Bitcoinは語るのに勇気がいる
(C)Bitcoin-chan Project ビットコインちゃんウィジェット 個人的にBitcoinを研究している.しかしこの研究を語るのには勇気がいる. 「研究している」といっても,誤解がないように以下明言しておくと, ・個人的な資産,可処分所得による個人研究であり,公的な資金を使った研究ではない ・あくまで自分の研究分野であるエンタテイメントシステムとしてBitcoinは使えるかどうかの研究 ・Blogに書いていることは本時点における個人的視点であって未来永劫正しいかどうかは不明 ・Bitcoinの計算機科学的な側面にはあまり興味がない,「使われ方」に興味がある. ・エンタテイメントシステムの決済手段として実装方法や安全性,ユーザ層を調べたい ・2014/2/26現在,世界最大の取引所MtGoxがサイト閉鎖しており大騒ぎになりそう こういう個人的な研究について長年Blogでは書いてこなかったので,どんな角度で筆を執るべきか悩んだ. しかし,世の中に今後,bitcoinで大儲けしたいと思ったり,間違えて大損したりする人が出ないとも限らないので,そういう意味で社会的な貢献と考えて,初心者向けの視点で書いていこうと思う.
Bitcoinは儲かるのか?
多くの人々が勘違いしているが,その勘違いに対して一つ一つ解説していく前に,多くの人々が質問したいことは「Bitcoinは儲かるのか?」という事ではないだろうか. 現在における答えは「YesでありNoでもある,ただし多くの人にとってはNoである」というところだろうか. ここまで読んだ時点で,多くの読者はブラウザを閉じてしまうだろう.正解だ. Bitcoinはホビーや研究としての対象としては面白いが,投資や産業の基幹としての仮想通貨においては様々な問題を明らかにした.このアーティクルの言いたいことは,そういうことだから,不労所得を得たい人は,Bitcoinに対して,余計な時間を費やすのはやめたほうがいいと思う. 一方で,Google検索などでこのアーティクルに辿り着いた読者は別の情報を得たいのだと思う.以下解説していきたい.
そもそもBitcoinとは何なのか?
「そもそも」が意味するところは,読者がどれぐらいの知識をもっているかに依存する. まずはwikipediaの「ビットコイン」を読んできて欲しい.以下,Bitcoinに関するシステムは大文字,採掘するコインや単位は小文字のbitcoinで表現する. この辺りも「わかった感じ」になるにはいいかもしれない. Gigazineによるまとめ(2013/10/7) 仮想通貨「Bitcoin」とは一体何か、どういう仕組みかが一発で分かるまとめ http://gigazine.net/news/20131007-what-is-bitcoin/ ロイターによる特集サイト(2014/2/26) https://twitter.com/Reuters_co_jp/status/438593178547912704 三宅さんによる中本論文の解説 http://blogai.igda.jp/article/85049284.html ※Blogなので不足情報は反応を見ながら加筆していきたい.
ゲーム内通貨と何が違うのか
ゲーム内通貨やモバコイン,Amazonギフト券,SUICAや楽天Edyはすべてコントロールされたプリペイドの価値でしかない.中央管理局にあたる発行者がいない.日本円であればお札は「日本銀行券」であり,中央管理局に当たる組織は日本銀行である.彼らは日本円の通貨としての品質を保証する必要があるが,Bitcoinにはそれがない.
