諸兄諸姉にささげます。(高解像度版もあります)