原発をいま止めるべき10の理由 – Ten urgent reasons to stop nuclear plant now

「川内原発を止めてください。」(change.org)

パリ在住のアーティスト,新津 亜土華 さんに紹介されてこのchange.orgのキャンペーンを知りました.

私はフランス暮らしを通して職場での常識的な政治ディスカッションやクリティカルシンキングについて経験を積みましたが,現在,日本のコンサバティブな職についている立場上,政治的思想的な発言はできるだけ控えたいです(ここは個人ブログですが,社会の一員として社会的な責任を持っているが,政治思想の発言ではないことを明言しておきます).
この問題,昨日までは4:6ぐらいで「継続稼働いたしかたなし」という風潮で理解していました.
主な理由は「現地の人々が復興を頑張っているのにその電力を県外の人々の”不安”だけで止めてしまってよいのか?」という意見によるものでした.主にTwitterで.

しかし,エネルギー関係のエンジニアであった父の話や,
新しくなった日本科学未来館「100億人のサバイバル」ゾーン1での毛利館長のメッセージなどを見るにつれ,
急速に考えが変わってきました.

署名するかどうか,署名したからどうなる,ということではありませんが,ここ数日モヤモヤ考えていた疑問や不安を,以下「原発をいま止めるべき10の理由」としてまとめてみました.

1. 福島の失敗から学んでいない

北澤宏一先生(元東京都市大学学長・独立行政法人科学技術振興機構顧問・東京大学名誉教授)が晩年の最後の仕事としてまとめた「福島原発事故独立検証委員会有識者委員会」のデータ,経験,失敗から何も学んでいない.

2. 想定外の自然災害

現在起きている群発地震は気象庁の観測史上初の現象であり,想定外の自然現象であるといえないか?単発の地震であれば耐えられる問題も,物流が停止し,人員が自由に移動できず,リソースも判断も平時ではない状況で,すでに想定外の状況に入っていないか?

3. これは経済問題なのか?

技術的に制御できる,止められるのであれば止めるべきであることは一般市民であっても理解できる状況.「異常はない」という情報はしつこいぐらいに報道されているが,人々は異常がないことを知りたいのではない.何日あれば安全に止められるのか,止めることによってどのようなリスクがあるのかを知らされるべき.技術的な問題のレイヤーと経済問題,政治的な問題,訴訟問題などを分けて考える必要がある.訴訟をすることで1日1億円の補償金がかかるとしても,福島での事故によって,日本が失った国土は経済的に復旧可能なのか,と考えると,これは経済問題ではない,という判断にならないのか?

4. リスク管理ができていないのでは

「異常がない」と報道されているが,止めること,継続することに対して,どのようなリスクがあるのかをどう管理できているのかの情報も,判断もない.少なくともNHKニュースの「異常がない」という報道が真実だったとして,世界各国からの視点で,どのように異常がないのか,例えば建物の損傷やインフラ,従業員の被災状況などビジュアルで理解できる写真や説得力のあるデータが一切ない.

5. 制御できない科学技術となっていないか

原子力発電所を構築する技術のうちいくつかはその安全基準の判断に疑わしい条件がある(原子炉格納容器漏えい検査の不正とその事実に関するTEPCOのH14年における経緯説明など).福島での事故においてそれらが現実の事故として明らかになっているにもかかわらず,現状においても「異常がない」とする姿勢はすでに我が国における原子力発電所が制御できない科学技術となっていないか?

6. 経済戦争が理由になっていないか

原発の運転継続となる判断が,過去のエネルギー戦争や経済戦争が原子力発電所の建設ラッシュ,またはその建設による借金が背景にあったとして,この経済戦争が続いているとして,原発の灯を落とすことがその戦争への戦線を下げることとしても,この行き過ぎた競争をクールダウンさせる理由として,福島での事故やこの自然災害の脅威を肯定的に使うことができないのはなぜか?リスクを取ってヒートアップさせる理由があるのだろうか?

7. これはカミカゼなのか?だとすれば国土でやることか?

リスクを取って勝利を得ようとする,これは日本のかつての歴史に何度か登場したカミカゼ精神に他ならない.だとすれば,それは自国の国土を永遠に消えない傷をつけてもでやるべきことなのか?運よく自然環境が味方することもあるだろう.しかし現状は,自然環境は明らかに日本人にとって不利に傾いている状況であり,原発運転継続はプラスの要素は一切ない(安全に稼働していれば,プラスマイナスゼロの状態).マイナスの要素としては事故のリスクであり,福島のように永遠に立ち入れない土地を増やすだけではないか.そこで地面を削る事業を延々と生み出しているという意味では喜ばしいと考える人々もいるのかもしれないが,それはプラスではないだろう.