そもそも通貨とは何か
Bitcoinはその名前からコインを連想するが,通貨というよりは貨幣に近い.いずれもその意味はほぼ同じであるが,通貨は銀行券や硬貨のような物理的な交換物であり,貨幣は商品やサービスの円滑な交換や流通のための媒介物という意味が強い.Bitcoinはそもそも物体ではない.貨幣には3つの機能(価値尺度,交換・流通手段,価値貯蔵手段)がある.これに対して通貨とは,流通する貨幣という意味があり,貨幣の交換や流通の手段としての機能を強調するときに使われることが多い. 価値尺度は米ドル(USD)などの通貨が金本位制から移行していった一方,ユーロ(EUR)が既存通貨や他の基軸通貨との交換レートが設定され,さらに市場経済において交換レートが動的に変化しながらバランスを取っている点がわかりやすい.価値尺度が明らかであることは現代の通貨には非常に重要である.Bitcoinの価値尺度は,実は総発行量そのものは元から明らかになっているので,金のようにあとから埋蔵量が増えたりしない分,明らかである.しかし価値としては一般の人には大変わかりづらい.P2Pネットワークとトランザクションログのみがその価値尺度であり,貯蔵手段は個人のPCにインストールされたウォレットソフトウエアなどになる. また流通性について,例えばSUICAは消費者側は通貨として広く流通し認知していると言えるかもしれないが,実際には日本,特に関東圏以外では認知されていない.流通性を質と範囲において広げることは難しい.「悪貨は良貨を駆逐する」という言葉は16世紀のイギリス国王財政顧問トーマス・グレシャムが,イギリス通貨が海外に流出する現象を捉えて表現したものだが,プリペイドカードやポイントカードによる有効期限や使用先が限定されている価値であれば「先に使ってしまおう」と思い,一方で,現金や苦労して溜めた預金などは奥底にしまっておき流通させない,という心理は誰しも理解できるのではないだろうか. 交換性について,消費者におけるSUICAは便利であるが,実は交換性が消費以外にない.入金されたSUICAのカードを売りに出したとして,正値で買ってくれる人はいるだろうか.SUICAは便利であるが,交換性は低い.しかしそれでも使ってもらえるのは「信用」によるものである.プリペイドによる先入金とFelicaとJR東日本が信頼されているためであり,実際にはストア側しか販売に対する入金を受けることができない.例えば,消費者は気がついていないことが多いが,クレジットカードによる決済もストア側には3-8%の手数料が設定されている.VISAカードが「世界ナンバーワンブランドのクレジットカード」だと知っているのに,なぜJCBやマスターカードのロゴマークがついたお店があるのか.それは手数料の設定が安いからである. 流通性に関連して送金について補足.手数料が少ない送金方法と言えば銀行振込であるが,日本ほど銀行振込が手軽で安全に行える国もなかなかない.欧米では最近ではIBANやSWIFTといった標準化手順の整備が進んでいるが,いまだに小切手の方がはるかに確実で安全な送金方法だったりする.そんなこともあってオンライン決済サービスのPayPalはこの15年程度で世界中でサービスを展開してきたが,それでも手数料が高かったり,サギやトラブルの温床になっている部分もある.Bitcoinの場合は流通性そのとP2Pネットワークのみがその価値尺度であり,貯蔵手段は個人のPCにインストールされたウォレットソフトウエアなどになる. 以上は,大学1年生の経済学レベルの話だと思う.SlashdotにBitcoin初期の詳しい解説と破綻のシナリオ予測があるので時間がある人は読んでみるといいだろう.
Bitcoinのちょっといい話
この投稿はBitcoinにとって有利な情報ではない可能性があるが,先に「Bitcoinのいいところ」については書いておこうと思う. ・謎の人物「中本哲史」の論文. http://t.co/Oi47Bk2zDH 論文というにはちょっと学者っぽくない.TeXで書く分野だと思う. ・テッドネルソンによる「ビットコイン創立者の正体」 http://t.co/rYhVTvaFMr 私はWinnyの金子勇先生なのではないかと推測してみるが,どうでもいいことかもしれない. ・「ビットコインいっこいれる」仮想通貨“Bitcoin”でプレイできるアーケードゲーム筐体現る(2014/2/4) http://www.gamespark.jp/article/2014/02/04/46136.html Bitcoinは本来こういった「世界中において統一されたデジタルコンテンツの価値」に使われるべきだと思う. ・旅行先で余った外貨をビットコインに交換 (2013年12月03日 14:59 発信地:トルコ) http://www.afpbb.com/articles/-/3004378?ctm_campaign=relation&cid=3009346 通貨価値が低い・不安定な非基軸通貨,レア通貨にとってBitcoinへの変換が可能な状況を作ることは大変チャンスがあることだと思う. ・「取引が確定されずキャンセルされるというのは?」 http://www.bitcoin.co.jp/forum/viewtopic.php?f=2&t=90 ビットコインフォーラムにおける2014/1/30に現れた投稿,枝分かれにおけるトランザクションの消失が話題になった瞬間. これからも増えると思うので見つけたらまとめていく.
