出身研究室である東工大・佐藤研「Splash Fishing」チームから依頼されていた、Laval Virtual終了後→SIGGRAPHまで預かっていたパウダースクリーンの発送作業がやっと終わりました。 まあ完全なボランティアなんですが、日本→フランス(ラバル)→日本→アメリカ(ボストン)→日本と送るよりは、私の研究室で預かって、ラバル→ボストンを直送したほうが、いいわけなので。 実際、一人分の航空券ぐらいの料金は浮いたんじゃないかな。 それはそうと、当初は「LaPoste(フランスの郵便局)で送ればいいだろう」と考えていたんですが、SIGGRAPH公式指定の運送会社KN(都合によりフルネームは伏せさせていただきます)に依頼することになり、問い合わせを出して2週間、ほとんど音沙汰なし。締め切り1週間前まで待って、業を煮やしてメール連発していたら、やっと連絡があり、担当者はCDG支店とのこと(だったら寝かすな)。しかもCDG支店の担当者は「締め切りすぎているので追加料金と、急ぎ指定料金がかかります」とのこと。なんと+600Euroも高い。 裏でFedExを調べるけど、2箱のプライオリティ料金でもせいぜい700Euroなのにそんなの払ってられない。ってゆーか、公式指定だからって暴利過ぎる。そもそも1ヶ月近く前から連絡してたのに寝かしたのはKNのほうであって。 そんなわけで、3箱あるパウダービーズのうち2箱を急遽FedExで送ることにして、残りは郵便局で送ることに。 FedExは前日の深夜から日本と打ち合わせしておいたのもあって、電話したら数時間後にはクロノポストLaval支店のおばちゃんが集荷に来てくれた。LaPosteだけではなくFedExとも提携しているとは、やるなクロノポスト。 ところで運がいいことに、LaPosteも新製品「Colissimoの7kg前払い箱」という製品を出しており、しかも安い(以前使っていたPostExportは2kgが限界で20Euroするが、これは7kgで36Euro)。さらにこの「前払い箱」2箱は保険がついているのでこちらにビーズを詰め替え、残りを普通のプライオリティで送ることにする。 しかしこの作業が大変だった。 パウダービーズは直径1mm以下のポリスチレン粒子なのだけど、予想をはるかに上回る扱いの難しさ。何が大変かって… ・手にくっつく(静電気と汗の両方) ・エアコンの風で舞い上がる ・粒子自体が軽いので、ちょっとした無重力状態に近い条件(落ちない) ・静電気で粒子同士にファンデルワールス力が働く(ときに斥力) ・まるで液体のように振舞う 時々目にも入って「これって危険物?」と思わず言いたくなる。 どうやら粉塵爆発は起きないようだけれども、粒子がいい具合に混ざった空間で、ポリスチレンが燃焼するような条件を作れば爆破はできるような気がする。 袋に詰める作業をしてみるけど、袋自身が静電気を発生するので非常にやりづらい。 さらに、空気を絞ろうとすると、微妙な空気の流れが発生して粒子が噴出。さらに粒子自身を圧縮した上で、穴に気がつかないと、また分極を起こして静電気たっぷりの粒子が容器から逃げ出す。まるで半液体。 一番効率がよい方法はマグカップのようなもので「汲み出す」のがいいのだと気がついたのはかなり作業の終わりのほう。 1箱はビニール袋に個別包装して箱に詰めたんだけど、容積率の悪さと、時間が足りなくて、2箱目は「流し込んでテープで密封」という方法をとりました。 この時点で16時40分。あわてて学生に頼んで車でLaPosteへ。 残り、すなわち3箱目は「2kgぐらいかなあ」と、窓口に並びながら関税項目書類に「2kg」とか書いていたんですが、測ってもらってみると、「1.6kg」。なんとほぼ箱の重量しかないような状態。中身はしっかり入っているのに…恐るべし。 ちょうど、緩衝材だけ入れて、中身を入れないで送るようなもんですね。 本日分の発送締め切りを微妙におまけしてもらいながら、何とかギリギリセーフ。 あまりにギリギリすぎて、写真すら撮る暇がなかったけど、作業中の私はまるで、「麻薬の密輸人」…じゃなかった「真夏の雪」にまみれてました。 ■「Splash Fishing」についてはこちら http://ivrc.net/2005/proj2005/136_abst_78a141.pdf http://www.siggraph.org/s2006/main.php?f=conference&p=etech&s=powder そういえばビデオも公開されてますね http://www.siggraph.org/s2006/conference/etech/EmergingTechnologies.mov