8. 国際社会における責任を考えていない

少なくとも,私は海外の友人たちに「なぜ日本は九州の原発を止めないのだ,何ならほかの原発だって止めたほうがいい」という質問や忠告に対して,説得力のあるデータや写真や理由を持ち合わせてはいない.「現地の人々にとってこの電力は必要なのだ」という意見も,九州電力のでんき予報(http://www.kyuden.co.jp/power_usages/pc.html)を見る限りでは 943万kW, 77%と需要は減りこそすれ余裕がある.つまりYes派だってきちんとデータをみてつぶやいているわけではないのではないか.

九州電力による「でんき予報」電力使用実績データ(4月上旬)

前項とも密接に関係するが,国際社会から「日本人はクレイジー」という否定しがたい風評をあてられるマイナスも考えていただきたい.日本は原発事故のおかげでノーベル物理学賞を獲得しているわけではない.きちんとデータをもって考えるべき.

9. これだけの止めるべき理由があるにもかかわらず,議論が全く不透明なまま継続ありきの異常さ

素人視点でこれだけの問題が出てくるのに「異常がないのだから継続すればよい」という簡単な状況なのだろうか.政治家も報道も,国民市民に説明するのが仕事にもかかわらず,説明は十分にされていない.地元の人々にはされているのだろうか?この震災で国会TPP特別委員会が連日中断しているが,(プロ市民を除いて)報道やネットでの風潮を含めて,議論を整理して,一般の人々にわかりやすく「止めるべきなのか,止めない理由があるのか」をきっちりと理解できるように説明していない.どこでどのようにディスカッションされているのか,一般市民が国際社会に向けて説明できる程度の情報や証拠は必要な状況では.

10. そもそも日本人は自分の意志で原発を止められないのではないか

大変残念な最後の項目ではあるのだけど,もしかして日本人は「電気は使うけれども,原発を止める選択肢なんて最初から持っていない」のではないか?だとすると,原子力発電所は「技術的には止められるが,経済的には止められない,ブレーキの壊れた乗り合いバスのようなもの」ではないか.この現実が認識できているのだとすれば,それは今すぐ止める努力をしなければ,例えば,みんなでブレーカーを落として,電気契約を解約するぐらいの抗議運動でもし続けないと,本質的な解決にならないのではないか.

以上,私は原子力が専門ではないのでたぶん間違っていることも多くあると思います.でも一般の人がモヤモヤしていることを箇条書きにすることはできたと思います.

change.org立ち上げ人の高木博史さん,
どこのどなたか存じませんが,
異常な状況にある日本人に疑問を投げかけてくれてありがとう.
英語併記で立ち上げてくれてありがとう.
でも画像はもうちょっと説得力のある画像にしたほうがいいかもしれない.

ちなみに私は現存するどこの政党にも協力するつもりはありません.節電には協力したいですが,
特に日本の左寄りの政党には協力するつもりはありません.

政治的な潔白が不透明なままの場合は,本キャンペーンへの応募は取り消したいと思います.

 

以下,「偉い人視点」で

じゃあどうすればいいの?

をまとめてみます.

<いますぐやるべき原発推進派の情報開示>

  1. 福島の失敗と異なる止められない点について表でまとめる
  2. 現在の群発地震が想定内であることを写真で表現する
  3. 仮に止めるために必要な技術的なプロセスと,判断プロセス,実際に止めるとなった場合の経済問題を表にまとめる
  4. 「異常がない」の判断基準について表でまとめる(実は細部は異常があるのですが,関係各位の努力で異常が無いことにしてます,ということも含めて表現する)
  5. 止める判断をした後の技術的プロセスについて,実際に想定外の事故が起きてしまったぐらいの詳細さでHP上で明示する
  6. 継続運転することのプラスの理由を表現する
  7. 現時点で人々が不安に思っている不確定要素について,FAQ形式で紐解いていく
  8. 日本語と同じ情報を海外に向けて同時発信する.YouTube等の動画でも発信すべき.
  9. 原発を止める判断をする窓口,プロセスはどこだかはっきりする.少なくとも事故が起きた時の責任の所在の明確化.
  10. 国民の選択の上で継続しているのかどうか?もし積極的な節電や電気契約解除にまでたどり着くと影響があるのかどうか?この問題に対してNoと叫びたい人とYesと叫びたい人の正しい窓口について明示する.

以上.