値動きに見る,Bitcoinの本質
普通の人は自国の円やドルなどの基軸通貨を信じるだろう.「仮想通貨」などと呼ばれれば,なおさら胡散臭く思われるに違いない.地域通貨や円天,地域振興券などほとんどの人間が作った新興通貨がそうであるように,Bitcoinもそんな道をたどるのだろうと考えていた人も居るだろう.最近の(これから)ニュースを騒がせるだろうMtGoxの問題も,一般の人にはそうみえると思う.しかし破綻のシナリオは当初予想されたような流れではなかったし,むしろ「コンピュータと人間の価値」の関係に大きな問題を投げかけたようにも思う.それは「値動き」にも見て取れる. 以下は,CEX.IOというイギリスの会社が運営する,世界最大のBitcoin採掘場における「採掘権」の値動きだ. 「GHS/BTC」は1秒間あたりの計算力.ギガハッシュで表現する.だいたいこの1GHSが0.0425BTCぐらいだったものが1ヶ月で0.025BTCに減少している.わかりづらいので日本円で表現すると,だいたい2013年末で1BTC=10万円だったので,1GHS=4250円だったものが2500円ぐらいになっている. 1GHSはどれぐらいの価値を持つのであろうか?例えば,Amazonで購入できるUSBに挿してお手軽にBitcoinが採掘できるASIC Bitcoin採掘機はだいたい3000円〜1万円で購入できるが300MHash程度であるので,1000MHashを電気代や管理費も含めて2000円ぐらいで買えるのであれば「まだ価値がある」と言えるだろうか. 実際のところ,多くの人は,このエントリーの最初に書いた通り「いくら儲かるのか?」という質問にすぐに行き着いてしまうだろう.しかしその答えは相変わらず「YesでありNoである」ということになる.それは,この採掘機なり採掘権なりを使って採掘するのが「どれぐらいの期間」なのかわからないからだ.
[![【市場に出回っているBitcoinの総計】](https://blockchain.info/ja/charts/total-bitcoins.png)](https://blockchain.info/ja/charts/total-bitcoins) 【市場に出回っているBitcoinの総計(blockchain.infoによる)】
しかし,既に述べた通り,Bitcoinの埋蔵量は有限である.現代に金坑夫で生計を立てる人が少ないように,採掘そのものは本人が楽しいと思わない限り,採掘権が持つ価値は「下がるしかない」運命にある.またBitcoinの採掘には「Difficulty」という難易度がある.これはBitcoinが使われれば使われるほど難度は上がる.最初は家庭用PCのCPUで演算できるレベルのハッシュが,GPUになり,ASICによる回路で計算する方法が主流になってからは,生半可な計算力では太刀打ちできなくなった.「太刀打ちできない」とは,かける時間と電気代に対して,手に入るbitcoinが少なすぎる,もしくは,計算が終了したときには既に他のライバル坑夫に結果を奪われるという状態になる. ※もし今から坑夫がやりたいという人がいたら,Bitcoinではなくlitecoinなど新参のSHA-128アルゴリズムではない通貨を狙うといいだろう.まだGPUでの演算でも何かしらの結果は出せるはずだ. さて,本アーティクルの本旨はここである. のんびりと採掘していれば価値を生み出すはずのBitcoinなりGHSなりが,どうして破綻するのか. その原因は「人間の欲望」に他ならない. 市場には,猛者がいる.より効率を求め,他者を出し抜くための方法,アルゴリズム,資本体力がある者,ギャング組織などがバックに居るもの,株式市場などで鍛え上げてきた経験があるもの,またはその業界にいたコンピュータエンジニア,ゲームサーバー管理者,仕事がないクラウドのファーム,もしくはその管理者. 時間があって,計算力があり,電力があり,エアコンが効いている部屋に棲んでいるそういった業界の猛者たちは,野蛮なアルゴリズムを生み出す天才でもある.1秒間に数万回の取引を繰り返すことができ,しかも現実の通貨でもなく,さらに取引手数料も不要なコモディティなのである.こんなボットと人間が取引すれば,人間はひとたまりもない.取引の対象は,ジャンケンゲームであろうがBitcoinであろうが関係ないのだ. このような超高速でリスクの低いシステムトレードがBitcoinのような統合された通貨で実施されると何が起きるか,以下,振り返ってみたいと思う.
