(あらすじ) 国民年金払おうとおもったら、断られたので腹いせにライフプランを計算してみることに。 表計算ソフト使って計算してみる。OpenOfficeね。 年額15.96万円を20歳から65歳まで完全に払いきったとして、総額734.16万円。 これを「満額」とすると、60-65歳の間に追加で335万円を払う必要が出てくる。 でもこれを全く運用しないで45年放っておくなんてありえないので、仮に、国債でもかって年利2%ぐらいで運用してみることにする。 まずは、総支払額に対する単利を計算してみる。 2年目の利息は6,384円。 46年目の利息は146,832円/年となる。 つまり、単利であっても年額2%程度の国債を買ってれば、最終的には月額12,236円の利子収入は得られる計算になる。 よくはないが「破綻する」というほど悪くない。 2%複利で計算すると、利子総額は4,751,040円(複利95,021円/年)。 元本とあわせた総資産は12,092,640円。 ちなみにこれは国債の利息が上がってもあまり急激に好転するわけではない。 上記を4%で試算すると総資産は複利で21,021,194円になる。 この年利息は単利で29万円、複利で54.7万円。 まあ2ヶ月分ってところか。なお2100万円を25万円/月で計算すると84ヶ月。 「年金もらい始めて7年で他界」が損益分岐点になるといえる。 まあ社会保険なんで損益という考え方ではなくて「だいたい寿命は72歳」って計算をしているということなんだけど。 72歳を越えると、あとは積み立てた資産を使いきって、若者に支えてもらう・・・といえば聞こえはいいけど、基本的には社会全体、国民全体が抱えている借金。 本来は、払っている若者が将来、収入がなくなっても生きていけるように積み立てているだけで、利息を生むように運用されるべき源資。 物価上昇率とかはたしかにあるし、「25万円なんて高すぎ」という考え方もあるので、月20万円で計算してみたけど、8-9年ぐらいにしかならない。 日本人の平均寿命の上昇率の方がよっぽど高いとおもう。 仮に85歳を寿命として設定すると、複利4%,13,300円/月の保険額で支給できる金額は105万円/年、8.75万円/月となる。 ふああ、家賃にしかならんなあ。 ■社会保険庁のホームページでも「年金見込額試算」ができます http://www.sia.go.jp/ …計算してみたけど、いまこのままのライフプランで公的年金払いつづけると、65歳から78万円/年もらえるらしい。 「XX歳までの年金額の合計」という欄がいやらしいな。 「払えば資産になるから納付しましょう!」というコンセプトなんだろうけど、実際には「みんなが年金もらうために長生きする」、というのは全体のシステムとしては何ら解決策になってないでしょうが。 まあそんなわけで、国民年金を「もらえる」とか「もらえない」とか大騒ぎしてるわけなんですが、結局それぐらいの金額ってことですね、月額13,300円ぽっち払ったぐらいでは。 (といっても大学院時代はかなり血ヘド吐きながら、毎月払ってた記憶がありますが・・・) 同じシートで軽く試算してみたけど、不労で老後を迎えたいなら、月5万円ぐらい払わないと「85歳までまともな生活ができる年金」にはならないみたいです(複利4%、年間支給額395万円)。 現在の物価と生活水準を考えると、一日あたり1,666円は年金のことを考える必要がある、ってことですかね。 もちろん社会保険庁もその辺は十分判っていて「付加年金」とか「国民年金基金」とかいったシステムもあります。 http://www.sia.go.jp/top/gozonji/gozonji04.htm 日額1万円程度の日給をもらっている人が将来無給で同じ収入を維持したかったら、一日の稼ぎの1/6、16%は将来にあてろってことですね。 (そういえばフランスの消費税は19.5%…。) 冷静に考えて「国民年金は義務の範疇なので」ってことなのだと思います。 さらにいうと上記の試算は「個人の範疇の損益シミュレーション」であることを忘れてはいけません。 例えば、「年金払ってないのに支給されている人」が少しでもいれば、この試算はすぐに破綻してしまいますし、年齢層あたりの人口分布の問題(出生率)も問題になってきます(現状の支給額と出生率では「若い層から借金」すらできない状況なのでは?)。 さらにいうと我々の源資の運用状況と、社会保険事務所の仕事の質については目を光らせなければなりません。 投資信託だって毎期ディスクロージャー資料を送ってくるのに国民年金は一体どこに? ■公的年金各制度の財政状況ホームページ http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/04/index.html 加入者の推移とかおもしろい。