論文終わったー! 正確には時間切れによる強制終了、という判断ですが。 さて、実験解説です。 「Wiimoteを縦に握って、30cmの幅を10回振ってください」 …というタスクをやらせた場合、大人と子供(4歳)ではどれぐらいの差が出るか、 というのをまじめに測定したグラフが写真1。

そもそもなんでそんなものを測定しようかと思ったかというと、先ほど書いた「WiiRemoteの限界」について、明らかな問題を明らかにしようと思って。 同じ10往復でも大人は8秒、規則的に動かすことができますが、子供はその3倍かかって、しかもイレギュラーかつ「ゆ~っくり」動かしている箇所があるので、そこはピークがほとんどみえません。 こうなると

・加速度の最小検出量以下になる、S/Nが低い(雑音に近い)データが乗る

・積分した結果が、等しくならない

…といった問題が起きてきます。

本来、(加速度→速度→位置を積分した結果が)左右に振ったら同じ位置に戻ってこないといけないのに、戻ってこない、ということになります。 ちなみにグラフは1軸だけ時間分解能も表示してあります。ドットが打たれている間隔が⊿t秒になります。

写真2・3は、論文には掲載しなかった未公開実験ですが、WiiRemoteをプラレール(息子に借りた)に搭載して「オーバルコースを走らせたらどうなるか?」という実験です。

PlaRailPhoto

結果は、グラフを見れば明らかなんですが、ノイズしか乗ってません。

本当なら、カーブと直線で、何らかの違いが出てきてもいいはず…なんですが。

まず、ノイズが多すぎます。これはモーターの振動によるもの。Bluetooth通信がモータの電界で切断されなかったのがラッキーですが、加速度センサはモロに振動を拾っています。

次に、クルマなどと違って、プラレールはほぼ完全な等速運動をしています。つまり慣性だけで動いている状態に近く、加速も減速も平地では存在しませんので、加速度センサには変化が現れません。

さらに、カーブのときの横G(遠心力)や、直線部の違いなどが検出されるかと思ったのですが、振動に対してあまりに微小なデータのため、ほとんど見分けがつきません。 同じ玩具搭載でも「チョロQ」なら加速度が現れると思うんですが…そんなに大きいの無いしな。

まあそんなわけで、WiiRemoteの最小検出加速度がどれぐらいなのかを体感的に理解するための実験2件でした。

正確には、プラレールの電車の走行速度なんかも測るといいですね。