日本で起きた出来事を英語やフランス語で説明したりBlogに書いたりするのは、実は結構難しい。 特に政治家とか偉い人になればなるほど、日本語でも意味が伝わってないんじゃないかというような、歯に衣がついた言葉を大事な局面でよく使う。 まあそんなの今に始まったことじゃないんだけど、LD堀江氏関連で、端的な例があったので引用してみる。 ■「堀江応援」首相が発言修正「不明と言われれば…」(読売) http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060124i115.htm 小泉首相は…「(候補者が)全く問題ない人かを調べるのは難しい。『不明だ』と言われれば、甘んじて受ける」と語った。 ★甘んじて…あまんずる。与えられたものが不十分であっても、それを受け入れる。甘んじる。「薄給に—・ずる」。 「甘んじて」という言葉に「受け入れる」という意味があるのに「甘んじて受ける」とは蛇足なり。さらにこの用例では甘んじて「何を受けるか」が示されてない。指摘や否定を受け入れるということであれば「受け入れる」でよく、何を「甘んじて」いるのかが不明。不十分な否定を中途半端に”聞いたこと”にする…という小泉論法の典型。 ■「西京銀行、ライブドアと提携解消も」(日経) http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?i=2006012404368aa 大橋頭取は「捜査の行方を注視している」と今後の方針は白紙としつつも、ライブドア社長の堀江貴文容疑者(33)の逮捕を「極めて遺憾」と強調した。 ★遺憾…思っているようにならなくて心残りであること。残念な、そのさま。 ——の意(い)を表(ひよう)・する…残念であるという気持ちを表す。〔自分の行動を釈明してわびる場合にも、相手の行動に対して非難の気持ちを表す場合にも用いる〕 「遺憾」自体はここ数年、当たり前のように使われるようになってきてしまったのでいまさら突っ込むのは遺憾ではあるが割愛しますが、「きわめて遺憾と強調した」という記事は謎ですね。 「遺憾」自体に詫びる意味も非難する用例もあるので、この記事から読める大橋頭取の「遺憾」については以下のとおりの可能性がありえることになります。 「すすめていた新事業がうまくいかなくなって残念だ」 「仲間が逮捕されて申し訳ない」と世間に詫びる 「(金融業なのに)LDの違法会計が見抜けなかった」と自らを嘆く 「堀江氏の一連の違法事業行為」を非難している まあ世論で言えば最後の意味かもしれないんだけど、ほかの3つも立場上、普通にありえるし。 遺憾なんて言葉を使うほうがいかんのだけど、記者も意味が伝わらない記事にしないでほしいよな。というか、こうやってうまく都合のいい発言だけを引用して堀江氏を叩きたいのかもしれないけど。 甘んじてきわめて遺憾で残念であることを強調します。