システム上における問題が通貨全体の寿命を急速に縮小させる
以下,時系列でおきたことを書き足していく.
アップル、最後の「Bitcoin」ウォレットアプリを「App Store」から削除(2014/2/7)
http://japan.cnet.com/news/service/35043587/ Blockchain.infoはBitcoinのトランザクションを公開監視するBitcoin界の要になる.Bitcoinを使ったことがない人に取っては衝撃的かもしれないが,Bitcoinは使用ログがすべて公開されている.「金は天下の回りもの」ではあるが,そのトランザクションログがすべて公開されることで,その安全性が保たれている.ちょうど日本の金融業界における「手形の裏書人」に似ているだろうか. Bitcoin発行者はトランザクションログの先頭,つまり最初の資金保有者に自分を書き加えることができれば,新たなBitcoinを発行できる.資金移動をしたい人,例えば送金したい人は,トランザクション情報をこのBlockchainのネットワークに放流し,誰かがログを生成するのを待つ.採掘者が資金移動を含めた新しいトランザクションログ=新しいBitcoinを生成することで、トランザクションが検証される.そのたびにBitcoin市場流通量が少しずつ増えていく.印象の悪いたとえであるが「ねずみ講」とよばれるマルチ商法,詐欺行為があるが,流通の過程で付加価値を加えていく一般のプロダクトと異なり,トランザクションそのものが付加価値を生む点において,ねずみ講によく似ているとも言える. なお資金移動において,お互いに知る必要があるのは,ビットコインのウォレットアドレス,例えば
1BjcwfQU8DiQn8qCKzKNG8DeuMwNFAqmep
といった34文字のアドレスであり,それ以外を知る必要はない(上記は架空,実際のところ自分のウォレットアドレスをネットに晒すのは,ビットコイン強奪の可能性があり危険な行為だと思う).「P2Pネットワークで,資金洗浄に使われる」などと言われるとアングラな感じがするが,実際には誰が誰に資金を送ったかすら丸見えのネットワークであるとも言える. その中央ログ管理組合である「Blockchain」がAppleによって削除申請された.理由は明確に示されていないが,iTunesConnectの認可は新しすぎるものは嫌う傾向がある.Appleが「ヤバい」と思えばいつでも却下できるし,Bitcoinの信用は意外なところで足元をすくわれた,もしくは伸びた釘を上から叩かれた形になり暴落の引き金になった.
Bitcoin自身がもつ脆弱性
P2P通貨というとなんとなくセキュリティが硬そうに聞こえるBitcoin自身が脆弱性を持っている. 特にBitcoinが投資対象として注目されていた時には,こういう情報は中々脚光を浴びていなかったが,よくまとまっているサイトを紹介しておく. ■Bitcoinを簡単に盗み出すための3つのステップとは?(Gigazine・2013年12月25日 20時00分29秒) http://gigazine.net/news/20131225-how-to-steal-bitcoin/ ■[CoinDesk] Bitcoin用語集(01) 51% attack から BitPay まで(2014/1/29) http://www.bitlywatch.com/2014/01/1077/ ■Bitcoinの「51% Attack」問題って何?(2014/01/10) http://www.softantenna.com/wp/etc/bitcoin-51-percent-attack/
MtGoxにおける問題
Appleにおけるアプリ削除以前にも,世界最大の取引所であった中国BTC Chinaにおける中国当局の取り扱い停止命令よる大暴落(2013/12/19)があった.おそらく行き場を失ったチャイナマネーは日本の取引所であるMt.Goxに向かい,Mt.Goxは世界最大の取引所になった.年末年初には日経もアオリ記事を書いた側である. これはMt.Goxにおいてカスタマー向けに2014/2/11に掲示された情報である.
