Laval Virtual 2017ふりかえり講演を予定しております

2017年4月25日のTokyo VR Meetup にて、Laval Virtual 2017振り返り講演を実施できることになりました。

開催日時:2017年04月25日(火)19:20~22:00

会場:デジタルハリウッド大学大学院 駿河台ホール

今年のLaval Virtualはとても規模が大きく、9,000平米, 出展社240社。プロフェッショナルデイに当たる3/22-3/24の3日間での来場者は前年度30%増の約7,900名、パブリックデイに当たる3/25,3/26の2日間での来場者は9,800名と合計17,700名の来場者を集め、欧州最大VRの祭典となりました。今回のLaval Virtualは会場の広さ、展示規模の大きさだけでなく、学生コンテスト、Startup contest、AR/VR Contents festival, 市場関連では投資フォーラムなどもあり、とても数人でレポートできる規模ではありませんでした。また一方で、アンテナの良い日本からの参加者は数多くの重賞受賞があり、大きなプレゼンスをみせていました。Laval Virtual 2018参加者向けの情報も含めて紹介したいと思います。

日本の学生VRコンテストIVRC2016からLaval Virtual Award経由でACM SIGGRAPH Awardを受賞しEmerging Technologies展示を決めた「Real Baby – Real Family」

https://twitter.com/o_ob/status/844997866624073730

Best VR/AR Contents賞を受賞した たゆたう さん

超人スポーツ協会(リリース)、立命館大学、筑波大学の「Laval Virtual Award」部門賞受賞もありました。多くは、国際公募デモセッション「ReVolution」にて採択されており、今年は「TransHumanism++」というテーマ。無料で広いブースを獲得し、大変な盛況でした。

 

日本からのVIP参加者も gumi 國光氏、東大 稲見昌彦先生、慶応大学 中村伊知哉先生などもご参加いただいておりました。特に國光氏は投資フォーラムやラウンドテーブルでのご講演に加え、Laval市郊外に常設されるLaval Virtual Center(2017年夏オープン)の見学などもされているようです。

以下(時間の都合上、講演で扱えるかわかりませんが)VR関連の日本から見えづらいニュースとしては、Lavalにフランス本社を持つ老舗EON Realityの国際インターンシップセンターIDCが、新たに4パートナー、7カ国増えて32カ国なったようです。第5回を迎えるLaval Virtual併催のイベントも満席だったようです。
https://www.eonreality.com/events/eon-experience-fest-2017/

またLaval Virtual Asiaとして、中国・青島の都市から10年で5億ユーロの投資を獲得しました。

http://www.futura-sciences.com/tech/actualites/technologie-realite-virtuelle-met-cap-vers-grand-public-salon-laval-virtual-66797/

VRの研究者と無名都市と市民が20年で”VRの首都”を作り、それが実を結びつつあります。

Laval Virtual 2018の状況などもふくめて、ご紹介できれば幸いです。

 

 

新しいGoogle翻訳とスプレッドシートを使って国際会議への執筆をスマートにするついでに英作文力を高速に身につけるハック

CG,VR業界の研究者はこの時期、Laval VirtualやSIGGRAPHといった国際投稿のピークにあります。

白井研究室は規模の割には国際投稿が多いです。

http://blog.shirai.la/publications/

また数だけでなく内容も学部生でACMの学生研究コンテストで世界3位を受賞したりと、大学の入試難度の割には世界トップクラスの評価を受けることもあったりします(ちなみにACM SRCは書き物だけでなくファイナルはプレゼン審査込みです)。

本人の頑張りや先生の頑張り、研究の難度やインパクトはあるにせよ、一般的には日本語の論文を「ただ翻訳」したからといって別のアーティクルになったとみなすことはできません。しかし卒業論文や日本VR学会、インタラクションといった、日本語だったら構造的もクオリティ的にもしっかり書けるし、新規性もディスカッションもしっかりしている、さらにそのadvancementも加えられるような投稿もあるけれど、いざその学生に『英語投稿しようぜ!』と提案すると、もうその瞬間にグッチャグチャになる…といった経験はよくあります。

そもそも先生方も英語科学論文執筆のスキルや経験が十分にある方であれば指導もできるかとは思いますが、書き方のトレンドも分野によってはずいぶん違いますし、普段「日本語どっぷり業務」で押しつぶされている大学教員様が英語論文を査読等で読むのに精一杯なのに、ただ書くだけならともかく、「日本語の勢いを保ったまま翻訳する」というスキルを維持するのはなかなか難しいです。

そもそも日本語だって研究の先進性を求められるのに!英語まで書かねばならんのか!
これはハンデだ!俺は英語圏に生まれればよかった!うわーん!!
と嘆くのは簡単ですが、私はそうは思いません。
日本語に加えて英語もフランス語も、中国語も少しはわかりますが、英語単一文化圏に生まれていたら、それ以外の言語に目を向ける機会もなかったでしょうし、日本語が高度だからこそ、詩や短歌、冗談やマンガ・アニメやTwitterのような楽しいことも沢山あります。

また論文を書くことによって高度な日本語を身につける機会にもなります。いい勉強です。

さて、Google翻訳です。これは英語学習には不向きな面もあります。Google翻訳を英作文の一部にでも使おうものなら「どう見ても機械翻訳」という作文になり、あらゆる先生方から否定されたものです。しかし最近のアップデートにより「より自然な翻訳結果」が取得できるようになりました。

 

ではGoogle翻訳を科学論文の執筆に使えるか?というと、Noです。

少なくともそのままでは使える品質にはありません。理由はいくつかあります。

  • 「自然な翻訳」のために、多少の誤りは適当に正してくれる(誤りを発見できない)
  • 日本語と英語では論法が逆(日本語は大事なことを最後に書く)
  • 日本語は構造的に書こうとすると自然な日本語にならない
  • ときどき物凄い勘違いをする
  • 原文の日本語がそもそも曖昧。特に係り受けが本人に聞かないと不明だったりする。
  • 日本語と英語の多義性を考慮する必要がある(例:Play=遊び?試合?演奏?…)
  • ただしものすごく速い、しかも無料。

以下の解説は、上記のようなGoogle翻訳の特性を利用して、英語投稿のワークフローと新しい英作文力向上のための勉強法を提案しています。特に先生方と若い学生さんがWeb上で深夜日中を問わずコラボして執筆するような環境を想定しています。細部に関してはノウハウもあるので割愛しちゃいますが、最大に重要な関数はこれです。

=GOOGLETRANSLATE(B1,”ja”,”en”)

これをGoogleスプレッドシートに入れてみてください。賢い先生であればこれだけで十分と思います。

つまりこの関数を使うことで、Google翻訳のエンジンをGoogle Spreadsheetから使うことができます*

関数リファレンス

構文 GOOGLETRANSLATE(テキスト, [ソース言語, ターゲット言語])

使い方としてのポイントはこの先です。ワークフローにしてまとめます。

<準備>

  1. まず以下のヘッダを1行目に用意し「表示→固定→1行」、A1〜F1に以下。

    Question, Answer(人間による英作文), Google英語, 質問の自動翻訳, 人間による日本語, 人間による英作文の邦訳, MEMO

  2. オンライン投稿によくあるWebフォームの質問をスプレッドシートのA列に分解して貼り付ける
  3. D列[D2]にA列を日本語訳する式を設定 [=GOOGLETRANSLATE(A2,“en”,“ja”)]
  4. E列にD列の日本語質問に該当する「とりあえずの日本語」を書く。和文論文から貼り付ける。いま書けない場合は「条件付き書式」を設定して空白セルに色付けしておくと良い。
    ここでは例として「触覚フィードバックを用いたショートニング不使用クッキーによるハードクッキーのテクスチャー解析」という仮の和文論文からのコピペを貼り付けておきます。
    *あえて係り受けが不明瞭なタイトルです。
  5. C列[C2]にE列を英訳するセルを設定する[=GOOGLETRANSLATE(E2,”ja”,”en”)]
  6. さらにF列[F2]にB列を日本語訳するセルを設定する [=GOOGLETRANSLATE(B2,“en”,“ja”)]
  7. G列はメモ、必要に応じて文字数カウントとか実装するといいです。文字数カウントはLEN()で作れますが、ワードカウントしたい人はGASで作るといいかもです(shirayuca@qiitaによる実装例)。

スクリーンショットにするとこのようになります。

<使い方>

手順通りに作ってくれた人は、もう使えると思います、あえてテンプレとしてダウンロードさせないのは「自分で作った方が理解できるしカスタマイズもできる」からです。列が右に左にするのは「その方が対訳として見やすい」からです。以下手順になります。

  1. D列の自動翻訳の日本語質問を読みながら、E列にまず日本語を書いていきます。
  2. するとC列に勝手に英語が生成されます。
  3. B列に「C列の英語を見ながら人間の英作文」を書きます。少なくとも単語で困ることはなく、書き出しもスラスラ書けます。ただしC列の英語が一発でOKになることはまずないです、疑ってかかるか、楽をしたければE列の日本語を改善していきましょう。
  4. 英作文が正しいかどうか、F列を見ながらすすめます。E列とF列がほぼ同じ意味になればよいわけです。
  5. あれ?もう完成していますね!しかも1作文ごとに英作文力がアップしていくことを感じられます。

上記の例では「not use」というGoogle翻訳の提案を無視して「without」としています。そもそも日本語のタイトルが冗長であることに気が付いたりもします。主文が「触覚フィードバックを用いた」なのか「ショートニングを使わない」なのか、Googleさんにはわかりません。MEMO欄に「おい主著者、どっちが主文だかはっきりしろ!」と書いておくと良いでしょう。右クリックで「メモ」や「コメント」を使うと校閲しやすく、Web上で高速に共著作業が進んでいきます。

さて本文の執筆です

上記は国際投稿の際のEasyChairやSIGGRAPH SISにおけるWebフォームの例ですが、本文も同様です。白井研究室の場合、和文の場合はCloudLaTeX,、英語論文はShareLaTexを使用していますので、CloudLaTeXからの英語→日本語の変換工程で構造的に執筆された日本語を英語に翻訳していく過程が必要になりますから、上記のシートをコピーしてカスタマイズして、A列の質問を主著者や先生のストラテジに置き換えていけば良いのです。

Google翻訳の特性上、あまり長い作文をしようと思わない方がいいです。一方で、コンテキスト(前後関係)も重要ですので、だいたい目安としては一段落程度で区切ったり、代名詞Itなどを補完しながら中間的な(=Googleさんにわかりやすい)言語で書いてあげると良いと思います。その言語を日本語で行える、右クリックすればメモなども使える、という点が上記のワークフローの特徴です。必要であればどんどん行を増やしていくと良いです。

最後にB列をガシッとコピーして、Word等のトラディショナルな英語チェック環境やエキサイト翻訳のようなクラシックな翻訳エンジンに通してみることをお勧めします。図版を入れる作業なども必要ですからこのワークシートだけで全てを終わらせるわけにはいきませんが、この段階で人間の有料英語レビューに依頼できるレベルまでは達しているはずです。Todo管理なども含めると分業もしやすくずいぶんとストレスの少ない英語執筆が可能になると思います。

 

ブログに書いた方がいいだろうなというレベルはこの辺りまでですね!

