お金シリーズ番外編。

オランダ在住の友人Seiさんの日記へのTB、というか元ネタはこれ。 ■イラク戦争・あなたの街でのコストはいくら?  http://costofwar.com/  多分人口比ですね。マシンガン打つスピードと同じような勢いで、借金が増えて消えていきます。サイトとしては反戦の意味もあるのかな。 ■米国債買ってる国ランキング  http://www.treas.gov/tic/mfh.txt ■日本の借金時計  http://www.takarabe-hrj.co.jp/takarabe/clock/index.htm  時計なんだから、途中で計算止めないでほしい。 Seiさんの日記でも書いてますが、たとえとしてはですね、 隣の金遣いの荒い奥さんが「毛皮かいたーい、でもお金なーい、あったら貸してあげるのに」と言っているので、自分の家の子がおなかをすかしているのに、返してもらえるかどうかちょっと微妙なのに、貸している、ということですね。 これを毛皮とかじゃなくて「X-Box」とか「クルマ」とかにすると、結構生々しいのでやめときますが。 まあそんなわけで積もり積もった日本の借金は現在国民ひとりあたり1500万円と試算されるわけです。 あんまり驚くべき数字ではないですね、今となっては。 銀行の経営者が失敗しても、税金で救済。 ヘッジファンドや株屋に攻撃されても、救済。 中国や北朝鮮への経済支援、ODAでの辺境国でのダム建設etc…。 (もちろん科研費の研究予算なんてのもこれに入ってくるのかもしれませんが、優秀な学生の教育とGNPの増加に寄与しているので一概に×とはいえないと思います) 現状の日本の予算だと例年首相は「過去最大の予算規模!」とか息巻いてますが、簡単に言えば月収25万で月50万は使っている計算になるそうです。 「日本人は働き者で子沢山なので、いつか返せる借金」というのが50年前の常識です。それは確かにあってましたが、いまはその逆の方向が常識ですからねえ。 「国民一人当たりの国債」も問題ですが「個人が抱える負債」も50年前から比べれば結構な借金国民ですよね。 住宅ローンにしても、クレジットカードにしても、ショッピングにしてもスポーツにしても、レジャーにしても全部アメリカ人が教えてくれたわけですが。 ちなみに日本の借金と為替の状況としては1万円札が100円玉ぐらいの価値になるすれすれのところですが、IMFへの預金高(映画でもありましたね、あの金の延べ棒)も世界最高なので「通貨切り下げ」という憂き目もあわずに済んでます。 単位もドルとユーロが1単位なのにもかかわらず、円だけは0.001で扱うわけです。対して中国元は切り上げすることになってくるわけです。上の国債購入高も日本に並んで高いですしね。 ところで、いまも日本円は時々攻撃されています。 しかしその攻撃に対する防衛ですが、我々はその詳細を知りえません。 首相や官房長官が「通貨攻撃防衛ミサイルを発射しました」とかアナウンスするわけではありません。 担当の財務省のお役人が市場に介入、つまりドルや円を買ったり売ったりするわけです。 その預金残高とか「円ドルの市場介入」とかは国民に知らされるという仕組みは無くて、専門用語の多い経済ニュースなど「知ろうと思えば知れる」という状態であるだけなので、官僚の方々がどうやって我々の日本円を守ったり攻撃されたりしているのかは、本当に不透明です。 あとは仲のいい国どうしで国債の持合をして、首脳会議やG5などの蔵相会議などでのバランスを保っているわけです。 そんなわけでユーロ圏というのは通貨攻撃の不安から開放されるいい国なのですが、最近のEU憲法白紙化のおかげで、それもちょっとね、というところですね(長期的に見れば、いいことのほうが多いわけですが)。 借金を減らすというのは、単純に計算すると、返済する倍ぐらい大変です。 たとえばクレジットカードのリボルビング払いで年利13%とかだったりすると、100万円の買い物が1.13倍の113万円になります。実際には複利だと、毎月113万円に対して利息がかかったりします。これぐらいの利息だと、大体5~7年で倍に増えます。 国債の利息というのはリボルビング払いほど高くはありません、だいたい高くても3-5%でしょう。しかし注意すべきなのは「借金に対する借金」であるということです。 米国の借金である米国債を大量に保持している日本政府の借金である日本国債は、考え方によっては「魅力的な投資商品」かもしれません、ですが、誰がその「利息」を払っているのでしょう?街の銀行で米国債の利息を見てみてください。どんなに低いものでも1%、普通は3-5%ぐらいでしょう。対して日本の国債は?割引債で3%がせいぜいなのではないでしょうか?得てして非常に低金利です。つまり、100万円が政府にあったとして、これを米国に1年貸して103万円もらいます。対して、割引債として97万円で買える100万円の額面の国債を発行しているわけです。 そんな「又貸し」みたいな事をして、もし米国の金利が5%などに上がれば少しは利息がつくのかもしれませんが、リスクが大きすぎます。ただでさえ、円ドル相場は乱高下を繰り返しているのですから。 なお、円ドル相場は105~120円として考えると実に±6%もの誤差を持った相場です。100万円が106万円になることもありますが、双方への借金、-200万円が-214万円になる可能性があることも忘れてはいけません。 この手の問題は専門用語の多い経済ニュースの裏の裏まで読まないと国民には見えてこないのが問題です。 経済学を大学に入るまで教えないというのが、そもそも問題なんじゃないかと思います。 しかも経済学科というのは数学勉強しなくても進める、いわゆる文系学科だし。 (基本については高校卒業程度の数学ができれば十分理解できるはずですが…国民が経済に詳しくなると困ることでもあるのでしょうか?) また基本的には政府がこの問題を財務官僚の内側だけで持とうとするのも問題だと思います。 もちろん市場介入情報などが事前に知れてしまっては国民の税金や国債が、1夜にして紙くずになる危険性すらあるので「知ってはいても騒ぎ立てるな」とされている問題であるのかもしれませんが、市場介入については「介入を匂わせる発言」だけでも十分に効果はあるので、国民の税金を投入しなくても、企業や機関投資家などの助けを借りることで正常な市場バランスを維持しつつ、軟着陸することは可能なはずです。 私個人としてはこの「通貨戦争」については、もう少しオープンにし、見える場所で見える戦いをしたほうが、(日本語圏だけに)分はあるように思います。 みなさんも財務官僚のBlogなどあれば、ぜひ読んでみたいと思いませんか? ■世界人口時計http://www.ibiblio.org/lunarbin/worldpop/  「借金時計」よりもこちらの方が問題だと思う。  いまちょうど、パリのラ・ビレットでこれに関連した企画展をやっています。   http://www.cite-sciences.fr/francais/ala_cite/expo/tempo/planete/population/index_population.php  「世界の人口・わたしも?」  展示デザイン的にもすばらしい企画展なので、お近くにお住まいの方はぜひ。