Mt.Gox 3014/2/11 Dear MtGox Customers and Bitcoiners, As you are aware, the MtGox team has been working hard to address an issue with the way that bitcoin withdrawals are processed. By “bitcoin withdrawal” we are referring to transactions from a MtGox bitcoin wallet to an external bitcoin address. Bitcoin transactions to any MtGox bitcoin address, and currency withdrawals (Yen, Euro, etc) are not affected by this issue. The problem we have identified is not limited to MtGox, and affects all transactions where Bitcoins are being sent to a third party. We believe that the changes required for addressing this issue will be positive over the long term for the whole community. As a result we took the necessary action of suspending bitcoin withdrawals until this technical issue has been resolved. Addressing Transaction Malleability MtGox has detected unusual activity on its Bitcoin wallets and performed investigations during the past weeks. This confirmed the presence of transactions which need to be examined more closely. Non-technical Explanation: A bug in the bitcoin software makes it possible for someone to use the Bitcoin network to alter transaction details to make it seem like a sending of bitcoins to a bitcoin wallet did not occur when in fact it did occur. Since the transaction appears as if it has not proceeded correctly, the bitcoins may be resent. MtGox is working with the Bitcoin core development team and others to mitigate this issue. Technical Explanation: Bitcoin transactions are subject to a design issue that has been largely ignored, while known to at least a part of the Bitcoin core developers and mentioned on the BitcoinTalk forums. This defect, known as “transaction malleability” makes it possible for a third party to alter the hash of any freshly issued transaction without invalidating the signature, hence resulting in a similar transaction under a different hash. Of course only one of the two transactions can be validated. However, if the party who altered the transaction is fast enough, for example with a direct connection to different mining pools, or has even a small amount of mining power, it can easily cause the transaction hash alteration to be committed to the blockchain. The bitcoin api “sendtoaddress” broadly used to send bitcoins to a given bitcoin address will return a transaction hash as a way to track the transaction’s insertion in the blockchain. Most wallet and exchange services will keep a record of this said hash in order to be able to respond to users should they inquire about their transaction. It is likely that these services will assume the transaction was not sent if it doesn’t appear in the blockchain with the original hash and have currently no means to recognize the alternative transactions as theirs in an efficient way. This means that an individual could request bitcoins from an exchange or wallet service, alter the resulting transaction’s hash before inclusion in the blockchain, then contact the issuing service while claiming the transaction did not proceed. If the alteration fails, the user can simply send the bitcoins back and try again until successful. We believe this can be addressed by using a different hash for transaction tracking purposes. While the network will continue to use the current hash for the purpose of inclusion in each block’s Merkle Tree, the new hash’s purpose will be to track a given transaction and can be computed and indexed by hashing the exact signed string via SHA256 (in the same way transactions are currently hashed). This new transaction hash will allow signing parties to keep track of any transaction they have signed and can easily be computed, even for past transactions. We have discussed this solution with the Bitcoin core developers and will allow Bitcoin withdrawals again once it has been approved and standardized. In the meantime, exchanges and wallet services - and any service sending coins directly to third parties - should be extremely careful with anyone claiming their transaction did not go through. Note that this will also affect any other crypto-currency using the same transaction scheme as Bitcoin. Conclusion To put things in perspective, it’s important to remember that Bitcoin is a very new technology and still very much in its early stages. What MtGox and the Bitcoin community have experienced in the past year has been an incredible and exciting challenge, and there is still much to do to further improve. MtGox will resume bitcoin withdrawals to outside wallets once the issue outlined above has been properly addressed in a manner that will best serve our customers. More information on the status of this issue will be released as soon as possible. We thank you for taking the time to read this, and especially for your patience. Best Regards, MtGox Team
この状態で,外部へのBTCの引き出しは出来なくなった,また日本円への銀行振込は1ヶ月前のトランザクションが2月の上旬に突然行われた.おそらく内部では,年末年始の口座開設殺到におけるカスタマーサービス増員が,気がつけばクレーム対策,という状態になったのではないだろうか. ■[Bitcoin Foundation] Mt.Goxに反論、Bitcoin財団のギャビン・アンドリーセンが企業側の責任を指摘 http://www.bitlywatch.com/2014/02/1241/ 2/10にMt.Goxの「Transaction Malleability」についての問題を指摘している. さらに,2014/2/25にはサイトが真っ白になり,翌26日には以下のような掲示になった.