白井研究室のノウハウとしては、上記の方法だけで論文を書いている訳ではありません。これに加えてGAS(Google Apps Script)なども組みあわせていったりもします。ビデオの字幕やYouTube字幕などもこれでずいぶん改善されます。そもそもワークフローにこだわるというよりは自力で、動的に、改善していくことが重要と思います。

なおGoogle翻訳はGoogle Cloud API経由でも使える訳ですが、課金やセットアップが必要な情報に比べてもずいぶんスマートなのでした。
http://unokun.hatenablog.jp/entry/2015/08/08/103841

白井としては、これでAndroidタブレットやスマホでも書ける!というのは大きいです(右腕が使えませんので、机で両腕を使って書ける時間が限られているのですイタタ…)。

フィードバックありましたら @o_ob までどうぞ!

*(追記:2017/2/17 22:00)

本稿のGoogle Spreadsheet関数で利用できるGoogle翻訳では、フレーズ間の翻訳確率を計算して翻訳先の言語の適切な語順に並べ替える、フレーズベース機械翻訳(PBMT)を採用しているようです。2016年11月にアップデートされたニューラルネットワークベースのGoogle Neural Machine Translation(GNMT)はPBMTよりも翻訳精度が上がる印象がありますが、本稿の関数にはまだ実装されていないようです。
ご参考:グーグルの翻訳AIが「独自の言語」を生み出したといえる根拠(2016.11.24)
http://wired.jp/2016/11/24/google-ai-language-create/

(例1)
原文:Percent of overcrowded households among bottom quintile of income distribution.

Spreadsheet関数版Google翻訳(エンジン不明):所得分配の底五分位間の過密世帯の割合。
Web版Google翻訳(GNMT日英)所得分配の下位5分の1の間で混雑した世帯の割合。

ちなみにWeb版のほうもクリックすると翻訳候補として「底五分位間の」が出てきますのでやはり「新しい」とはいえGNMTはまだSpreadsheetには使われてないと見てよいでしょう。いつ反映されるのでしょうかね!楽しみです。ただしある日突然変わるので注意が必要です。原文や作文はちゃんと保持してくださいね。

(例2)2017/2/18 23:00追記
原文: Talk of tech innovation is bullshit. Shut up and get the work done – says Linus Torvalds

GNMT日本語訳: 技術革新の話はうそつきです。シャットダウンして作業を完了させる – Linus Torvalds

GoogleTranslate関数: ハイテク技術革新の話はでたらめです。黙って仕事を成し遂げる – Linus Torvalds氏は述べています

この文であればGoogleTranslate関数の方が素直な訳でいいですね、GNMTによる日本語訳は英語に直すと「The story of technological innovation is a liar. Shut down and complete the work」、うそつきとシャットダウンが強く残ってしまっています。
なおこの一文は実際のニュースとしてはもっと恣意的な翻訳をされているのでまだマシなのかもしれませんが…。

しかしGoogle翻訳(GNMT)の翻訳結果がお上品になるのは良いことなんだろうか?「ブルシッt」が「うそつきです」になる事で人類のヘイトを抑えられるどころかより齟齬を産んでるんじゃねーの、って気持ちもある。
この辺り、もう現実はチェス囲碁将棋AIと翻訳に関してはSFに両足突っ込んでる感じがしますね。シンギュラリティです。

ところでSpreadsheetにはこれ以外にも面白い関数がいっぱいあります。

ImportFeed, ImportXML, IMAGE, それに最新の株価・為替が取得できるGoogleFinance関数も便利です。

Excelで苦手なヒストグラムも一発で出せますよ!

どんどん使ってみてくださいね。

 

ご紹介の際は一言頂ければ幸いです

国際論文連発の研究室が明かす、英作文超ノウハウ。Google翻訳ってスプレッドシートから使えるんだ!|ギズモード・ジャパン https://t.co/VbFhLG4LFz

世界巡業中です / World Touring

2016年12月から2017年1月まで以下の講演で飛び回っております。

フランス語を話す研究者の日2016基調講演

日仏会館, 2016年12月2日

https://sites.google.com/site/sciencescopejfr2016en/program/invitedspeaker

Research and innovations of Virtual Reality for Entertainment systems between Japan and France

Abstract
This talk contributes to the shared value of researches and innovations of entertainment systems, which affects human amusement.
The speaker, Akihiko SHIRAI, Ph.D has over 20 years of experience in research and development of entertainment systems. He has experiences in researches and developments of photograph, photo engineering, game making, game design, entrepreneurship, factory manufacturing process, real-time graphics engineering, haptics application, television organization, virtual reality industry, event promotion, science communication in national museum, multiplex hidden imagery, manga for VR, and augmented reality for public. The talk also contains discussions about future values and his challenge in Hello Tomorrow, IVRC, ReVolution in Laval Virtual.

 

 

MANPU2016基調講演

カンクン・メキシコ

December 4, 2016, Cancun Center, Cancun, Q.Roo, Mexico

MANPU2016:
The First International Workshop on
coMics ANalysis, Processing and Understanding
To be held in conjunction with the 23rd International Conference on Pattern Recognition (ICPR2016).

http://manpu2016.imlab.jp/

Invited Speech 10:10 – 11:00
Manga Generator, a future of interactive manga media

☆プロシーディングはオープンアクセスジャーナルにしましたので、そのうちACM Portalからアクセスできるはずです。

Akihiko SHIRAI, “Manga Generator, a future of interactive manga media : Invited Talk Paper”,
MANPU ’16 Proceedings of the 1st International Workshop on coMics ANalysis, Processing and Understanding, Article No. 13, 5 pages, 2016. [PDF] [SlideShare]

 

<以下、うらばなし>

ちなみに泊まっているホテルは横に「Coco Bongo」という有名なクラブがありますので、土曜の夜は大変騒がしかったです。

 

Program

Opening Ceremony
10:00 – 10:10
Invited Speech
10:10 – 11:00
Manga Generator, a future of interactive manga media
Akihiko Shirai (Kanagawa Institute of Technology, Japan)
Oral Session 1
11:00 – 12:00
Manga109 Dataset and Creation of Metadata
Azuma Fujimoto, Toru Ogawa, Kazuyoshi Yamamoto (The University of Tokyo, Japan), Yusuke Matsui (National Institute of Informatics, Japan), Toshihiko Yamasaki and Kiyoharu Aizawa (The University of Tokyo, Japan)
Detection of Comic Books Twin Pages with a Non-overlapping Stitching Method
Clément Guérin, Jean-Christophe Burie and Jean-Marc Ogier (University of La Rochelle, France)
Retrieval of Comic Book Images Using Context Relevance
Thanh Nam Le, Muhammad Muzzamil Luqman, Jean-Christophe Burie and Jean-Marc Ogier (University of La Rochelle, France)
Lunch Time
12:00 – 13:00
Oral Session 2
13:00 – 14:00
Pose Estimation of Anime/Manga Characters: A Case for Synthetic Data
Pramook Khungurn and Derek Chou (Cornell University, USA)
Comics image processing: learning to segment text
Nina Hirata, Igor Dos Santos Montagner and Roberto Hirata Jr (University of São Paulo, Brazil)
Comic visualization on smartphones based on eye tracking
Olivier Augereau, Mizuki Matsubara and Koichi Kise (Osaka Prefecture University, Japan)
Coffee Break
14:00 – 14:15
Poster Session
14:15 – 15:45
Designing A Question-Answering System for Comic Contents
Yukihiro Moriyama, Byeongseon Park, Shinnosuke Iwaoki and Mitsunori Matsushita (Kansai University, Japan)
Manga Content Analysis Using Physiological Signals
Charles Lima Sanches, Olivier Augereau and Koichi Kise (Osaka Prefecture University, Japan)
Emotional arousal estimation while reading comics based on physiological signal analysis
Mizuki Matsubara, Olivier Augereau, Charles Lima Sanches and Koichi Kise (Osaka Prefecture University, Japan)
Toward speech text recognition for comic books
Christophe Rigaud, Srikanta Pal, Jean-Christophe Burie and Jean-Marc Ogier (University of La Rochelle, France)
Estimation of Structure of Four-Scene Comics by Convolutional Neural Networks
Miki Ueno (Toyohashi University of Technology, Japan) , Naoki Mori (Osaka Prefecture University, Japan) , Toshinori Suenaga and Hitoshi Isahara (Toyohashi University of Technology, Japan)
A Sustainable Practice Method of Hand-drawing by Merging User’s Stroke and Model’s Stroke
Natsumi Kubota, Shinjiro Niino, Satoshi Nakamura and Masaaki Suzuki (Meiji University, Japan)
Coffee Break
15:45 – 16:15
Panel Discussion
16:15 – 17:30
Closing
17:30 – 17:40

 

ICAT-EGVE2016デモ発表(リトルロック・アーカンソー)

2016/12/7-9, Little Rock, Arkansas, U.S.A.

http://icat-egve-2016.org/

ICAT-EGVE 2016 / 第26回人工現実感とテレイグジスタンス国際会議
第21回バーチャル環境に関するユーログラフィックスシンポジウム

ICAT (International Conference on Artificial Reality and Telexistence)は最も歴史あるバーチャルリアリティとテレイグジスタンスの国際会議であり本年で26回目の開催です.本年もEGVE(Eurographics Symposium on Virtual Environments)との共催となり,初めて米国(アーカンソー州リトルロック)にて開催されます.会期は2016年12月7日から9日まで,論文の投稿締切は9月30日となっております.今回は General Chair の Carolina Cruz-Neira 教授のご尽力によりクリントン大統領記念図書館での開催という快挙となりました.

