箱根関係について。 子供たちにとってはロープウェイやらケーブルカーやら登山列車やらが楽しいので、あまり気にしていないとは思いますが、われわれの住む日本は日本中、活火山なのです。 登山客の中心であるシニア層視聴者が多いNHKが特に騒ぎすぎという感じがします。 ■箱根山に火口周辺警報 警戒レベル引き上げ(5月6日 6時07分) ■箱根山 火山活動活発な状態続く(5月7日 18時52分) いつもの火口の映像も、報道の仕方、キャプションのつけ方によっては”今起きている災害”を印象付けることができます。 「噴火警戒レベルが始まってから初の」という表現が特にそのヒステリーを象徴しています。本当でしょうか。 現在、日本中を見回すと、噴火警戒レベル2-3はこれぐらいあります。 http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/keikailevel.html [caption id=”” align=”alignnone” width=”594”]気象庁の 気象庁の”各火山のリーフレットと現在の噴火警戒レベル”より[/caption] 一方で、昨年9月の御岳山噴火が早くも記憶から消え去っている感じもわかります。登山客が巻き込まれる事故は避けたいものです。 しかし、多くの人々にとって、GWから夏の行楽シーズンは箱根で生きる、箱根を楽しむ人々にとって、もっとも中心的なシーズンにあります。 はたして何が危険であり、何が安全なのか、 それは人によって異なります。 相模の国に暮らす私としても、日常から ・箱根で噴火があると何が起きるか ・富士山噴火した場合はどれぐらい社会が混乱するか といったシミュレーションを家族としています。 もっとも重要なのは物理的な被害の及ぶ影響と、それ以外の社会システムの混乱、そしてそれが「どれぐらいの期間続くか」であります。 研究者や桜島の人にとっては「想定内のレベル」であっても、正しい情報と理解がなければ混乱につながるのです。 お近くの火山や地質の研究者は「どれぐらい安全で、どれぐらい危険なのか」を、科学の専門として測定・観測したデータから可能な限り、発信していただきたいと思います。 それぞれのデータは断片的かもしれませんが、個々人の「安全/危険」を判断し「想定外の不幸」をなくす上では大変重要なことと考えます。 以上、情報メディアの研究者からのお願いでした。

そもそも噴火警戒レベルとは何なのか?

そもそも「噴火警戒レベル」とは何なのでしょうか?実は噴火警戒レベルは、地域によって異なります。 気象庁が全国統一でレベルと被害規模、避難の内容を定めているわけではなく、このレベルは地元自治体・関係機関等と協議して作成しており、各レベルにおける具体的な規制範囲等については地域防災計画等で定められているそうです。 つまり、2014年の御嶽山噴火被害や桜島とはまるっきり異なる可能性がある、ということです。 上記URLで紹介した、気象庁のHPにある「箱根山の噴火警戒レベル」の情報を紹介します。 http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/level/Hakoneyama.pdf hakone1 hakone2 2015年5月7日現在の噴火警戒レベルは2です。 これがレベル3の「入山規制」に引き上げられたとして以下のレベルになります。 _●地震活動や熱活動の活発化、山体の膨張を示す地殻変動等、状況により居住地域の近くまで影響を及ぼす噴火の発生が予想される。 有史以降の事例なし _ さらにレベル4「避難準備」で以下の通りです。 _ ●有感地震の多発や顕著な地殻変動等により、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生する可能性が高まっている。有史以降の事例なし _ なおレベル5の「避難」は「居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある」という状態で以下の記述があります。 _ ●溶岩流や火砕流の発生など、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火の発生。 3000年前:冠ヶ岳溶岩ドーム形成、火砕流発生 ●規模の大きな火山性微動の発生等、居住地域に重大な被害を及ぼす噴火の発生が切迫している。有史以降の事例なし ●小規模噴火が発生し、火口から約2km以内に大きな噴石飛散、火砕サージ発生。 12~13世紀:大涌谷で水蒸気爆発、火砕サージ発生 _ 注)ここでいう「大きな噴石」とは、主として風の影響を受けずに弾道を描いて飛散するものとする。 ** ※このレベルは地元自治体・関係機関等と協議して作成したものです。** ** 各レベルにおける具体的な規制範囲等については地域防災計画等で定められています。** 以上、我々一般市民が入手できる情報で、相模の国で起きうる影響をいろいろ想定してみますと… ・箱根ロープウェイ運休 ・小田急線が止まる(海老名あたりで折り返し運転?) ・火山灰が降ってくる(マスク装備、洗濯物が干せない、車が大変) ほかに何かありますでしょうか? 専門の方、お気づきの点がありましたらご指摘ください。改めてお願い申し上げます。 (5/8 追記) その後、行き過ぎを訂正する報道がありました。 ■箱根町 規制エリアは狭い範囲 HPで周知(5月7日 17時00分) いったん危険を伝えてしまうと、なかなか客足は戻らないと思います。警告が解除されているわけでもありませんので、実感として「大丈夫だ」と伝わる必要がありますね。 っていうかこの報道にも箱根町のホームページへのリンクがないので、以下紹介しておきます。 ■観光客の皆様へ(箱根町企画観光部観光課)

観光客の皆様へ  平成27年5月6日(水)午前6時に気象庁が、箱根町大涌谷園地付近(噴煙地)に火口周辺警報(噴火レベル2、火口周辺規制)を発表いたしました。  それに伴い箱根町では、地域防災計画に基づき、大涌谷園地への立ち入り規制を行いました。これは、観光で訪れる皆様の安全を守るための措置です。  火口周辺警報(レベル2)が出ているのは、大涌谷噴煙地を中心とした半径約300mの範囲内です。そのため、大涌谷を通るロープウェイや、そこへ繋がる道路及びハイキングコースの通行止めを行っています。  今回の措置は、大涌谷の噴煙地に近いごく一部への立ち入りを規制するもので、箱根の他地域まで規制が及ぶものではありません。  したがって噴煙地以外の各地域の施設や交通機関は、平常通り営業(運行)しており、住民もいつもどおりの生活をしております。  観光客の皆様におかれましては、町や関係機関からの関連情報に十分留意していただきながら、つつじ、新緑の箱根観光を満喫していただきたいと思います。   ※箱根に「箱根山」という名称の山は存在せず、箱根内輪山(早雲山、神山、駒ヶ岳等)と箱根外輪山(金時山、明星ヶ岳、大観山等)の総称として使われております。 ※火口周辺警報(レベル2)とは、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生、あるいは発生すると予想される場合で、火口周辺(半径300m)以外は通常の生活ができます。    箱根町企画観光部観光課

また大涌谷にある「箱根ジオミュージアム」のライブカメラへのリンクを張っておきます。 ■環境庁:インターネット自然研究所/箱根・大涌谷 - 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251( 大涌谷 )
http://www.sizenken.biodic.go.jp/live/view.php?camera_no=48
なお、このライブカメラは火口側には向いていないそうで、風向きによっては噴気が見えるかも、というカメラです。 でも、自治体や警察、研究者などは駐車場に現れるでしょうから、陰謀論を唱える人や、自分の目で確かめたい人には役立つかもしれませんね。 [caption id=”attachment_12070” align=”alignnone” width=”640”]大涌谷ライブカメラ:画像取得年月日 - 2015/05/08-12:00 - 大涌谷ライブカメラ:画像取得年月日 - 2015/05/08-12:00 - [/caption]