February 26th 2014 Dear MtGox Customers, As there is a lot of speculation regarding MtGox and its future, I would like to use this opportunity to reassure everyone that I am still in Japan, and working very hard with the support of different parties to find a solution to our recent issues. Furthermore I would like to kindly ask that people refrain from asking questions to our staff: they have been instructed not to give any response or information. Please visit this page for further announcements and updates. Sincerely, Mark Karpeles
Dear MtGox Customers, In light of recent news reports and the potential repercussions on MtGox’s operations and the market, a decision was taken to close all transactions for the time being in order to protect the site and our users. We will be closely monitoring the situation and will react accordingly. Best regards, MtGox Team
ここまで,日本経済新聞をはじめとして,Mt.Goxのシステムトラブルは大手メディアは一切報じてこなかった.しかしここへ来て,やっと報道各社が飛びついてきたようだ.
ビットコイン急落 米検察が捜査着手、米紙報道 大手取引所が取引停止 2014/2/26 10:30 (2014/2/26 12:54更新)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2601A_W4A220C1EB2000/
ビットコイン取引所大手停止、投資家の警戒が背景 2014/2/26 13:20
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2601R_W4A220C1EB2000/ ロイターが伝えるまで、日経は動かなかった.もちろん日本の金融監督庁なども動いていない.写真は渋谷の前で座り込む外国人風の方.おそらくFacebookで呼びかけている人だと思われる.
日銀の石田委員、仮想通貨「規制、政府が適切に判断」 2014/2/26 15:46
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL260S3_W4A220C1000000/
座り込んだりテレビ取材受けてとっても楽しそうなFacebookでのBitcoin東京在住の会の人たち
https://www.facebook.com/groups/331016600320849/
MtGOXが突然閉鎖 数年で74万BTC盗難され預かり資産を喪失か
(楠正憲国際大学GLOCOM 客員研究員)
ビットコインはこれからどうなるのか
マクロで見ればBTC Chinaの流れとMt.Goxは同じなのかもしれない.しかしおそらくMt.Goxは不祥事であり,盗難事件でもサブプライムローンによる連鎖倒産でもない.Mt.GoxはBitcoinシステムにおけるトランザクションの正しさに疑問が出てくるようなシステムを扱っている時点でもっと早く手を打つべきだった.格闘ゲームで表現すれば「ガードキャンセルができるのに,使わないで勝とうという方がおかしい」というところだろうか. 実際には単一市場ではないのが救いだろう,という楽観的な視点もある.他の取引所各社も早急に対策するべきだ.しかし,ここでも人間の欲がBitcoinの邪魔をする.戦場を失ったチャイナマネーの次のターゲットは常に行き場を探している.この数週間でMt.Goxは「引き出しできない→閉じたマーケット」を作ることで事態を収拾させようとしたが,一方で,世界のBTCのレートから5倍近い安値になってしまった.超ポジティブシンキングで表現すると「日本のMt.Goxでは世界で最も安くBitcoinが買えるんだってよ!」ということで,世界中のBTCバイヤーがここに集まって資金投入してしまった可能性もある.ここからどうやって市場のレートまで戻すのか,普通に考えると,このまま他のシステムに資金の払い出しをすると,世界のBTC市場が大暴落を起こすことになる.もし無事に資金を引き出せたとして,このあとに狙われる取引所はドルを扱うBTC-Eと英国を基盤にするBitstampだと思う.