白井研究室からの発表はデモです(まだ公開されていませんので公開後に更新します)。

プログラム

http://icat-egve-2016.org/program-overview.html

Paper Sessions

Session 1: For Your Eyes Only I

Christian Scheel, Oliver Staadt, Tariqul Islam ABM
An efficient interpolation approach for low cost unrestrained gaze tracking in 3D space

Peter Passmore, Maxine Glancy, Adam Philpot, Amelia Roscoe, Andrew Wood, Bob Fields
Effects of viewing condition on user experience of panoramic video

Session 2: Use All Your Senses

Naoyuki Saka, Yasushi Ikei, Tomohiro Amemiya, Koichi Hirota, Michiteru Kitazaki
Passive arm swing motion for virtual walking sensation

Shogo Yamashita, Xinlei Zhang, Takashi Miyaki, Jun Rekimoto
AquaCAVE: An Underwater Immersive Projection System for Enhancing the Swimming Experience

Session 3: Going Wide: Degrees matter

Steve Cutchin, Yuan Li
View Dependent Tone Mapping of HDR Panoramas for Head Mounted Displays

Mehdi Moniri Mohammad, Andreas Luxenburger, Winfried Schuffert, Daniel Sonntag
Real-Time 3D Peripheral View Analysis

Ismo Rakkolainen, Matthew Turk, Tobias Hoellerer
A Superwide-FOV Optical Design for Head-Mounted Displays

Session 4: For Your Eyes Only II

Ja Eun Yu, Gerard Kim
Blurry (Sticky) Finger: Proprioceptive Pointing and Selection of Distant Objects for Optical See-through based Augmented Reality

Yuki Yano, Jason Orlosky, Kiyoshi Kiyokawa, Haruo Takemura
Dynamic View Expansion for Improving Visual Search in Video See-through AR

Session 5: When Virtual Is Not Enough

Hiroto Tsuruzoe, Satoru Odera, Hiroshi Shigeno, Ken-ichi Okada
MR Work Supporting System Using Pepper’s Ghost

Tomohiro Mashita, Alexander Plopski, Akira Kudo, Tobias Hoellerer, Kiyoshi Kiyokawa, Haruo Takemura
Simulation based Camera Localization under a Variable Lighting Environment

Steve Cutchin, Iker Vazquez
Synchronized Scene Views in Mixed Virtual Reality for Guided Viewing

Guillaume Claude, Valerie Gouranton, Benoit Caillaud, Bernard Gibaud, Pierre Jannin, Bruno Arnaldi
Derivation of scenarios for collaborative virtual environments for training to surgical procedures from real case observation

Session 6: Being There

Samratul Fuady, Shoichi Hasegawa
Natural Interaction in Asymmetric Teleconference using Stuffed-toy Avatar Robot

John O’Hare, CA Bendall Robert, John Rae, Graham Thomas, Bruce Weir, David Roberts
Is this seat taken? Behavioural analysis of the Telethrone: a novel situated tele-presence display

Sungchul Jung, E. Hughes Charles
The Effects of Indirect Real Body Cues of Irrelevant Parts on Virtual Body Ownership and Presence

Kangsoo Kim, Gerd Bruder, Divine Maloney, Greg Welch
The Influence of Real Human Personality on Social Presence with a Virtual Human in Augmented Reality

Panel

 

白井研究室からの発表

“Simultaneous Socio-Spatial Shared Signage”
Shirai, Akihiko; Yamaguchi, Yuta; Hsieh, Rex; Suzuki, Hisataka
http://diglib.eg.org/handle/10.2312/egve20161456

Shirai, Akihiko, Yamaguchi, Yuta; Hsieh, Rex; Suzuki, Hisataka, “Simultaneous Socio-Spatial Shared Signage”,ICAT-EGVE2016 – Posters and Demos ,The Eurographics Association, p.25-26, 2016. [Web]

IWAIT2017口頭発表+基調講演(ペナン・マレーシア)

口頭発表

Fujisawa Yoshiki, Hisataka Suzuki, Rex Hsieh and Akihiko Shirai, “Web-based multiplex image synthesis for digital signage”, IWAIT2017, 2 pages. 2017. [SlideShare] [Demo]

SPECIAL KEYNOTE ON AR/VR

Research of VR Entertainment Systems, Its History, Interests, and Future  

 Date/Time:      10th JANUARY 2017 (9:45 am – 10:30 am)

Venue:             Grand Ballroom, Equatorial Penang

Akihiko Shirai, PhD in Engineering

Department of Information Media, Kanagawa Institute of Technology (KAIT), Japan

Chair of Laval Virtual ReVolution (2006~)

Executive Committee of International collegiate Virtual Reality Contest (2002~)

ACM SIGGRAPH ASIA 2015 Youth Program Liaison

 

Abstract

Recently virtual reality has become the hot topic in the tech and game industry, however, the question still remains how can we define the “Entertainment VR” ?

The speaker has interest in how human interacts with games, virtual reality, and science of play which can be seem from his past researches, development pieces, experience design in international opportunities, and his vision for the future of this domain.

Everyday we are constantly exposed to many forms of digital media entertainment products like smart phone and/or mobile games. Latest computer games may grab player’s interests, however its hard to link theoretical research with development cases. Speaker has interested in entertainment virtual reality, interactive systems, games (classic also), computer graphics, computer vision, intelligent systems, science communication, networking, education for a long time, and he has various professional creation experiences as video game engineer, haptic contents designer, virtual TV studio, theme park attractions in Laval, science communicator and exhibition concept designer in national science museum, Miraikan. His production and research methods for “Virtual Reality Entertainment systems” will be revealed in this presentation.

His extended experiences in organizing Laval Virtual ReVolution and IVRC, International collegiate Virtual Reality Contest, will be valuable in demonstrating how we can collaborate and formulate plans to encourage student innovation in project based learning which includes public field testing with social understanding.

Glimpses of the future of virtual reality domain will be disclosed in this presentation whose functionality extends beyond human amusement but to well being and existence between human and technology.

 

Biography

AKIHIKO SHIRAI, Ph.D in Engineering,  has obtained a bachelor of Photo Engineering and master of Image Processing from Tokyo Institute of Polytechnics. Afterwards he worked for Canon and Criterion as a game development consultant to distribute RenderWare, a multi-platform graphics middleware for the game industry until 2001. He went back to academia to study intelligent systems and obtained a Ph.D. in the Tokyo Institute of Technology in Japan in 2004 with research concerning the “Tangible Playroom”, an entertainment system for young children using haptics, a floor screen and a physics engine. He was a R&D researcher at NHK-ES in Japan, focusing on the next generation’s TV production environment before moving to ENSAM Presence & Innovation Laboratory in France from 2004 to 2007 for R&D of a Virtual Reality theme park project.

He worked for National Museum of Emerging Science and Innovation (Miraikan), Tokyo Japan, as a science communicator and exhibition planner from 2008 to 2010.

Starting from 2010, he works in the Information Media Department at Kanagawa Institute of Technology (KAIT) as an associate professor.

 

 

Academic publications: http://blog.shirai.la/publications/

Authored books: “The future of Game design – Science in Entertainment Systems” (2013), “WiiRemote Programming” (2009)

Awards:

Hello Tomorrow Global Summit Top 500 startups “Multiplex World Augmentation Display”

Laval Virtual Award 2015 “ExPixel FPGA”

ACM Student Research Competition, Bronze Award,” ExPixel: PixelShader for multiplex-image hiding in consumer 3D flat panels” (supervised)

ACM SIGGRAPH ASIA 2012 Emerging Technologies Prize, “2x3D: Real-Time Shader for Simultaneous 2D/3D Hybrid Theater”

Websites: http://www.shirai.la http://blog.shirai.la Twitter@o_ob

 

Call for Demo ReVolution 2017 TransHumanism++ (ver.3) #LavalVirtual

フランス最大のVRにおける国際イベント第19回「Laval Virtual」および、
公募デモ部門「ReVolution 2017」のご投稿のお誘いです。本年は [TransHumanism++] というテーマで募集しております。
従来からの協力であるIVRCに加え、超人スポーツ協会、
株式会社gumiがパートナー企業に参加し、
国際色豊かで豪華なプログラム委員会で、皆様の投稿をお待ちしております。
また併催の国際会議 ACM VRIC とは分離したトラックで募集し、別途オープンアクセスのオンラインジャーナルを発行する予定です。

投稿はEasyChairにてオープン中で、必要アイテムは
・ビデオ(最大5分)
・概要(2〜10ページ)
・設営プラン
・代表画像
となっております。
締め切りは、投稿ID生成期限が2016年12月31日、投稿締め切りが2017年1月6日、採択結果のアナウンスを1月23日に予定しております。

Laval Virtual ReVolutionの特徴である、往復の旅費等が支給される「招聘(Invites)」採択枠に併設して、今年度は大型展示に耐えられるよう「TransHumanism++ Stadium」という採択部門を用意しております。

特にVR学会会員や超人スポーツ協会、芸術科学会、VRスタートアップの皆様におかれましては、日頃の研究成果の欧州での発信にぜひご活用ください。

日本語での情報はこちらで共有しております。
http://j.mp/LAVALJP

ご質問等もお寄せください。
皆様の応募をお待ちしております。  白井暁彦
<以下、拡散よろしくお願いいたします!>

—- please distribute to your channel —-

LAVAL VIRTUAL REVOLUTION 2017
CALL FOR DEMOS (ver.3)

Presentations of the world’s most innovative achievements in the field of virtual reality, augmented reality and their future applications, Laval Virtual ReVolution is an annual honor of the world’s finest VR projects by Laval Virtual. It is a hall of fame that decides the best Virtual Reality demonstration and/or application from all over the world. Virtual Reality is not only a technology but also a never ending story about the history between computers and humans. We cannot know the ending of this story yet, as we still need to find and walk one of the many possible paths that will lead us to a future navigated by brilliant stars.

Future voyagers will continue to stare at those stars along their way. While the Virtual Reality culture can also be built by academic papers or commercial products independently, we would like to suggest a new relation between developmental projects and the general public at on-site demonstrations. If a project has impact, technology and persuasiveness, it might move the general public and change our common sense. So, this means a revolution in the history of Virtual Reality.

Please try to join today’s stardom with your exciting projects and share in the activity from all over the world! We hope to accept your brilliant projects which can help to foster the current conceptions of Virtual Reality and make changes to the current human-computer interfaces and Virtual Reality history.

[TransHumanism++]

Laval Virtual ReVolution 2017 calls for innovative virtual reality demo projects that fall under the theme, “TransHumanism++”.

Transhumanism (abbreviated as H+) is an international intellectual movement which aims at transforming the human society by developing widely available sophisticated technologies that will greatly enhance human intelligence, physical condition, and psychological capacities. https://en.wikipedia.org/wiki/Transhumanism

Transhumanists support the emergence and convergence of technologies including nanotechnology, biotechnology, information technology, and cognitive science. They also welcome hypothetical future technologies such as simulated reality, artificial intelligence, superintelligence, 3D bioprinting, mind uploading, chemical brain preservation and cryonics. They believe that humans can and should use these technologies to surpass the limitations of humankind.

Laval Virtual ReVolution 2017 seeks to act as a milestone for the realization of “Transhumanism + future of {Virtual Reality + Arts + Culture}”. We welcome the submission of scientific experiences and academic demos that showcase a brighter future for humankind with the aid of Transhumanism projects. Some examples of Transhumanism projects include super human sports which can be enjoyed in everywhere by anyone at every time with augmented human technologies. Demonstrations will be judged based on for their durability, innovation, and value of entertainment or human-being.

 

Technology Demonstration

  • New device and integrations
  • Super Human Sports
  • Handicap and universal design experience
  • Scientific Demonstration
  • Large space demonstration
  • Haptic interface
  • Display technologies
  • Interactive Arts
  • Entertainment VR
  • New Media Designs
  • New Game Systems
  • New Human Interfaces and Displays

… And new use, public testing, Proof of Concept (PoC)  of VR are encouraged. The accepted abstract will be published by online proceedings.

 

Current Virtual Reality technology includes computer generated graphics, display technologies, haptics, force feedback and interface design in the context of implementing new experiences that encourage users to use a virtual system to enhance their real, mundane lives. It may be called as entertainment system in current virtual reality. However its function may be linked to humanism which bring us into the next generation of human being. Share your experience, and proof it in the professional and public during Laval Virtual 2017. ReVolution is best opportunity to demonstrate your projects to professional and for the grand public.

