まずは ホリエモンがゼンカモンになったって、 彼は彼で元気にやっていくと思う。

むしろ、彼自身の仕事っぷりや彼を取り巻く人々がきな臭くなるだけ。

まあ今までだってライブドアでアダルト関係を扱ってきてたりするわけで、世間的にはあんまり変わらないかも、とか。

でもね、考えてみて欲しいんですよ。 確かにライブドアの株価は暴落して、このあとよっぽどのことがなければ1円に向かって突き進んでいくと思うんですよね。 (「株式会社 弥生」に社名変更してやり直すという手もありますが…)

でも堀江氏の個人資産ってどうなるの? 検察庁は偽計取引と風説の流布、つまり証券取引法違反などで訴えたわけですが、これってもし有罪になったら、誰がいくらどこに払うんだろう?と疑問に思ったので以下、調べてみました。 ※法律の専門家ではないので、間違ってるかもしれません。

まずは現行の証券取引法で個人に対する最も高い罰金は3000万円。ただし、相手が法人だと、5億円以下というものもある。

証券取引法・第8章 罰則 http://www.houko.com/00/01/S23/025.HTM#s8 第207条が近いとおもわれます。

というわけなので、堀江氏の獄中記みたいなものを期待している出版社も多いかと思うのだけど、今のところ証券取引法だけでは禁固刑がないので入獄しないでしょう。

しかし、堀江氏やライブドアが一連の件で得た利益というのは個人で3000万、法人で5億といっても大して痛くない、つまり得た利益を使って「余裕で払える金額」であるといえます。

そんなわけで、おそらく彼らは平成17年4月に誕生した「課徴金制度」の初の被疑者になるのではないかと思われます。 http://www.fsa.go.jp/policy/kachoukin/ これは、株の不正取引によって得た収入を罰する際、従来の「罰金刑」では足りない刑罰を、さらに加えるというシステムです。 本来、インサイダー取引や風説の流布するタチの悪い株屋を想定して作られているはずで、間違ってもIT企業を潰すための法案ではありません。

しかし、タイミングがよすぎるよな検察庁。 なお、罰金刑で納付された罰金の行き先は、国の「雑収入」として扱われるようです。課徴金制度の罰金は金融庁の審判手続室というところが扱うことになっているようです。これも国の会計上は雑収入)になるんでしょうか。いずれにせよいい収入です。国民は本事件の判決の一連の罰金総額と、その年の歳入をしっかりと見届けなければなりません。

また、国民は見届けなければならない、という意味では、憲法第39条で「遡及処罰の禁止」という項目があります。新しく作った法律で施行前の行為を罰することは出来ない、ということです。 つまり、課徴金制度で罰することが出来るのは平成17年4月以降の証券取引に関する違反行為です。それ以前はこのシステムでは課徴金を課すことが出来ないはず。 今回の偽計取引でバリュークリックが合併を発表した日付が平成16年10月25日なので、課徴金制度で問えるのは遡及が可能でなければ、平成17年4月以降の違法行為のみということになります。まあ悪い言い方をすれば、もう1社ぐらい100分割をするグループ会社が出るまで、少し泳がしておいてもよかったのかな、と。 遡及処罰と証券取引については、参議院法制局にこんなコラムがありました。 http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column009.htm まあこれだけ大きな証取法違反はそうないでしょうから、いずれ近いうちに新しい法改正はあるでしょうね。たぶん分割株数の制限とか(そもそも100分割が異常すぎ)。 この「100分割」という手法はライブドア社が最初に行なったことですが、あとをおって100分割した会社はいずれも管理ポスト行きです。もしかしたらこういう会社の関連にも今後捜査が行くのかも。 http://www.sankei.co.jp/news/060117/kei029.htm

そういえば課徴金といえば、独占禁止法にも課徴金制度があり公正取引委員会(内閣府)によって調査されます。今年の1月からは当初よりもかなり過激に修正されています。この資料を見るとその意気込みが読み解けます。 http://www.jftc.go.jp/kaiseikeii/bessi2.pdf この資料では、過去に遡るかどうかと、得た利益よりも高い課徴金を課すかどうかについても論議されています。

まあ出るくいは打たれる、というのが日本の社会みたいなんですが、違法マンション騒ぎをうやむやにした報道合戦が繰り広げられる中、逆にTVが見れないだけに、法律だけで考察をすすめてみた、というところです。

それにしても堀江氏のBlogはまだ動いてるなあ。 コメントとトラックバックは閉じられたようですが。 http://blog.livedoor.jp/takapon_ceo/

補足:

この記事が面白いので紹介しておきます。

CNET佐々木氏「ライブドア暴走」の道程–奈落への転回点は2004年初頭

http://japan.cnet.com/column/pers/story/0,2000050150,20095450,00.htm