フランス語で「マルシェ」にはいろんな意味がある。

・働く(=work)  機械とかがうまく動く、という意味にも使う。 ・歩く(=walk)  実は「散歩する」という言葉も別にある(promener)、そうプロムナードね。 ・市場  このマルシェが一番日本人には有名かも。  ちなみにフランスにはハウスの「カレーマルシェ」はないと思う。パリのサンドニ通りか?

もちろんカタカナは一緒でも、スペルは微妙に違う。発音はほぼ一緒。

今日は時間があるので3つ目の「市場」について語ってみようと思う。

マルシェは土曜の朝に立つ。 都市によっては木曜とか日曜とかにも突然現れる。 基本は午前中で、たいてい駐車場が使われる。マルシェ用の駐車場には看板に「土曜の5h-14hは駐車禁止」などと書いてあるのでわかりやすい。

古本や中古品を売る蚤の市、衣料品など特定目的の市場はともかく、普通は生鮮食料品が売買される。 かつて、アビニョン滞在期間中にマルシェの出店カテゴリをカウントしたことがあったが、基本的には八百屋が多い。 http://ameblo.jp/akihiko/archive5-200510.html

昔日本にもよくあった公設市場のようなものはマルシェ・クーベール(marche couvert)、つまり「覆われた市場」という。見た目スーパーのようだが、午前中しか開いてないことも普通にあるので侮れない。

まあそんなわけで、限りなく「朝市」に近いのがマルシェだと思っていいと思う。ただし日本の「朝市」と違って観光目的ではない。 日本視点で考えてみれば、非常に不便な商業システムであるのだが、実際には、消費者と生産者(もしくは仲買人)が非常に近い距離におり、流通コスト的視点でも悪くない。第一、スーパーで売っているどこが産地だかわからん、鮮度の悪い野菜に比べて、全然安いし新鮮だ。

そしてマルシェを歩くと元気になる。 なぜなんだろうと、いろいろ考えていたのだが、それは以下のようなものであると最近では理解している。基本的には「空気」だ。

・臭い  普段自分が口にしないような、野菜のにおいがする。  正確には畑の泥のにおいだ。 ・季節感  色とりどり、とくに「今の季節の色」が目に入ってくる。  これがものすごくインスピレーションをかきたて、癒される。 ・会話  人々が会話をしている。聞き慣れた職場の会話ではなく、上記のような季節感を味わっている会話が多い。また、知らないおじいさんにいきなり握手で挨拶されることもある。店員にもよるが、会計の順番は「元気に挨拶できた順」ではないかと思う。 ・出会い  人との出会いもあるが、食材との出会いもある。チーズ職人の新作に出会うこともあるし、蜂蜜職人の石鹸に出会うこともある。またモロッコやアフリカなどの商人もおり、フランスの食卓をターゲットにしたスーパーでは手に入らない生の三つ葉(セリ科の中国野菜)に近いハーブなども手に入ってしまう。

そんなわけで、マルシェで食料品を買うのは、スーパーでそれを買うのとは大きく意味が異なる癒しがある。

写真は「ニンジン・タマネギ・ジャガイモ、どれも0.80E/1kg!」という店。 80サンチームですよ奥さん。1kg=112円。 軽量が楽でいいね、賢い。

もうひとつの写真は、お化け米ナス。 FFとかにでてくるモンスターではない。 これを使った料理はまた今度。