 

Submission via EasyChair

REGISTRATION  ShortenURL: http://j.mp/LVREVO17

 

[Mandatory Items]

  • Video: not longer than 5 min
  • Abstract: Recommend to use ACM Proceedings format. The paper must be in PDF format, page should be 2 to 10 pages. File extension must be PDF.
  • Install plan: logistic, floor plan and experience scenario for professional and public day
  • Representative picture: a photo which can explain entire experience for the public

 

[Scoring Criteria]

All submissions  will be reviewed by the jury committee, which consists of academic and industrial professionals of engineering and art, according to the following criteria:
Originality : Novelty in technical and artistic sense
Creativity : Bringing about interest and excitement
Feasibility : Rate of implementability to realize your concept
Safety and logistics for abroad : The project must be suitable for oversea exhibition
Attractivity : Presence and Impact for the visitor of Laval Virtual

 

[Submission Deadline and Result announcement]

  Submission ID creation deadline: 31/DEC/2016 (End of 2016 in GMT)

  Submission update close: 6/JAN/2017

  Result: 23/JAN/2017

 

[Acceptance classes]

Invites : Flight tickets (3 person maximum), accommodation (3 person maximum), LV Party tickets + Lunch + Dinner + Stand for all days

  4 projects from partner events and open competition.

Welcome: 3m x 3m Stand ( Wednesday to Sunday )

  Top projects from the open submission

Weekend: Stand ( Saturday to Sunday, only for the grand public days  )

  Jury recommend project from the open submission

 

[new!] “TransHumanism++ Stadium”

  Large space (around 5m x 10m), scheduled demo, 2 hours per session (10-12h, 13-15h, 16-18h)

 

[Winners 2017]

Invited project from ACM SIGGRAPH

LightAir: a Novel System for Tangible Communication With Quadcopters Using Foot Gestures and Projected Images,  Skolkovo Institute of Science and Technology
https://twitter.com/o_ob/status/758679223745732608‬

Perceptually Based Foveated Virtual Reality, NVIDIA Corporation
https://www.youtube.com/watch?v=L_I5Dxdbjqg

 

[Program Committee] TBD

Akihiko SHIRAI, Session Chair, Kanagawa Institute of Technology

Alexandre Bouchet, CLARTE

Abdelmajid Kadri, Arts et Métiers ParisTech
Carolina Cruz-Neira, University of Arkansas
Jean-Marc Seigneur, University of Geneva
Juan De Joya, Pixar Animation Studios
Philippe David, SNCF
Thierry Frey, ACM SIGGRAPH
Machiko Kusahara, Waseda University
Masahiko Inami, Univ. of Tokyo
Marco Sacco, EuroVR
Yoichi Ochiai, Univ. of Tsukuba

 

[Official Sponsor] Gumi Inc. http://www.gu3.co.jp/en

[Program Partner]

Super Human Sports Society http://superhuman-sports.org/

International collegiate Virtual Reality Contest (IVRC) http://ivrc.net/2016/en

ACM SIGGRAPH http://www.siggraph.org/

 

[Website] http://www.laval-virtual.org/

[Contact] revolution a laval-virtual.org

 

IVRC2016、最終審査にむけて、エールを送る

国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト「IVRC2016」ファイナルステージがいよいよ次の週末、日本科学未来館で開催されます。

http://ivrc.net/2016/


動画に字幕もつけさせていただきました。
明日からフランス人チームやLaval Virtualからゼネラルディレクターもやってきます。

来週の今頃には、総合優勝が決定しているはずです。

 

以下、審査員というよりはいち実行委員でもなく、VRエンタテイメントシステムを研究開発教育しているの先生のつぶやきと思ってください。

具体的な個々の作品へコメントは一切出てきませんが、下の方に大学3年生を使った体験前印象調査の結果は公表しております。

IVRCは誰が優勝するのか

IVRCの作品選考基準は「新技体」。新規性・技術・体験、です。

さらに優勝作品は「SIGGRAPHに持っていけるか?」という視点でも選ばれます。つまり、新技体、

  • 技術的にどんな新しさがあるか?
  • 体験として何が新しいか?

に加えて

  • それが英語で説明できるか?

という点が重要になります。

ストーリーは重要ではない?

作り手はストーリーを詰め込みたくなるかもしれませんが「国際的に伝わるかどうか?」の方が重要です。つまりストーリーは主眼に置かれません。言い換えれば、体験、ナラティブとしてはわかりやすく、ストーリーとしては先入観なく多文化で受け入れられるものである必要があります。余計なストーリーを追加することで、体験内容の評価が下がることはあっても、上がることはない、ということ。

まあこれは人によって意見は分かれるのかもしれませんので信じる必要はありませんが、「サマーレッスン」はそういう意味では良い資料で、ただ見ているだけだけど「とても近い!」というグラフィックスの力が光ります。中で起きるイベントは基本的には部屋を中心に起きることで、体験者は移動しません。全て同じループに戻ってきます。

一方ではサマーレッスンは海外では勘違いされまくっていて、発売すらできません。もちろんフランスでも無理だと思います。

しかし、発売前の体験者に向けて、明確に示されたストーリーは、ほとんどないのですよね。プロットや設計はあるのですけど。でも体験前の人はこれだけ勘違いをしてしまうのです。動画を見た人も。

VRってこわいですね。

 

VR作品が持つコンセプトと体験の乖離

「作品が持つコンセプト」と「実際の体験の乖離」には気を使ってください。
体験者から「これは〇〇なのだよね?」という感想を貰う前に、体験のベースになるような「シッカリとした感想」を抱けるように工夫した方が良いです。

ストーリーについて。もちろんSIGGRAPHでも「VR StoryLab」というセクションが生まれたりしているので、ストーリーを作りたい、そういう欲求があるのはわかります。でもその場でもRez Infiniteは評価高く、攻殻機動隊はあまりお客さんが付いていませんでした。前者は「思い描いた世界」を予想以上に体験できていましたが、後者は予想を上回る体験があったかというと「観て終わった感じ」があります。もちろんインタラクティビティが違いすぎますが、知名度の問題ではなく、アトラクティビティと提供している体験の乖離の問題ではないでしょうか。

作り切れ!話はそれからだ

いろんなメディアでものづくりしてきた側の視点ですが「作り切る!」という行為は大変骨が折れる作業です。一方で「作りきれなくてダメになった作品」は山ほど見てきました。

そういった意味では、初志貫徹して最初に自分で書いた企画書などのコンセプトを読み直してみたほうが良い作品になると思います。

情報デザインは引き算です。時には削ぎ落とす事も大事です。

体験したい審査員には「中身見せるモード」などで体験できるようにとっておけば良いのです。

ストーリーの作り込みをするよりもやるべきことはないか?

作品の外側も、よく見ましょう。中身の作り込みは、本当に作品がよいならテレビ番組やイベントなどに引っ張りだこになり、決勝後で嫌という程やる時間はあると思います。むしろ作品を良く引き立てるための外装や、中身部分の設計にの整理が必要な段階では。状態遷移図や絵コンテなどの設計図を残して、興味ありそうな審査員、プラチナスポンサー各位にクリアファイル等で見せると良いと思います。

フランス人審査員にも説明できますか?

研ぎましょう。

日本語しか通じない相手しか相手にしていないのでは海は超えていけません。
オペレーターの説明なく、一連の体験だけでコンセプト伝わるかどうか。
これが一番大事です。

大学3年生にアンケートしてみた

情報メディア学科3年生の講義「メディアアート」の課題をかねて、事前調査を行ってみました(毎年やっています)。

「体験してみたいかどうか?」というattractivityにおいて、上記のようなデータがでました。このデータをどう見るか?は各位にお任せします。中の人としては混雑予測にも使えますが、少なくとも決勝において「体験に並びたくない」という作品はないことは大事。

ついでに、1階のInnovative Technologies展示についても調査しました。

IVRCファイナルステージは天覧試合です。残っているだけで十分素晴らしい。
次の年にDCEXPOでぶっちぎり人気になるまで、「作り切り」ましょう!

白井もLaval Virtualブースで新作展示です。

DCEXPO2016にて新作展示発表(10/27-30)

Good luck!!

SIGGRAPHってなんですか?(4)「見て信じられる体験と、見て体験しても信じられない技術」

本原稿はMoguraVRでの連載記事「白井博士のVRおもしろ相談室」の再掲です。

SIGGRAPHってなんですか?(4)「見て信じられる体験と、見て体験しても信じられない技術」 ~白井博士のVRおもしろ相談室 9回~

複数回にわたり、アメリカ・アナハイムで開催されたコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議 ACM SIGGRAPH 2016 の情報をお送りしています。

前回、発展途上の先端技術を扱うセッション「エマージングテクノロジーズ」(Emerging Technologies;以下E-Tech)の展示を(1)巨大ロボット, (2)触覚, (3)AR/MR, (4)視覚工学, (5)知覚心理, (6)物理変換の6分類にして、前半を紹介しました。今回はその後半を紹介します。

 

(4)視覚工学

SIGGRAPHはCGとインタラクティブ技術の国際会議ではあるけれど、そのグラフィックスを表示する技術への挑戦もあり、常に新しいディスプレイに提案を見ることができます。ディスプレイ、特に視覚工学分野へのチャレンジとしては日本の「FOVE」による視線追従型HMD、そしてスタンフォード大学「Computational Focus-Tunable Near-Eye Display」は、視度補正をメカ制御で行うHMDを提案していました。

NVIDIAによる中心窩レンダリング

その中でもNVIDIAはSMI社の超高速視線追従型HMDと連携し、中心窩(ちゅうしんか; fovea centralis)の高解像度性を利用したレンダリング技術「Perceptually Based Foveated Virtual Reality」を展示し高く評価されました。

中心窩は周辺視野と異なり、高解像度です。このデモでは、注視点追跡機能を統合したレンダリング手法を開発し、Oculus DK2をベースとしたSMI社によるプロトタイプのHMDに実装し、周辺視野のみに低品質のグラフィックスを表示することで、見た目の劣化なく、計算コストの大幅な削減を実現しています。コントローラのトリガーを使い、自分の視線追従を固定することでその効果を確認できるのですが、解像度だけでなく、コントラストにおいても周辺視野では知覚上の色差を感じることが難しいことを体験できました。通常の数倍のレンダリングコストの節約、さらにポストエフェクトの処理などの応用を考えても、自己視点のVRならではの手法として今後の幅広い活用が期待できそうです。

 

(5)知覚心理

知覚心理学は人間の知覚のあり方を研究する一分野です。すでにE-Techでの視覚や触覚については紹介してきましたが、あえて「VRを用いたイリュージョン」として、不思議な感覚を味わえる2つの展示を紹介します。

FlyVIZ: パノラマ画像のまま歩く

フランス西部の大学連携研究所 ESIEA – INSA – Inriaによる「Enjoy 360° vision with the FlyVIZ」はGoPano+iPhone4S+Oculus DK1による、360度パノラマ映像のまま歩行可能にする超広視野視覚装置です。

