アメブロのTBステーションでまたもや挑発的な話題がのぼっているのでTBしてみる。

TBテーマ第31回「マイ☆ティーチャー」 (snip) >「あの先生に学びたい!!」という強い意志をもって留学を決意した人もいるはず

…というのはまあ基本だと思うけど、私の場合、留学を決意した2002年ごろ、最初に相談をしたのはMITの石井先生だった。奇しくも先週、ご本人に会ってきたわけだけれども。

眼光鋭く歯向かうもの皆、石化光線、という感じの先生であった。昔はそんな感じじゃなかったんだけどなあ。

MITメディアラボという環境がそうさせるのかもしれない。

形而上、というかコンセプトオリエンテッドな研究者であると同時に、日本の大学の先生よりも、さらに縛りが多い環境でがんばっているんじゃないかな、という気がした。

たとえばPingPongPlusのときは「卓球台を買う理由」が会計上必要になったなんてエピソードが基調講演で話されていたけれど、この手の話題は最近では、某NTT研でやっている国のプロジェクトの「靴」ぐらいでしか聞いたことがない。

もちろん、小さい話はいくらでもあるんだろうが、公言できそうな笑い話になるほど、最近は「タンジブルな買い物」について会計も理解があるほうだと思う。 気がつけば「日本の研究所はメディアアートに理解がある」と言われてもおかしくない状況なのではないか。

たとえば、RUI(Robotic User Interface)で使っているロボットの外装のぬいぐるみはぬいぐるみであっても「ロボットの外装」なので「実験用消耗品」の費目であるので、手芸品店の領収書もOKである。

そういう意味ではRoboGamerもどんなゲーム機買ってもOKっぽいが、そもそも予算が無いので、買えないが。

話を石井先生に戻すが、有名な先生の下で働くというのは学生や研究者にとってはある種リスクがあると思う。一概には言えないが、優秀な研究者が、必ずしも部下や学生のキャリアプランの相談に乗ってあげられるとは思えない。

もちろん私のようにそこそこ名の売れた研究者であればそんなことはないと思うが、売出し中の、技術もあり、常識もあり、そして素直な学生は、良くて先生に食われる、というのが常なのではないだろうか。

MITメディアラボの有名研究室の学生で、そのブランド以外を実力にしている有名な研究者、というのが居たら教えてほしい。

もちろん居ないわけじゃないんだが、その正反対、つまり「私はMITの誰々先生で学んでいた」というのが自己紹介になっているPowerPoint学者ばかりが目に付くのだ。

そういう人は、一般論かもしれないが、お金の無駄使いが多い。コンセプトさえ良ければ、実装が悪くてもいいと思っている。さらに言うと、デモを実用化製品までたどり着けた例が極端に少ない。

Inami and Ishii

写真は、ACE2005でのRoboGamerのデモの目の前で繰り広げられた、稲見研RUI(Robotic User Interface)の電通大・稲見先生とMIT石井先生のアカデミックバトル。「竜虎の噛み合い」といった状況である。ChairのAdrian先生は会議が盛り上がってニンマリだが、よく考えると日本語でディスカッションしているので、隣のブースとしては迷惑極まりない。

内容はインターフェイス論であるし、かたやSIGGRAPH E-Tech10年連続採択の若手研究者の星、かたやタンジブル・ビットの開祖なので、青コーナー、赤コーナーのいずれも申し分ない。

これこそACM SIGCHIで出版したらいいと思うのだが。

そういや稲見先生も今MIT留学中なのである。 メディアラボではないらしいが。