アメブロTBステーションに留学先での食事についての話題。 http://ameblo.jp/trackback-abroad/entry-10003365953.html

うちは嫁さんのおかげで、ほぼ100%自炊になりつつある。 冷静に考えるとフランス政府からの棒給はわたし1人前の生活費であるわけなので、えらいコストパフォーマンスで生活している。これは嫁さんに感謝せねばならない。

そういった日々の食生活はおいといて、SIGGRAPH中に気がついたLAでの日本食や外食についてあれこれ。

よく、フランスは「うまいものの国」といわれるが、日本からアメリカに行ったときでは気がつかない発見がいくつかあった。

ramen

写真は初日に食べた韓国人経営の中華料理スタンドでの辛めのラーメン。これはなんとなくおいしくいただいたような気がする。なにしろ、フランスにはこういう脂ぎった丼いっぱいのスープであるとか、色が変わるほど赤い香辛料であるとか、黄色い中太麺などないのであるから。ラーメンに飢えていたというだけかもしれない。ただ、普段、ほとんど肉食していないので、ちゃんと食べはしたけれども、後味が悪かった。確かに日本のラーメン屋でも化学調味料どっさりの時には、後味も悪く、舌を洗うためにコーラなど呑んでさらにおかしくなる…ということはあったのだが、今回はそれほど化学味がきつかったわけでもなく、純粋に肉食が体に合わなくなってることに気がついた。

ただ、アメリカの外食で肉食以外を選ぶというと、後は本当にサラダの山などを食べなければならない。例によって連夜パーティか、馬鹿高いコンベンションセンターの昼食しか口に入らないので、3日目には口内炎ができていた。食べたものの内訳としては、工業的なサンドウィッチ、馬鹿甘いクッキー、ソーダ水、立食パーティのスナックに焼酎を少々、カクテルを2杯、工業的なマヨネーズ練りツナサンド(でも巨大)、まともなほうだが、チーズバーガー(フレンチフライ抜き)、マヨネーズかやたらとビネガー味のドレッシングをかけないと食べれないサラダ。基本的にはしょっぱい。塩がきつすぎる。肉には旨みとジューシィさが足りない。調味料に頼りすぎ、特にケチャップ、マスタード、マヨネーズ。そしてこれの味がとても強い。3日で高血圧になりそうなぐらい塩味がきつすぎ。

あとはコーヒーのあたりはずれが激しいのは、まいった。 デカフェなんてもんは、コーヒーじゃない。 そんなものをスターバックスのブランドで出しているのは前から疑問があったが、それしか残ってないときは何を飲めばいい?

確定的に舌が壊れたのはフランス人の誘いでリトルトーキョーにすき焼きを食べに行ったとき。確かに懐かしい味ではあったんだが、家では「ラー油程度」しか使われない醤油が滝のように使われているのは驚いた。薄切り牛肉はフランスでは食べられないので、最初のうちはおいしくいただいたのだが、なべも煮詰まってきて、卵も切れてくると、フランス人は手を出さなかった。おそらく彼らの理解では「醤油しょっぱい」→「卵で緩和」→「ビールで押し流す」といった感じになってしまったのかもしれない。…がそういえば日本の居酒屋での食事などそんな感じなので否定はできないな。

あとはてんぷらや冷奴なども頼んでおいたが、てんぷらの揚がり方がよくないうえに、フランス人は揚げたてが旨いとは知らなかったようで若干さめてしまい、塩ではあまりおいしくなかったかもしれない(すでに天ツユはしょっぱいので避けられていた)。冷奴は醤油もつけずにデザート化していた。冷たい緑茶とわかめうどんは受けていた。

そんなわけで3日目にして完全に破壊された私の舌は「アメリカらしい食事」を求めて、パーティをさけ、夕食に時間をかけることにした。ニューヨークスタイルのステーキとか、スペアリブを2時間ぐらいかけて食べる。まあこういったちゃんとした食事はちゃんとおいしいし、微妙なテイストも守られている。また酸化防止剤が入っていない地元のカルフォルニアワインもいい役どころになる。

しかし以前はSIGGRAPHでは日本で食べられない牛肉をきっちりたべていたもんだが、この米国牛もいまじゃ危険なんだよなあ。としみじみ。

周囲では吉野家で牛丼300年の歴史に思いをはせている学生がたくさんいた…が私はもう、懐かしさすら感じなかったので一度も食べる機会はなかった。

オレンジジュースも「フレッシュオレンジジュース」と書いてあるけど絞りおきなので、多分100%フレッシュではない。バレンシアに行ったときに、本物のオレンジジュースを飲んでしまったので、今はあの手の飲みものはビタミンC摂取のための栄養ドリンクぐらいでしかない(ので1L買い置きして冷蔵庫においてはおいた)。

最終日は、かねてから食べたいなーと思っていたメキシカンを宿の近くのマーケットで$2-4で食した。牛肉に豆、ちょっと塩味という控えめなテイストであるが、いける。ライムを搾るとさらにおいしい。

まあ振り返ると、日本では当たり前だったアメリカの食事が、結構異常に見えてきた。まあ確かに量はやばすぎる。あれは日本人が見ても異常だ。しかし、ケチャップ、マヨネーズ、塩、醤油(照り焼き)など日本人の外食テイストはどんどんアメリカと共通舌になっていることを認識せねばならない。

マクドナルドなどは日本のほうが日本人の味にチューニングされていてえらい、などと思ってはいたが、50歩100歩である(ちなみにフランスのマクドナルドも相当しょっぱい)。あんなものはチーズではない。パテも牛肉なのか本当に。アメリカではハンバーガーをレストランで頼むともうちょっとまともなものが出てくるが、それでもパンはおかしい。

そうか、決定的な違いはこの辺だ。

フランスではパンは街のパン屋が焼くものであって工場で作るものではないのだ。チーズもそう。 街が小さいからこそ、街の中ですべてそろうフランスの都市では輸入や物流と工業生産に胃袋を頼ったりしていない。

日本は米以外食糧自立需給できないというが、それは大きな迷信であると常々感じている。 福島に暮らしていたときは米をはじめ野菜も肉も魚も東北地方だけでかなりの量と質が保たれていた。 問題は小麦と都市と外食、それから都会人の食生活、というか考え方なんではないかと思う。

いらんもんを作らない、食べ過ぎない。 それだけのことなのかもしれないんだが。 そのほうが健康にもいいしねえ。

ちなみに、アメリカに行って急激に太ったんですがこれは主に酒のせいらしく、戻ってきてまたやせる方向に戻り始めました。運動はしてないので、体力はありません。