ちゃんと歩けるのが面白い。ハイスペックPCを一切使っていないにもかかわらず、ディレイ少なく処理できる装置構成にも注目です。

Unlimited Corridor – VRで無限回廊を実現

東京大学 廣瀬研究室の「Unlimited Corridor: Redirected Walking Techniques Using Visuo-Haptic Interaction」はすでにMoguraVRでも紹介されていますが、巨大な8の字状の回廊をHMD装着で直線的に歩行したと知覚させることで、無限の歩行空間を実現する知覚心理応用技術です。

過去の研究において、VRによるリダイレクト歩行(redirected walking; RDW, 歩行の物理的な置き換え)、具体的には直線的に対して矛盾を検出させずに円弧で歩かせる場合には、少なくとも22メートルの半径を有する円弧にリダイレクトさせることが必要という研究がありましたが、この技術はマルチモダリティ、つまり「壁を触る」という視覚以外の知覚によって、より狭い空間で実現しています。ユーザがまっすぐ無限大の通路を歩き、また自由に分岐することができる動的歪み量変更可能なアルゴリズムを開発しており、複数のユーザーが同時に無限回廊を歩くことができます。

魔法のような歩行誘導

筑波大学 落合研究室の「Graphical Manipulation of Human’s Walking Direction with Visual Illusion(視覚的錯覚を用いた歩行方向の映像誘導)」は、HMD装着の歩行者を無意識に制御可能にする新しい手法です。「右へ曲がれ」のような意識下の指示情報を提示せず、設計者が意図した方向に体験者を歩かせることができます。

ビデオシースルーHMD越しに「A」「B」2つの目標が表示されており、体験者は「Bに向かうように指示される」のですが、結果的には「Aに必ずたどりつく」体験ができます。システムはカメラ映像に対し画像処理を行っており、ユーザの視界に対して視覚的な補正を与えています。仕掛けは簡単ですが、まるで魔法で操られているようです。

(6)物理変換

最後に「物理的な変換」もしくは「物理的に変換」を「物理変換」としてまとめてみました。前回紹介した巨大ロボット「Big Robot Mk.1A」も、物理的な変換に混ぜられるかもしれませんね。

断面画像を空中像で表現

東京大学 篠田・牧野研究室の「X-SectionScope: Cross-Section Projection in Light-Field Clone Image」は、空中に断面画像を重畳するリアルタイム3Dディスプレイを提案しました。空中像ディスプレイにより、X線画像のような物体の内部映像を、見ることができます。

一見、単純なデモではありますが、実は撮像系が興味深く、ライトフィールドクローン(LFC)の画像を再現するために、2つのマイクロミラーアレイプレート(MMAPs)を使用しています。空中像ディスプレイはアスカネット社のエアリアルイメージを使用しているようです。

光線空間ディスプレイを照明に使う

ソニーコンピュータサイエンス研究所による「AnyLight: An Integral Illumination Device」は、光線の方向を制御する3D表示技術である裸眼立体ディスプレイを、動的照明に応用したものといえます。

プロジェクターを使ってライトフィールドディスプレイを構成しています。フライアイレンズ、つまり昆虫の複眼のような形状のレンズは光硬化樹脂で作っているそうです。余計な光を通さないように、マスクをしています。動画では色を持った面光源のライトの方向と影の方向が変化していることがわかります。

LightAir: Droneを三脚にする

ロシアのスコルコボ工科大学の「LightAir: a Novel System for Tangible Communication With Quadcopters Using Foot Gestures and Projected Images」は、プロジェクターと画像認識のためのカメラをクワッドコプターに搭載したインタラクション技術を発表しました。

音と風圧は問題かもしれませんが、サッカー場などでは使えるかもしれない。

ディープラーニングで椅子が自在に動く

元東京大学 石川研究室、現・韓国KAISTに在籍するAlvaro Cassinelliらによる「Ratchair: Furniture That Learns to Move Itself With Vibration」はバイブレーターのみで椅子を自在に動かします。ディープラーニングで任意の方向に進むように学習させた結果と、スマートフォンを使って本当に前後左右に動きます(時間はかかりますが)。

浄瑠璃を一人で演じる

筑波大学 落合研究室は学部生を中心とした展示で「Yadori: Mask-Type User Interface for Manipulation of Puppets」も展示しており、人形浄瑠璃をKinectとHMDと一体化した口形状センシングと統合して実現し、パペットの視点から見た映像と、リアルタイムの演技を融合するデモも展示していました。

ちゃんと自分の視点が見えるのはすごいと思いましたが、カエルのパペットが喋っている時の視点ってものすごく揺れるので、酔うわけではないのですが、慣れは必要ですね。ゆるキャラ着ぐるみの操作には使えそう。

実物体回転による物性表現

東京大学 石川・渡辺研究室は例年、高速コンピュータビジョンに関わる研究を発表していましたが、今年は2件の全く毛色の違う、興味深い発表を行っていました。

ZoeMatrope: A System for Physical Material Design」は、自由な表面材質を作り出せるディスプレイです。あらかじめ複数の素材となる表面材質の異なる球体を高速ターンテーブルに準備し、高速プロジェクタDynaFlash (石川研究室による1,000fps・3ms遅延で8bit階調の映像を投影する高速プロジェクタ)の制御で任意の色や表面材質(輝き、粗さ、拡散反射)を表現します。事前に物質を選ぶためのアルゴリズムと、GUIによる任意変更が研究のポイントと思います。

もう一つのデモ、「Phyxel: Realistic Display Using Physical Objects With High-speed Spatially Pixelated Lighting」もターンテーブルを使用していますが、こちらは、毛糸や木材などより具体的な材料を用意し、高速プロジェクタによって任意の文字や形状などを表示できる、より表現力の高いデモ。双方ともシンプルなアイディアですが、大変強力な結果であり、応用の可能性も高そう。

以上でほぼすべてのE-Tech作品を紹介し終わりました!

優秀デモ作品への表彰

今年のE-Techでは新たな試みとして、公式のAward表彰を行いました。まず「Best E-Tech Award」として、スタンフォード大の顔すげ替え技術「Demo of Face2Face」を選定しました。ACM SIGGRAPHと提携関係にあるフランス・Laval Virtualは「Laval Virtual Award」としてロシアの「LightAir」とNVIDIAの「Perceptually Based Foveated Virtual Reality」を選出しました来年3月22〜26日に開催されるLaval Virtual ReVolution 2017「TransHumanism++」にて招聘展示の予定です。日本からはデジタルコンテンツ協会から「Digital Contents EXPO Award」が韓国KAIST「Ratchair」に送られました。表彰式の様子はPeriscopeで録画しておきましたのでご参照ください。

今年のE-Techにはなぜ日本人の展示が多いのか?

SIGGRAPH 2016は E-Tech チェアが日本のVR系研究者・稲見昌彦先生(東大)だったこともあり、協賛企業にNTT、NTTコミュニケーションズ、ドワンゴ、スマートニュースの日本企業が参加しており、日本からの投稿も多かったようです。採択された24件のうち、日本からの出展が3/4を占めていました。ただし、この種の国際審査ではよくあるコンフリクト回避(関係機関や利害関係がある場合は審査に関わらず退席する)を「真面目に行なった結果、こうなってしまった」(稲見先生談)ということで、国の属性が入っているわけではなく、世界から見た「日本の研究者の層の厚さと実力」と考えて良いと思います。

実際には日本からの投稿も大変多く、採択されるのは至難の技。イベントや共同研究などで日本の研究に触れやすい距離にいる日本のVR開発者は”恵まれている”と言えるかもしれませんね。

まとめ

見て信じられる体験と、見て体験しても信じられない技術

 

エマージングテクノロジーズ、つまり「発展途上の技術」というセッション名からもわかるように、まだ野とも山ともつかない技術です。見て信じられる技術もありますが、見ても体験しても信じられないような技術もあります。これらを直接見て、触れて、体験できるという価値は大変大きいです。しかも研究者に直接会うこともできます。

魔法のような体験や触覚のような知覚心理系の技術は、YouTube等の動画で見るよりも実際に見て触ってみるしかありません。会ってみることで、さらに使える技術なのか、ラボ内限定技術なのかがわかります。

日本国内では9月中旬に開催される日本VR学会大会と10月に開催されるデジタルコンテンツエキスポが最も良い機会ですが、それらの展示を生み出している研究者たちの年間スケジュールの中で最も大事な国際会議の一つが、SIGGRAPHです。一つの目標であり、世界への架け橋でもあります。

今回のSIGGRAPHでは、科学技術よりの技術デモをE-Tech、もう一つはコンテンツよりの作品や技術展示を集める VR Village がありました。この2つは従来はそれぞれ別の審査方式を採っており、別の投稿として提案する必要がありましたが、今回のSIGGRAPHでは「General Submission」としていったん一つの投稿として論文アブストラクト、ビデオ、展示フロアプランなどを提出した上で、さらに審査員側で「E-Tech向きか?VR Village向きか?」が検討されたようです。今回のVR Villageは従来のデモ展示に加え、HMDコンテンツ中心の StoryLab と プレゼンテーションの3部門が用意されていました。

次回はこれらのコンテンツに近い展示について、紹介したいと思います。

SIGGRAPH2016

白井博士(しらいはかせ)

1996年 東京工芸大学工学部写真工学科卒、1998年 東京工芸大学大学院工学研究科画像工学専攻修士課程修了。キヤノングループが開発した産業用ゲームエンジン「RenderWare」の日本事務所立ち上げを経て、2001年 東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士後期課程に復学。2003年博士 (工学)の学位を取得。2003~2004年に財団法人NHKエンジニアリングサービス・次世代コンテント研究室、2004年末にフランスに渡り、国立工芸大学(ENSAM/ParisTech)客員研究員。VRによる地域振興、国際VR作品公募展Laval Virtual ReVolutionを2006年より主催。2007年より帰国し、日本科学未来館科学コミュニケーターを経て、現在、神奈川県の大学でVRエンタテイメントシステムの開発者を育成しながらVR作家として活動。

<著書等>
「白井博士の未来のゲームデザイン -エンターテインメントシステムの科学」(単著)、「WiiRemoteプログラミング」(共著),日本科学未来館企画展 GameOn公式図録「ゲームってなんでおもしろい?」(インタビュー),「ゲームクリエイターが知るべき97のこと 2」(執筆協力)など。
blog: http://aki.shirai.as/ Twitter: @o_ob

株式会社gumiがIVRC2016&Laval Virtual ReVolution協賛企業に参加

スマホゲーム開発および、日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムを運営する株式会社gumiが、IVRC2016およびLaval Virtual ReVolution 2017にスポンサー企業として参加することが決定いたしました。
(★インキュベーション=孵化。起業支援。ポケモンGOにおける孵化装置のこと!)

國光さん、ありがとうございます!

