+———————————————————————-+ |◆ Laval Virtual 2010 参加報告 +———————————————————————-+ 加藤 寛士(電気通信大学) パリからTGVで西へ2時間強,フランスの地方都市Lavalで毎年開催されるLaval Virtualは今年で12回目の開催(2010.4.06 - 11)であった. このイベントは,欧州最大のVR分野のデモンストレーションイベントとして世界 的にも名高く,日本からも多くの研究チーム・企業チームが参加し展示を行って いる.今年の展示ブースの数は企業・研究機関による出展を併せて80を超え,来 場者は4日間で12,500名であったと聞いている.これは過去の大会から見ても最 大規模の盛り上がりであった. 来場者は専門家から地元の家族連れまで幅が広く,展示者側も学ぶものが多かっ た.私のチームのブースにも常に体験待ちの列ができるなど,展示はハードワー クとなったが.多くの人に楽しんで体験していただける嬉しい機会となった. またIVRCとの関わりから,日本の学生が企画・作成したVR系作品も複数出展され た.そんな中,金沢工大学園の学生チームによる妊婦体験システムMommy Tummy, 大阪大学の学生チームによるダイラタンシー流体を利用した触覚提示デバイス Haptic Canvasの両作品は見事Awardへの入賞を果たした.Awardは学生チームも 研究者も同じ土俵で入賞を目指すもので,学生チームだからといって審査に手加減 はない.日本VRの層の厚さを思い知るとともに,同じ学生である私も奮起を促さ れた出来事であった. さらに,東京大学・慶應義塾大学が参加したテーブルトップホームエレクトロニ クスインターフェースCRISTALのチームはLaval Virtual 2010グランプリを受賞 した. Laval市は歴史を感じさせる建築物と人々の生活が見事に融和した,美しい街で ある.どこを向いても「世界の車窓から」のような光景で写真を撮れてしまうの で,最終日になる頃にはカメラを持ち歩くことにも飽きてしまったほどである. また,会場スタッフ,地元学生によるフランス語サポートのボランティアチーム のメンバーには助けられ,交流も楽しむことができた.地元の人達も非常に親切 にしてくださり,街全体で会を盛り上げるという気運が心地よく感じられた. このような素晴らしい展示環境は,Laval Virtualの良き伝統として,毎年受け 継がれているものと聞いている. 次回以降の開催では,本記事読者の皆様も優れた技術の展示やLavalへの滞在を 楽しまれることを心からお薦めしたい.