子育ては金がかかる、なんて当然なんだけどね。 ■子育て悩み、トップは「かさむ出費」…厚労省の追跡調査(読売新聞 - 11月21日 19:53) http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=345218&media_id=20 意外と、「何にいくらぐらいかかる」って把握している人が少ないのが面白い。 http://news.mixi.jp/list_quote_diary.pl?id=345218 さらにいうと、各家庭でけっこう違うし、平均価格に達してない人が多いのも面 白い。 でも多く聞かれるのが「子供がやりたいって言ったらやらせる」って意見。習い 事とか。 日本語ではそれを「かさむ」というはず。 判ってる出費なら、かさむって言いません。 まあ自分もそういうことないとはいえないんだけどさ。 それって結局、不足の出費を払って、子供の思いつきでどこかの誰かに教育とか を預けるって事ですよね。 そういうのこそ、計画的にできないもんなんですかね。 家族の時間を削って、習い事させて、お金払って…。 私立の学校に行きたいとか塾に行きたいと言い出したら、行かせる。 そんなの手遅れじゃん、行きたいっていう前に、ちゃんと計画するとか、 普段から子供の才能と向き合って暮らしたらいいじゃん。 まあこういう考え方って変わってる、のかもしれないけどね。 「習い事」なんていろいろ沢山やらせたって、集中力が散漫になるだけで、天才 になれるわけでもないし、世界のトップにたどり着けるわけでもないし。 生涯学習ですよ。ほぼレジャー。 そういうのこそ、他人に任せないで、お父さんと体験してあげてほしいんだけど。 そういえば、大学のときのK先生は「子供一匹3000万円の請求書」って言ってた。 まああながちおかしい計算じゃないとは思うけどね。 大学までいくか、私立か公立かでずいぶん額は異なるよ、でも5歳のお習い事と かじゃなくて、10代後半の進路のほうが全然額も個人差も大きいんですけど。 そんなわけで厚生省の調査は全然無駄じゃない。 むしろ、子育ての名を借りた巨大なレジャー産業の実態を明らかにしてほしいと 思う。 お習い事だけじゃなくて、衣食住、保育園・幼稚園など、いったい「子供一人当 たり、月いくらかかるのか」これをはっきりさせないと、少子化なんて社会不安 にしかならないよね。 中国人留学生(既婚女子)の小雪ちゃんいわく 「2人子供居て家族4人を2人の収入で支えるなんて、きつい」 という。 まったくそうなんだけど、「一人っ子政策」だったからってのもあるけど、中国 の豊かさって、いままさにそっち方面、自分の自由になるお金、車とか物理的な 豊かさ、プラス、子育てにかかる沢山の金。いくらかかるか、全然先が読めない。 ところでフランスは幼稚園から大学まで、ほとんど学費がかからない。 給食費だって、世帯収入次第。家で昼ごはん食べに帰ることもできるし。 まあそのぶん、税金20%なわけですけど。 子供が4-5人居ても、全然不安なんかなさそうだし。 むしろ、年5週間もあるバカンスのときに、家族総出でどこ行くよ?って感じで すよ。 ちょっとディズニーランドに行くのだって、すごい予算になっちゃうわけなんで すけど。 まあでも、お習い事(もちろんフランスにもある、でも公共ベースなので高くな い)にかける予算よりも、そういう家族とともに過ごす時間にかける負担のほう がよっぽど気合入ってるよな、この国は。 あと「自分の時間がなくなった」とかいう理由は、まあ当然かもね、去年までの 調査ではおそらく4歳児以下なので保育負荷は高いよね。 でも、子供、人間の人生ひとつふやしておいて「自分の時間がなくなった」なん てよく言うよね。喜びの時間、ってことにしておいたほうがよっぽどすっきりす るのに。 そうそう、Wikipediaを眺めていたら、生物学的・発生学的に、どうして人間が 一夫多妻とか多夫一妻とかでなく、一夫一妻を基本としているのか、という視点 で書いているアーティクルがあって興味深かった。しかも「結婚」とかいう項目に。 簡単にいえば、戦略的として、一夫多妻をとると、ある縄張りに入ったメスを保 護して(=囲い込んで)、ほかのオスを追い出すことによって生殖・子孫繁栄が成 立する。目的は「沢山産ませること」なのであって、メスが産んだ子供をオスが どうにかするのが目的ではなくて、外敵によって数が減るよりも、沢山産ませ る。アザラシとかがそういう生物なんだそうな。だからオスはどんどん大きくな るし、戦闘能力の高いオスのみが子孫繁栄できるようになる傾向に。 対して、一夫一妻の生物は「メスに好かれるオス」が子孫繁栄できる傾向にな る。具体的な理由としては、産んだ子供が不完全で、さらに妊娠~出産~産後の メスが弱い状態にあるため、外的に対する戦闘能力よりも、メスや子供を防御す る能力や、縄張りの外にリスクを犯して食料を手に入れてくる能力、メスをサ ポートする能力が求められるらしい。 まあ、発生学ってのは「卵が先か鶏が先か」って視点もあるので、証明には専門 的なフィールドワークや実験が必要だと思うけど、雑学視点では面白い。 現代日本の人間社会では「メスに好かれるオス」の条件が非常に複雑だからね。 これって文化人類学なのかもしれないけど。 さらにWikipediaでこの項目を掘ってみると「家で家事に集中したい女性」につ いての言及もある。フェミニスト、反フェミニスト、『どちらの立場からも都合 が悪い』と表現されているけれど、実はけっこう真理、というかメインストリー ムを突いているのかもしれない。実際、日本の保育環境だと、子供を保育園に無 理に預けてパートに出ても、収入はそのまま保育園(入園金、制服、イベント 代、etc…)に払う状況だし。 そんなわけで、見直してみると、お父さんの家族への貢献度が「稼ぎ」だけだと すると、この「子育てにはお金がかかる」って悩みは、まさに「お父さんの変 革」を5歳の子育て環境にして求められているってことだよなあ、他人事じゃな いけど。 今まで何度か書いているけど、フランスは決してハイテク国家ではないけど「家 族先進国」だと思う。 女性の社会参加、社会システム、社会負担、金銭的なサポート制度、市民の目、 教育を取り囲む環境、価値観の多様化…どれをとっても10年、20年といった時間 をかけて、フランスは今の状態を作り出している。 日本がいまから付け焼刃的にどうにかしても、到底追いつけない域かもしれない。 日本では江戸儒教的な思想がけっこうこの問題を社会が邪魔してしまうことがあ るのだけど、フランスでもキリスト教びったりの家族観からすれば、いまの夫婦 別姓、婚外子、離婚の一般化、沢山のファーストネーム、手厚すぎるほど手厚い 社会保障制度…なんてのは違和感あって当然だったと思うし。 お金は生活には必要 お金がないと制約を生む でも、お金はお金の問題であって 家族の問題とは別なんだよなあ もっと向き合って生きよう 家族とも、お金ともね。