IVRC学生の企画が世の中で話題になるだけでなく、それが産業になり、社会に根付くといった流れができるきっかけになると良いと思います。これはIVRC2001年のころからの悲願でした。

またVR作品デモの国際公募展「Laval Virtual ReVolution」へのスポンサードも大変意味があるものと考えます。

Laval市はフランス西部・ロワール地域にある人口12万人程の中規模都市ですが、フランス政府が推進する価値創出ブランド「French Tech」のAR/VRにおけるスタートアップ支援都市に名乗りを上げ、選出されています。毎年春に開催される「Laval Virtual」には15,000人を超える参加者が集まり、EON RealityやHaptionなど数多くの老舗VR関連企業やスタートアップ企業が本社をLavalに集結させています。

Laval VirtualはSIGGRAPHと並び、日本からの研究者が多く発表する場ですが、フランス・欧州における日本への注目は大きい一方、日本からの投資プレイヤーはほとんど知られていない状況です。今回の協賛参加が大きな架け橋となることを期待します。

なお、Laval Virtual ReVolutionはIVRCおよびACM SIGGRAPH Emering Technologiesとも提携関係があり、お互いの優秀作品を交換しています。

ReVolution 2017は「TransHumanism++」というテーマで作品を募集しており、超人スポーツ協会もプログラム協力として参加しています。

株式会社gumiは、このような国際的な舞台でのVR作品招聘交換、ひいてはそれに関わる学生さんや若いクリエーターの世界のステージでの展示支援を間接的に行っているということにもなります。

ここに感謝の意を表し、株式会社gumiの活動をご紹介させていただきます。

—-以下、IVRC参加者学生向け通達より—

IVRC 参加者の皆様,

IVRC協賛企業の一つ,株式会社gumi様からVRへの取り組みに関する紹介を頂きましたのでお送りします.

~~ここから~~

当社グループのVRへの取り組み

(1)社内でのVR事業の立ち上げ
-『ファントム オブ キル ―SHOUT ZERO VR―』と題して、2200年の荒廃したトウキョウに入り込み『ファントム オブ キル』の地上世界をバーチャルリアリティ(VR)で疑似体験できるイベントを「渋谷PARCO 公園通り広場」で開催
– VR技術で『ファントム オブ キル』の地上世界の中に入り込んだような感覚になれるバーチャルリアリティー体験をすることができる

(2)Tokyo VR Startupsの運営
– 日本初のVRに特化したインキュベーションプログラムを運営
– ゲーム業界及びエンターテイメント業界を代表する経営者がメンターに就任
– プログラム参加チームはTokyo VR Startupsより資金提供を受け、 6ヶ月間(2016年1.6月)のプログラムを通じて、VRプロダクト・サービスのプロトタイプ開発を行う
– 第1期プログラムでは5社が採択され、6月29日(水)にDemo Dayを実施

TVS第1期プログラム参加企業
1.(株)IcARus – セルフィードローン「ELFLY」
2.(株)桜花一門 -物理演算を活用したVRホラーゲーム 「Chain Man」
3.InstaVR(株) – VRコンテンツ配信ツール 「INSTA VR」
4.(株)ハシラス – 出張型VR遊園地
5.(株)よむネコ – VR脱出ゲーム 「エニグマスフィア.透明球の謎」

TVSメンター就任者(五十音順)
青柳 直樹 (グリー株式会社 取締役 執行役員常務)
秋山 貴彦 (株式会社4Dブレイン 代表取締役)
荒木 英士 (グリー株式会社 取締役 執行役員)
五反田 義治 (株式会社トライエース 代表取締役)
佐々木 瞬 (株式会社ヒストリア 代表取締役)
庄司 顕仁 (ディライトワークス株式会社 代表取締役)
ティパタット・チェーンナワーシン(The Venture Reality Fund パートナー)
橋本 和幸 (NVIDIA Japan シニアディレクター・エンタテインメント テクノロジー)
丸山 茂雄 (元 ソニー・コンピュータエンタテインメント 取締役会長)
山口 真 (株式会社フジテレビジョン コンテンツ事業局長)
和田 洋一 (元 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役)

– TVS第2期募集開始
TVS 公式サイト( http://tokyovrstartups.com )にて応募概要の告知とエントリーを行っておりますのでご確認下さい
・募集期間:2016年7月1日(金)〜 2016年7月29日(金)
・出資金額:プロダクト・サービスのプロトタイプの開発に対し、TVS から約500万円.1,000万円程度の出資を行う
・募集対象:VRに関する革新的なプロダクトやサービスのアイデア、ビジネスプランを持っており、その実現のための技術力を持つメンバー(3~5チームを対象とする予定)

(3)VR Fundの設立
– 2016年2月にベンチャーキャピタルファンド「VR FUND,L.P.」へ出資し当ファンドの共同事業者(GP)として参画
VRファンドの概要
– 名称: VR FUND, L.P.
– ファンド規模: 上限50百万米ドル ~ 80百万米ドル(予定)
– 投資地域、投資領域: 米国を中心としたVR/AR領域
– 共同事業者: Marco DeMiroz、Tipatat Chennavasin 、gumi America

Marco DeMiroz
Jaunt VRが2015年9月に行った65百万米ドルの調達を主導した実績を持つ。 また、PlayFirst、RacktivityのCEO、Gener al MagicのCFOの経験、その他幅広く取締役、アドバイザーとして活躍しており、VR/AR及びモバイルゲーム、ソーシャルメディアに対して豊富な経験、知見を有している。

Tipatat Chennavasin VR/AR思想、開発者のパイオニア。Rothenberg Venturesが運用する世界初のVR領域に 特化したアクセレレータープログラム「RIVER」の立ち上げに参画し、投資先の選定とメ ンタリングを統括。数々のVR関連のイベントのメンター及び審査員などを務めており、 VR/AR業界の第一人者として業界内での豊富なネットワーク、知見を有している。
共同事業者の概要

國光 宏尚
株式会社gumi の創業者及び代表取締役社長(2007年創業、2014年12月東証1部上場)
2004年に取締役としてコンテンツ制作会社の株式会社アットムービーに入社。映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当。

“世界から見た日本のVR”/日本VR学会 学会誌20周年 特集「世界のVR」寄稿より

1996年設立、会員数1000人を超える学術系NPO法人日本バーチャルリアリティ学会の会員向けに発行されている日本VR学会学会誌・20周年特集号「特集:世界のVR」において、「世界から見た日本のVR/日本VRの歴史・未来と世界の動向」という原稿の執筆を依頼されました。

一生懸命書いたのと、次の10年後(2026年!!?)に確認したい内容なので、個人Blog版として再掲許可(本誌の発行は2016/6/30)をいただきました。ご許諾いただいた矢野先生、清川先生、VR学会事務局さま、ありがとうございます!

さて、VR学会の会員だけが読める学会誌。学会誌だけでなく論文誌も価値があります。是非皆さんも、VR学会の会員になって下さいね(入会案内)!

年に一度、毎年9月開催の第21回大会(20周年記念大会)も期待です。今年は筑波大学での開催です。ちなみに白井は設立総会から参加していますが、筑波大学ってことは、例の巨大ロボットも見れるって事ですよね、これは泊まってでも行くべきでしょう。

さて、以下、「世界から見た日本のVR」Blog版本文です。

1.はじめに

このたび,日本VR学会20周年記念の特集において「世界から見た日本のVR」について執筆依頼をいただき,大変な光栄と認識しております.研究者が研究活動の一環として,世界の関連研究についての動向を調査したり,検証したりといった自己の研究の立ち位置を明確にする作業としての調査はよく行っていると思います.また学会誌やニュースレターでは,国際会議報告など「外から中へ」の情報も多くありますが,「海外の人々が日本のVRをどう見ているか?」といった調査はなかなか行われていないのが現状ではないでしょうか.これはもちろん日本に限らず,他国においても同様で,本特集のような機会がなければ,世界の中でどのような研究分野や研究者の特性を持っているか?どのような研究文化があるか?といった俯瞰視点でまとめる機会は多くありません.また多くの場合,執筆する研究者の主観から,いくつかの代表的な研究を紹介し,それを表現するという手法をとらざるを得ません.言い換えれば「代表的な研究とは何か」を抽出する時点で,ステレオタイプのようなフィルタや,強い研究グループの存在を無視して描写することは難しく,例えば各国における研究教育支援などの国家戦略や資金環境も大きく影響するでしょう.一方で,国際的な共同研究プロジェクトがあったとして,それをベースに個々の研究者グループのロールがすなわちその国の代表であると考えるのも難しいと思います.研究には多様性があり,多様性は研究の本質でもあります.日本のVRやその研究者が,どのように理解され,どのようなプレイヤーとしてのロールが期待されているのか?またそれを演じていくべきなのかどうか?を明らかにして整理することは,まさにVRにおける自己のリアリティの認識と実質の差異を調べ,モデル化し,レンダリングしていくような行為に似ていますが,一方では主観で評価していくしかない部分もあることをお許しください.

さて筆者個人の経験と主観では,この20年余,英国のゲームエンジン開発企業,日本の国立大学での博士復学,フランスでのVRエンタテイメントシステムの研究者,日本科学未来館での科学コミュニケーター,教育者,学生コンテスト実行委員会(国際化担当), フランスLaval Virtual [1]での公募デモ部門ReVolutionチェアといった様々な地域,様々な世界,様々な学生や企業,展示を通した人々の出会いなどを含めたVRに関わってきた仕事柄,本稿では研究分野だけに限らず,教育機関,ベンチャービジネス,ゲーム開発者,アーティスト,自動車等の産業,販売会社や製作会社,ジャーナリストや投資家,経営者,一般の方々など様々な人々に問いかけ続けてきた「世界から見た日本のVR」についてまとめてみました.

2.「VRの輪廻」と轍(わだち)の違い

From 3D to VR and further to Telexistence
図1:舘による「3DとVRの進化 (From 3D to VR and further to Telexistence)」予測年表

日本VR学会初代会長・舘先生によるICAT2013における予測[2]では,「3DとVRの進化」(Evolution of 3D and VR)として図1のような年表が世界のVR研究者にむけて発表されています(日本語での発表は2012年のVR学会の特別講演).年表から読み取れるように3DとVRは20〜30年のサイクルで輪廻しているようです.もちろん世界中のVRに長く関わる研究者開発者の多くはこのような歴史的な繰り返しに気付いているようです,日進月歩,秒進分歩でYouTubeやニュースサイト等で紹介される「新しいVR」に研究者は「車輪の再発明だ」,「こんなVRは20年前にやり尽くしている」と苦言を呈したくなる気持ちもわからないではありません.しかもその車輪のスピードはどんどん速くなっているようにも感じられます.これらの声は世界中のVR研究者・開発者から聞こえてきます.驚いたことに,そのような専門家だけでなく,一般の人からも聞こえてきます.興味深いのは,その車輪が作った轍(わだち)の捉え方が人々の専門性や立ち位置,地域によって異なる点です.また,どうやらこの車輪は一輪車では無さそうです.本稿ではその車輪と轍について4つの要素で整理して掘り下げてみます.

