冬から4月ぐらいまで、それこそ前職を超えるような忙しさで働いてしまった私。

スケジュール帳を見てみると、週に平均2日は徹夜で研究室に泊まってたし、締め切りやらイベントやら日本人のケアやら学会やらで、本当に働きすぎ。

ちなみに前職もいくら働いても給料一緒な仕事なので、会社に泊まろうと寝坊しようと、早退しようと、給料一緒だったが、だいたい忙しいときは週に1日ぐらいは帰れなくなって、実験スタジオやサーバーの横で寝たものだ。

しかしその仕事スタイルには私自身、長年疑問を持っていた。

どうやったら「フランス人のように働けるのだろうか?」

(えらく抽象的なんですが)

こっちに来ていろいろ調べてみたり、聞いてみたり、Blogに書いたりしているが「これで成り立つんだろうか」とか「どうやってこのペースで働くんだろうか?」とか「自分がそのペースで働くにはどうしたら?」とか、本当に真面目に考えたり、取り組んだりしている。

・フランス人は日本の半分しか働かない

・フランス人の教授は1日10分しか働かない

なんていうジョークを聞く。

でもたしかに週35時間労働を真面目に換算すると、日本人のサービス残業こみの仕事スタイルだと「ほぼ倍」に一致する。

「そんなんで成り立つのか?」と聞くと

『フランスは日本の半分しか人口が無いから』

とか

『GNPが半分だから』

とか頓珍漢なジョークがかえってくる。

(私が仏語ネイティブではないから、余計頓珍漢になる)

個々の職に関しては、優秀な人は日本人にも引けをとらない仕事をきちんとしている(それについては、当たり前すぎてBlogには書いていないが、研究をする上では問題なく皆優秀)。

その上で教授は息子の学校やお習い事の送り迎えに18時にきっちり帰ったりするから、やはり仕事に対する「1日の時間の使い方」については、フランス人には余裕があると思う。

日本は日が沈むのがはやいわりには、22時とかずいぶんと遅くまで、働いていたりするが、本当に効率の良い仕事をしているかといえば、それは違うように思う。大抵、上司が帰り際に無意味な残業を言いつけたり、無茶な業務計画を「若さの徹夜」で取り戻そうとしているだけなんだと思う。

ちなみに、フランスではそんな遅くまで働いているのは、よっぽど切羽詰っている状態でしかない。徹夜モードに突入しようと意気込んでいるところを見つかると、管理職には「早く帰る!帰って寝る!」とか強く言われることがある。別に組合とかに入ってるわけじゃないし、私にとっては「当たり前のこと」なんだが…。でも逆に彼らから「徹夜してでもやれ!」とか言われたら、たぶん帰るだろうなあ…(こういう心理、分かりますかね?)。

夜は22時ごろまで日が出ていて、ちかごろちょっと憂鬱。

午前中の使い方はちょっと見習いたいかも。

アメリカ人ほど早起きではないかもしれないが、大事な仕事は午前中に終っていることが多い。

昼休み、特に昼食が12-14時とやたらと長いのが原因かもしれない。

日本ではこの時間は「さっさと飯を食ってネットサーフィン」という会社員が多いと思う。で、そのまま午後も「ねむーい」とか言いながら15時ごろまで、裏でブラウザを立ち上げているから、実は働いているようで効率は低いと思う。

スペインはこの時間に「シエスタ」してしまうそうだ。本当にどうなっているのか、来週確かめてみたいと思う。

「フランスの教授が10分しか働かない」というのは良くも悪くも面白いジョークだと思う。彼らは本当に毎日電話とメールと会議で埋もれている(これは日本人も変わらないと思うが)。

クリエイティブな作業を純粋に出来るのは「意識して10分」なのではないだろうか。

でもクリエイティブなアイディアというものは「1日10分」でも毎日進めば、それはけっこうなものである。

やたらとストレスフルな管理職の下で、胃を痛めながらコーヒーを飲んでいたとしても、給料はもらえるし、仕事の数はこなしているように思えるけれども、本当に質的に進んでいるかどうかは不明。

そんなわけで5月は、冬の間の「がんばりすぎ」を緩和するために、仕事量を半分程度に減らして旅行に行ったり、Blog書いたり、息子と過ごす時間を倍以上に増やしたりして見たわけだが、なんというか、調子が狂う。私は既に”重度のワークホリック(workholic)”なのであり、何年もかかって出来上がった生活スタイルを1ヶ月程度では変えられない。

そんなわけで、フランス流で働くのは難しい。

しかし私はあきらめていない、これからも修行を続けたいと思う。

(という姿勢が既に日本人的なんだろうなあ)