■厚生年金、国民年金の積立金運用ホームページ http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/index.html 運用結果 http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/tsumitate/kekka/index.html 平成13年度 1.94% 平成14年度 0.17% 平成15年度 4.90% 平成16年度 2.73% あれ?思ったより悪くないじゃん、というか何でこんなにバラツキがあるの?という感じだけど。 ちなみにこれは「運用実績」であって、加入者への利払いではないです。 利払いはその下の表。 修正総合収益率 運用手数料等 累積損益額 平成17年度 12.47% 平成16年度 4.60% −232億円 6,008億円 平成15年度 12.48% −193億円 −1兆6,411億円 平成14年度 −8.46% −184億円 −6兆717億円 平成13年度 −2.48% −308億円 −3兆109億円 簡単に見ると、H16年の改革以降、民間に預けることによって運用益と借金は減ってきてるってこと。 ■平成16年年金改正制度に基づく財政見通し等 http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/index.html 国庫負担割合と保険額を引き上げて、おおむね100年間の財政の均衡を図っているそうです。 「保険料水準を平成28(2017)年度以降16,900円(平成16年度価格)に固定し」とありますのでそれぐらいの金額に引き上げられるってことでしょうか。本当にこれで足りるの?? http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/index.html ちなみに「もらえる金額」は「65歳において一般的な現役サラリーマンの平均所得の50%よりも上回ること」という設定になってます。 ■社会保険庁の事業計画 http://www.sia.go.jp/infom/keikaku/index.htm 116ページもある資料だけど、非常に興味深い。見込み数値と実績が常に下方修正で、見込み精度が悪いのが気になる。「サービスアップ!」とうたっているが「ちゃんと払ってる、払いたい側」としては社会保険庁の未払保険料回収能力と、給付対象者向けのパンフレット送付予算はどうにかした方がいいと思う。ちなみにH16年の基礎年金の受給権者数は23,431,323人、この人々に対して139,006億円が給付されている。ひとりあたり59万円。ちなみに新規裁定受給権は501,317人。 ちなみに年金資金は「年金積立金管理運用独立行政法人」という独行が管理してる。直接運用する場合もあるし、民間に委託する場合もある。 http://www.gpif.go.jp/jyokyo/index.html H17年4月以降は以下のような基本ポートフォリオで運用しているらしい。 ・国内債券 67% ・国内株式 11% ・外国債券 8% ・外国株式 9% ・短期資産 5% 目標収益率 3.37% 標準偏差(リスク) 5.55% まあ、思ったよりまともというか、「日本国債券クローズ」といった感じの投資信託を買っているという感じでしょうかね。 しかし、国債と株式で78%を構成しているというのは「日本の将来」そのものが危なくなったときに共倒れしてしまうという可能性を持っているので、より外国債券等の比率を増やすべきでしょうね・・・とおもって読んでたらH17以降の移行ポートフォリオでは… ・国内債券 52% ・国内株式 21% ・外国債券 12% ・外国株式 15% ・短期資産0% …と比較的、世間的に見ても常識的なポートフォリオになってきたように思います。 そもそも年金を国債に回すってのは「税金の還流」どころか「税金の別徴収」みたいなもんですし。 個人的には日本人が稼いだ分の数十%は外国債に回すべきではないかなと思います。 そうでないと為替の世界では不均衡が起きてしまいますし、日本人がこのあとライフスタイルがスローペースになったり、結果として人口減少するのなら、GNPも下がりますし、外貨を買ってヘッジしておくのは悪い方法ではないとおもうんですけどね。 で、「未納」の話に戻りますけど、回収能力のない社会保険事務所とか、支払能力のない加入者を、お金かけて追いかけるよりも、上記のような「比較的高い利回りで運用している年金」というプロモーションを張って、付加年金の加入者を増やした方が「騙された感」が減っていいと思うんですけどどうでしょうかね?