3.コンテンツの車輪

最初の車輪の名前は「コンテンツ」です.「エンタテイメントVRの車輪」と言い換えてもよいかもしれません.近年,携帯電話技術の転用を背景とするトラッキング統合型HMDの低価格化に加え,UnityをはじめとするゲームエンジンのVR利用の一般化が進むことで,VRそのものへの注目が集まっています.例えば日本科学未来館企画展においては「GameOn~ゲームってなんでおもしろい?」[3] が開催されて人気を博しています(図2).往年のゲーム機器の歴史と科学的視点が体験可能な状態で展開されていますが,そのポスターにおけるビジュアルと,最終ゾーンにおいて,PlayStation VR(以下PSVR)が体験可能な状態で展示され,幅広い人々に感動や気づきを与えています.この光景は,エンタテイメントVRと科学館,アカデミックと産業におけるVRの両側を行き来しつつ,何とか研究を継続してきた筆者としては「20年余にしてやっと歴史がつながった」,「世間がついてきたか」という気持ちになります.Game Onを訪問するとわかりますが,そもそもビデオゲーム黎明期におけるゲームシステムにおいて,ハードウェアとコンテンツは不可分で,それらが一体となって「新しい体験」を提供していました.家庭用コンシューマゲーム機,いわゆるテレビゲームがゲームをソフトコンテンツ化に成功したという歴史が明確にあります.そしていま,ゲームのさらなる体験,リアリティ,没入感への需要がゲーム市場をVRにつなげていると表現してもよいでしょう.

図2:日本科学未来館「Game On」(HPより)

「VRはエンタテイメントのためだけにあるのではありません!」とエンタテイメントVRを専門にしてきた筆者が主張するのもおかしな話ですが,この「VRの第2波」はエンタテイメントVRが起爆剤になっています.このような歴史的環境下で,数多くの老舗ゲームスタジオや,ソニーや任天堂といったゲームプラットフォーム2強を擁する日本のVRへの期待は大きく存在します.

お台場ダイバーシティ東京に2016年4月15日よりオープンしたバンダイナムコエンターテインメント社 によるVRエンターテインメント研究施設(という名の体験遊戯施設)「VR ZONE Project i Can」はその代表とも言ってよい存在で,5種類のHMD使用エンタテイメントVRコンテンツと1種類のHMD不使用ドライブシミュレータが体験できます.

図3:「アーガイルシフト」体験前の様子
図3:「アーガイルシフト」体験前の様子

期間限定・予約限定という”大変控えめなビジネスモデル”ではありますが,日本のVRコンテンツに対するステレオタイプを受け止めるには相応しい実験を数多く行っており,本当の意味での「研究施設」かもしれません.ロボットシューティング「アーガイルシフト」(図3)はVRシネマチックアトラクションと銘打っており,シューティングゲームとしてのフォトリアリスティック表現,自らが弾丸となる視点など,既存のガンダム等のコンテンツで培った経験に縛られることなく,新しくクオリティの高い表現を探求する一方,既存IPを生かすべく,キャラクターをアニメ調3Dセルシェーダーで表現するなど実験的な取り組みを行っています.

図4:「スキーロデオ」の筐体は過去作「アルペンレーサー」とエアベンチの融合で構成されている
図4:「スキーロデオ」の筐体は過去作「アルペンレーサー」とエアベンチの融合で構成されている

またお金をかけた機器だけでなく,スキー体験システム「スキーロデオ」(図4)は過去のアーケード用ゲーム「アルペンレーサー」のリノベーションで構成されています.高所恐怖SHOW」は高所恐怖症VRや実物体接触におけるリアリティをつかった実験で,クレッセント社が開発し,過去のIVR展でベース開発を行っていた製品デモの見事な産業応用事例です.ホラー作品「脱出病棟Ω」は小スペース複数名同時体験VRコンテンツで,懐中電灯というリアルタイムグラフィックスならではの技術を使いこなしているだけでなく,アーケード用通信対戦ゲームテクニックが応用されており,周囲の悲鳴や体験の順番に非常に細かい配慮が設計されています.また施設全体を通して使用できるHMD皮脂汚れ防止マスクや,混線しやすいHTC Viveライトボックスの配置など,アミューズメント施設ならではのノウハウが蓄積されており,世界的にも注目すべき施設といえます.

4.産学連携の車輪

コンテンツの車輪に続く2つ目の大きな車輪として「産学連携の車輪」が挙げられます.既に示した通り,VRの体験は単一のハードウェアによって語られるべきではなく,また究極のコンテンツが存在するわけでもありません.もし仮に「VRコンテンツ」が,固定のエンタテイメントVRプラットフォームにおける「ソフトコンテンツ」を意味するのであれば,そのプラットフォームの可能性と価格帯が確定した時点で,研究開発要素は限定的になってしまうかもしれません.

一方で「日本のVR」には,実際には数多くのVR研究室出身のエンタテイメント業界才能を世に送り出しているのをご存知でしょうか.先述のVRZONEしかり,PSVRしかり,VRコンテンツしかりで,長年ゲーム業界に関わるクリエイターこそが,実はVR研究室卒という背景も「日本のVR」の地盤と呼んでもよいのかもしれません.このような視点では「セガラリー」や「スペースチャンネル5」,「Rez」を生み出した水口哲也氏は,近年PSVR向けに「Rez Infinite」を開発しており,慶應KMDとの共同研究で共感覚スーツ「Synesthesia Suit」を発表しています.水口氏は過去にマイクロソフトKinectを使った新作「Child of eden」を世界に向けて発信しておりますが,大学の研究室と共同で,触覚を積極的に使った「HMDのその先」をうまく提示した「日本のVR」の好例ではないでしょうか.

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=5Sk5ThgnI2k[/youtube]

このような産業用VRエンタテイメントにおける産学連携は大変難しい要素があります.実はPSVRの開発の母体は日本にあるわけではなく,また,プロプライエタリな開発のパートナーとして,日本の大学が必ずしも向いているわけではありません.

しかし日本のVRもアカデミックにおいては世界の引けを取りません.1990年代後半には国家プロジェクトである重点領域研究(現在の文部科学省科研費「新学術研究領域」に相当する科学研究費補助金による大型研究プロジェクト)「人工現実感」が,日本VR学会の立ち上げにつながり,多くの才能が学術VR界で花開きました.特に大画面,没入,遠隔,触覚,インタラクション技術分野において,世界最大のCG・インタラクティブ技術の国際会議ACM SIGGRAPH の技術デモ部門において「日本のお家芸」と寡占状態になった時期もあり,現在もその勢力は衰えていません.過去に日本のVR研究者が受けてきた研究投資や知見,国際的な展示開発を通して育った学生たちという背景を考えると,日本のVRにおける産学連携はもっと行われてもよいはずで,それはもしかすると,20年という歳月を超えて,いま収穫期を迎えているのかもしれません.今後より多くの成果が世界に向けて発信されることを期待します.

5.人材育成の車輪

3つ目の車輪として,産学連携とは別に「人材育成の車輪」を海外からの視点で振り返ってみます.まず反省点として,「日本の就職環境とそれを支えるインターンシップ環境の少なさ」を挙げておきます.日本の新卒採用市場や慣習は,複雑多様でリスク管理可能な技術者を必要とするVRやベンチャーには向いていないのではないでしょうか? また海外からの人材についても同様で「経験者で日本語が話せる」ならともかく,「専門性を深めたい,チャレンジ精神がある若者」を試用する慣習や社会システムはほとんど整備されていません.

対する例として,私が長年関わってきたフランス中西部ロワール地方のLaval市は,中世の雰囲気漂う静かな地方都市で,日本人家族は自分を除いて全く存在しない知名度ですが,Laval
VirtualというVRをテーマにしたフェスティバルを毎年,20年以上にわたり開催しており,VRの世界では最も有名な都市になりつつあります.国際会議ACM VRIC,見本市,表彰式,学生コンテスト,公募展などが含まれるこのイベントは,最先端のVRに慣れ親しんだ市民には社会周知が行き届き(会場に来る地元の子供たちは物心ついた時からVRを知っている),特に国際デモ公募展ReVolutionは異文化である「日本のVR」の研究者にとっても非常に良いテストの場となっています.またフェスティバル以外にもLavalにはVRを中心とした都市計画があり,10年間で1000人規模の雇用を創出しています. VRに関わる産業や才能がParisだけでなく,ヨーロッパ中,世界中から集まってきています.

Laval市は,「VRの黒歴史」[6,7]でも大きく紹介された,日本の岐阜県における第三セクターによるVR研究開発をモデルとして失敗含めてよく学んでおり,中小企業のイノベーションによる活性化を中心に実績を積み,航空宇宙軍事を含む多くの産業分野においても成果を上げています.もちろん冬の時代もありましたが,エンタテイメントだけでなく,公共事業としてモンサンミッシェルをはじめとする世界遺産や古城修復や観光資源化,都市設計にVRプロジェクトによる可視化や体験化が雇用を支え,成果を上げています.

この環境において,産学連携と学生のインターンシップは大変重要な可能性を持ちます.フランスの学位制度はヨーロッパの国際基準になっていますが,職業系修士の大学院生は全員,国内外を問わず,関連企業もしくは大学研究室での長期インターンシップを卒業要件とされています.ここで学生たちは,企業での個々の案件における問題発見・問題解決を通して,研究者である先生方の機材や最先端の科学的アプローチ,方法論を産業の現場に組み込んでいきます.(そもそも「職業系修士」と「研究系修士」が分かれており,双方に互換性がないという点で学生の自覚が異なりますが)「失敗を恐れず小さなところからでもやってみよう」という教育的視点はVR産業の地盤沈下防止策として大変重要です.

企業から見ると,過去のVR機器への投資は一過性のものになりがちで,成果を上げるのは難しかったのですが,インターンシップを活用することで,正規雇用の職員がメンターとしてサポートし,期間限定の人件費のみで,外部に発表可能な成果が上がる,しかも育てた学生はほぼ確実に自分の企業に円満就職するキャリアパスを提供できるという利点があります.日本のお試し感覚のインターンシップとも違いますし,ハッカソンのような「やってみた(だけ)」の技術屋集めとも違います.やはり「高等教育でVRを学ぶ」となると,プロジェクトマネジメントや実際に存在するユーザー(このユーザーは単体に限らない)へのデプロイ,ユーザや関わる人々のハピネスに繋がるような設計や問題発見と解決手法,評価手法,効果測定を実際の産業で体験することが大変重要でしょう.これは日本大学の実験室や企業の開発室だけでは中々培えるものではありませんし,インターンシップはそれを補完する社会的仕組みとして機能しています.