政府による規制は意味があるのか
「悪貨は良貨を駆逐する」というが多分そういうことが起きると思う.
物事の本質はどこにあるのかというと, ・Bitcoin には需要がある おそらく途上国や紛争国,銀行が駄目すぎる国など非基軸通貨に利益が大きい ・日本の経済状態には向いていない可能性が高い 日銀が破綻して円が大暴落するとかいうシナリオでもない限り,日本で給料をもらっている人がBitcoinに投資するメリットはさほど高くはない,リスクの方が高い. ・平和に採掘&利用している人がかわいそう ・暴落させるのはシステムと人間の欲望,トリガーを引くのは外部の判断 Appleにしても中国政府にしても,ちょっとしたことで暴落します. そんなわけで,Bitcoinは弱点だらけの「悪貨」だと思う.でも「良貨を駆逐する」シナリオもないわけではない.というかその流れは始まっているのではないか. 例えばチャイナマネーの中でもBitcoinシンパのマネーはもう既に,元には戻せなくなっていて,このあと,円に戻すのも難しくなっていく.さらに,基軸通貨に戻すのが難しくなれば,「駆逐する」という状態はたしかにおきうる.どこかのタックスヘブンエリアでBTCと現実通貨への変換が行われるようであればリゾート地として流行ること間違いないだろう.そこがSecondLifeでないこと祈るばかりだが. 実際に被害を受けた人も楽しんでやっているのではないだろうか. 私も「笑えるレベル」の可処分所得なのでBlogのネタにできるのだけど. しかも元からゲーム課金と変わらない扱いなので,被害とも思っていない. 年金とか退職金を突っ込んだご老人とかがTVの前で怒鳴ったりしないことを祈る. 多くのこの手の個人投資被害と違って,Mt.Goxの場合はUIが英語で取っ付きづらいので,そういうお客さんは少なさそうなのが救いであるが.
Bitcoinは炎上するたびに強くなる「炎上通貨」と名付けたい
まだ事態は全然収束していないので,これからも更新したいと思う.
2014/2/26 以降の更新
ロイターが特設ページを開設 https://twitter.com/Reuters_co_jp/status/438593178547912704 Mt. Goxの退場はもっとまともな第二世代のBitcoin起業家の時代を開く (KIM-MAI CUTLER 2014年2月26日) http://jp.techcrunch.com/2014/02/26/20140225mt-gox-demise/ 米検察当局、複数のビットコイン業者に召喚状=関係筋(ロイター・2014年 02月 27日 00:48 JST) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJEA1P00920140226 Mt.Gox倒産?で33ビットコイン(トータル100万円)が消えた件 http://www.kankeri02.com/btc_bitcoin_mtgox 失った金額はでかいけど,清々しい感じが似ている.出来たお人である.海外企業を目指すのであればこれぐらいの気持ちはあってもいいと思う.でも,一時期のMtGoxがバブル過ぎたので,買い増ししている時点で,直感的に予測できたレベルの被害なのかもしれない. Mt.Goxが民事再生手続を申請 (2014年02月28日 19時05分53秒) http://gigazine.net/news/20140228-mt-gox-minjisaisei/ マウントゴックスが経営破綻=仮想通貨の私設取引所-顧客のビットコイン「全て消失」(時事通信 2014/02/28-23:45) http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2014022800855
債権者数は約12万7000人で、うち日本人は0.8%という。同社は専門家に原因究明の調査を依頼している。問い合わせはコールセンター 03-4588-3921 で、月~金曜日の午前10時~午後5時に受け付けるとのこと。
って日本人1000人ぐらいしかいないってこと? ■2014年2月28日に民事再生手続開始について公式サイトで告知.
資産総額 | 3,841,866,163円 |
流動負債総額 | 6,501,119,371円 |
Total amount of assets | 3,841,866,163 |
Total amount of current liabilities | 6,501,119,371 |