「ゲームやろうぜ!」という企画をご存知だろうか? SCEIがPS初代の個性的自社タイトルを多数生み出すために編み出したゲームプロデュースオーディション企画である。 簡単に言うと、企画書を書いて審査が通れば予算がもらえる。その予算で実際にPSタイトルを制作して、ある売り上げ本数を超えれば利益になる…というきけばいいこと尽くめな話である。 http://www.playstation.jp/scej/yarouze/index.html 2月28日締め切り ちょうど新卒の募集開始時期も同じころなので、新卒諸君は悩むに違いない。 ゲームを作ってみたい、という夢と気概のある若者であれば企画だけで勝ち残れる「やろうぜ」のほうがいい話に見えるかもしれない。 実際、プラットフォームではなくてゲームプロダクトの制作に一生をささげるつもりなのであれば「やろうぜ」は悪くない。 なぜかというと、1本当てればプロジェクト解散どころかその後の制作費などもついてくるので2−3本は勢いで出せてしまう。 しかしこれが「やろうぜ」の闇でもある。 実際、公式HPを読んでもお金に関わることは一切書いてない。 そもそもなぜこんなスタープロジェクトが数年の間休眠していたのか。 ここから先は過去の「やろうぜ」チーム等などから聞いている実態なので、信憑性については眉に適当につばをつけて聞いて欲しい。 たしかに公式HPには成功者たちのストーリーが掲げられている。しかし実際のところ、いざ企画を認められ、契約書にサインしたところで、SCEIプロデュース担当者がつく。この担当氏と二人三脚で企画を進めていくことになる。実際の予算は2千万といわれている。ここから自分たちのコンピュータ機材やスタッフの給料をひねり出す。ちなみにお財布の紐は非常に堅いそうである。たしかにSCEIであるから新プラットフォームに関する情報や機材などの提供については利点がある(モノによっては無償で貸し出されるものもある)だろうが、膨大な技術文書を読み解く時間や技術、能力、それを実現する人的リソース、スタッフ探しなどは全部「やろうぜ」チーム側の裁量によるものが多い。SCEI内部のテストプログラムなどを渡される場合もある(だって社外に出してテストするのはSCEIのリスクだから)。しかし多くの場合は「やろうぜ」チームは公式のSCEI内部の制作や旧やろうぜチーム(現在のSCEI制作子会社)からはかなり距離を置かれていることも事実である。 簡単に言えば、プログラマとかアーティストとかは自分で探してきて一人前だし、もし全員が「ゲーム開発ズブの素人」だった場合、まずSCEI側は信用してくれないと思って良いだろう。管理されて企画をひりだす毎日である。 (実際には一日中ボーっとマンガ読んでタバコ吸ってすごしてることもあるわけで…) データが古いかもしれないが、損益回収としては6千万を目標にするようになっているはずである。つまり1社が当てれば1・2社は腐っててもSCEIとしては何の問題もないという状況。 逆を言えば、これが「やろうぜ」方式の闇でもある。 2001年頃、旧やろうぜチームが滅茶苦茶なことになっていたころ、各企画担当者の頭の中では常に『あと何回失敗できるか』が常に交わされていた。チーム数で言うと約50近くの案件がそんな感じ。 いわゆるGTほにゃららとか井上ほにゃららとか爆裂ヒットタイトルを分社化して生かして、企業式の独立自営管理に切り替えて、多くの「微妙な」企画を切った時期があった。 そのころ切られた人がどうなったか私は知らないので聞かないように。 まあXBOX陣営とかにごっそり移動したりとかもしたわけですが。 ああ、なんだかきな臭い話を書いてしまった。 でもこれはNDAでもなんでもないし3年以上たった時効の話なので「そういうこともある」ということで理解して欲しい。 第一SCEIは何のうそもついてない、むしろ企業としてやるべきことをやっているだけ。 だから、以下に当てはまるような学生さんとかフリーランスの人が『「やろうぜ」ってなんかいけそう』と思っているなら、踏みとどまるか、修行として「普通の」制作会社でスキルと適正を見極めることをお勧めする。 ・自分は企画以外ない人間である ・(コミケでもなんでもいいから)ゲームを作って売った/流したことがない ・集めればゲームを作れる友人が5人以上いない ・1年でも収入がなかったら死ぬ ・好きなゲームで何時間でも遊べる ・1つのネタを生み出すのに1時間以上かかる まあ上記の条件は一般募集のゲーム企業でも当てはまるかもしれないけどね。 精進されたし。 p.s. SCEIに対して他意はないです。 むしろ新生「やろうぜ」に期待するぐらい。