このような人材育成事業をより進めた教育開発機関をグローバルで推進展開しているVR関連企業が EON Reality社(以下EON社)です.もともとVR機器開発・システムインテグレータだったEON社は,近年VR機器の販売に留まらず,IDCと呼ばれる高等教育インターンシップセンターを世界22ヶ国で展開しています.自社のエンジンと各社のVRデバイスを組み合わせたコンテンツ開発のトレーニングを受けた学生(社会人の出戻り学生も多い)が,世界各地のEON社のプロジェクトマネージャーのプロと共に,ローカル案件を解決し,そのソリューションを世界レベルで再展開していきます.技術やコンテンツだけでなく,アントレプレナー(起業家育成)にも熱心です.おそらくEON社としての収益は,過去はVR機器SIerでしたが現在は,創業者育成事業が中心になっているものと推測しますが,「VRで何かやってみたい!」という若者こそがVRの成長を支える原動力であり,その実現こそが機器や産業向けコンテンツを販売する起爆剤になるのでしょう.最近ではケーブルレスHMDを用いたスポーツチーム強化のための「EON Sports VR」社なども立ち上げています.この会社の若い社長はフットボール選手出身だそうで,最新の事例では野球もVR化しています.EON社はこのような「教科書では不可能な,ありとあらゆる経験をVR化する事業」を開発しています.開発事例やビジネスモデルを聞いてみると,工場の操業現場や眼科医といった専門職育成の現場において,対象となるエンドユーザーはすでにゲーム世代以降で「教科書を開いても寝てしまう.教科書だけで学べる若者などいないし,効率よく理解を測る実習体験無くては使い物にならない」というコンセプトで,インターンシップセンター「Interactive Digital Centres (IDC)」[8]を世界中に展開しています.EON Reality社チェアマンのDan Lejerskar氏は,「この20年において起きた出来事のうち,最初の18年に対して,ここ最近の2年はなんだ!忙しすぎる,早く人を育てないと人材が足りない!」といい,日本のVRに期待することを聞くと「内需の大きさ」と言い切っています.特に2020年のオリンピックを前に,企業パビリオン等のVRシステムやコンテンツを統合的にプロデュースできる人材分野において,深刻になってくると予想します.

さて,日本のVRに話を戻しましょう.フランスのインターンシップ制度やEON社のようなグローバルな人材育成における挑戦は日本のVRにはないのでしょうか?もちろんあります!世界最長の歴史をもつ人口現実感の国際会議「ICAT」の一部として始まった「国際学生対抗VRコンテスト(IVRC)」[9] は23年以上継続し,現在も多くの才能を研究者,メーカー,ゲームプラットフォーム,ミドルウェア,makersなどに人材を輩出しています.

図5:国際学生VRコンテストIVRC2015
図5:国際学生VRコンテストIVRC2015

IVRCはもともと「21世紀的教育システム」として国際的に設計されており,フランス Laval Virtual との提携も2004年から行っています.お互いの優秀作品を日仏で招聘し,毎年春のLaval Virtual(フランス),秋に日本科学未来館で開催されているデジタルコンテンツエキスポにおいて,一般向けに無償展示しています.この活動は「IVRC日仏交流の歩み」というYouTubeビデオ[10]にまとめられておりますが,この10余年で日仏をVRで往復した学生は100人を超えます.
この体験をきっかけに,日本で活躍するフランス人VR技術者も数多く輩出していますが,一方で,日本から直接フランスのVR界で活躍する若者はそれほど多くありません.しかしこの架け橋は学生の引率で参加する双方の国の先生方によって確実に強くなっており,数多くの大学間提携の実現や,インターンシップの強化につながっているようです.IVRC2015のユース部門に参加した立教池袋中学高校の高校1年生がLaval Virtual
2016の学生コンテストに参加するという挑戦も起きています.IVRCの提携先もフランスだけでなく,過去には米国カーネギーメロン大学ETC(Entertainment Technology Center),IVRC2015からは中東Omanからの参加も達成しています.

[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=kIGCI1N-OVk[/youtube]

このような若い学生たちの無垢な挑戦も,「日本のVR」の一端を支えていることは間違いありません.一方で,このような「夢の国・日本」を夢見て日本へのインターンシップを希望する才能も多く存在します.彼らは,日本の社会システムがトラディショナルであることを知っていますが,このがっかりするほどの厳格さは海外でも有名です.それ以上に「日本のVR」が魅力であることを我々日本人は再認識する必要があると思います.そして,日本の若い学生に,英語や日本語といった言葉の壁に負けずに,どんどん世界に発信するべく,IVRCやLaval Virtual の国際デモ公募展ReVolutionで腕試しをしてほしいと思います.

6.日本は世界のテストマーケット

ここまで「日本のVR」の輪廻とその轍を振り返るべく,コンテンツ,産学連携,人材育成という3つの車輪で掘り下げてみました.最後に4つ目の車輪として「日本は世界のテストマーケット」という要素を挙げておきます.この要素は筆者自身では気が付いていなかった要素で,本稿をまとめるにあたりFacebook group「VR Research」というグループ [11] において,「海外から見た日本のVR」についてのご意見募集を行い,フランスのSimon Richir先生より寄せられたものです.

「日本が世界のテストマーケット」というキーワードは,携帯電話市場においてよく言われていた「日本では知られていないが海外では有名な話」だと思います.日本国内では,多様性に向かっていた携帯電話市場を「ガラパゴス」と揶揄していましたが,デファクトスタンダードを確立する国際戦争のなかで,欧州市場や一般の人々は「日本はとかく米国しか見ていない」,「先進的すぎるものは日本で試される」,「充分に試された後で,韓国と台湾メーカーが適正な価格で欧州に投入する」といった見解が広がっていました.

VRにおいても同じようなことがあるね,世界的なモノづくりの場において日本に期待しているのはUX(ユーザエクスペリエンス)である,と指摘されました.日本人からすると特に「文化や言語的な壁」を大きく感じてしまうのですが,実は文化や言語的な壁という障壁はYouTubeビデオのようなネットワーク動画によって緩和されています.Laval VirtualやSIGGRAPH,SXSWで日本人のデモが人気な背景はまさに,この「日本人はUX先進国」としての期待が背景にあるようです.
なお補足しておきますが,「日本のゲーム・アニメ文化が直接ウケている」という話ではありません.2次元キャラに興味があるかどうかではなく,「空想上のキャラクターとインタラクションするということの意味」や「SF以上の体験」を具現化させるあたりに衝撃があるようです.もちろん,日本は多様なマンガ,アニメ,SF,ゲームなどのクリエイションの源であり,それを味わっている日本人を対象に,驚くべきイノベーションを起こさなければ注目もされない,という過酷な環境であることは否定しようもありません.

6.結論:「Big in Japan」は継続調査による

以上のとおり,4つの車輪で「日本のVR」と今後の方向性を占ってみました.日本に来たことがある海外VR関係者は他にも,お台場と秋葉原の力,産業との乖離,触覚VRの応用や,最近の話題として「超人スポーツ」のような取り組みも挙げていますが,「これは継続調査すべき話題だね,学生の調査課題に最適」という意見が印象的でした.このフラットなグローバル世界において,超人スポーツに限らず似た着眼,取り組みは日本だけでなく各国でも同時多発的に起きています.このような環境において,「日本は世界のテスティングマーケットである」という視点は大変重要で,科学技術の研究だけにとどまらず,動画の発信やワークショップ,実演を通して,この日本の研究成果を社会に訴えかけていく活動・努力はより多く期待されています.

なおアメリカの音楽業界や文芸業界では「Big In Japan」という言葉が話題になっているそうです,つまり「日本でしか有名でない」が,その後全米・全世界で有名になった事例がそこそこ多いとか.VRやUXの研究もそのような環境である可能性は大いにありえます.しかしBig in Japanを証明するには,この「世界から見た日本のVR」を継続調査しなければ,証明しようもありません.30周年でのレポートを期待したいと思います.

(2016/4/25寄稿, 2016/6/30出版)

参考文献
[1]Laval Virtual, http://www.laval-virtual.org/
[2]Susumu Tachi: From 3D to VR and further to Telexistence, Proceedings of the 23rd International Conference on Artificial Reality and Telexistence (ICAT), Tokyo, Japan, pp.1-10 (2013.12)
[3]GameOn~ゲームってなんでおもしろい?, http://www.fujitv.co.jp/events/gameon/
[4]VR ZONE Project i Can, https://project-ican.com/
[5]Rez Infinite(関連記事,動画), http://japanese.engadget.com/2015/12/07/rez-ps-vr-rez-infinite-3d-60fps-120fps/
[6]VRブーム再び、歴史は繰り返すか?「VR黒歴史」から展望するこれからのVR,
http://www.huffingtonpost.jp/katsue-nagakura/virtual-reality_b_8128690.html
[7]日本のVRの黒歴史【2015版】, http://togetter.com/li/872144
[8]EON Reality IDC, http://www.eonreality.com/interactive-digital-centers/
[9]国際学生対抗VRコンテスト(IVRC),  http://ivrc.net/
[10]IVRC日仏交流の歩み, https://www.youtube.com/watch?v=kIGCI1N-OVk
[11]VR Research (Facebook Group), https://www.facebook.com/groups/vr.res/

【略歴】白井 暁彦 (SHIRAI Akihiko, Ph.D)

1996年 キヤノン(株)入社,キヤノングループの英国ゲームエンジン開発企業Criterionを経て,2001年 東京工業大学総合理工学研究科博士後期課程に復学,2004年に『床面提示型触覚エンタテイメントシステムの提案と開発』で博士(工学)取得.(財)NHK‐ES,フランスLavalでのVRによる地域振興,日本科学未来館科学コミュニケーターを経て,2010年より神奈川工科大学情報学部情報メディア学科准教授.専門はVRエンタテイメントシステム,メディアアートの工学教育.フランスで18年開催されている世界最大のVRフェスティバル「Laval Virtual」の国際デモ部門ReVolutionのチェアマン.24年続く国際学生対抗VRコンテスト「IVRC」の実行委員・審査員.著書に『WiiRemoteプログラミング』,『白井博士の未来のゲームデザイン ―エンターテインメントシステムの科学―』など.

SIGGRAPH ASIA 2015 Kobe 最終日まとめ! #SIGGRAPH15Kobe

最終日は、日本を代表するアニメーションにおける第一人者の会社が集まる最終日を飾るにふさわしいセッションが午後13時から3時間に渡って行われます。

CG in Anime「アニメにおけるCG」

Thursday, 05 November
13:00 – 16:00
Kobe Int’l Exhibition Hall No. 2 Meeting Room 3A, Level 3

http://sa2015.siggraph.org/jp/attendees/computer-animation-festival.html?view=session&type=caf_panels_talks&sessionid=195

AnimationではなくAnimeです。出演者が豪華です。

ポリゴンピクチャーズ Daisuke Miyagawa, Polygon Pictures Inc.
サンジゲン Hiroaki Matsuura, SANZIGEN Inc.
グラフィニカ Hiroki Yoshioka, Graphinica, Inc.
神風動画 Junpei Mizusaki, Kamikazedouga Co., Ltd.
東映アニメーション Koichi Noguchi, Toei Animation
東京工科大学 Koji Mikami, Tokyo University of Technology
神風動画 Kumi Shimizu, Kamikazedouga Co., Ltd.
白組 Ryuichi Yagi , SHIROGUMI INC.
デジタルフロンティア Ryo Horibe, Digital Frontier Inc.
デジタルフロンティア Yusaku Toyoshima, Digital Frontier Inc.

デモ展示系も16時ごろには撤収が始まりますので、急いだほうがよいです!

【これまでのまとめ】


さて以下、SIGGRAPH終了後の加筆です。