SIGGRAPH & SIGGRAPH ASIA 2015 神戸 見学ガイド(非公式版)

☆本稿,いろいろ書き足していくと思います☆

■まとめページ開設(まずはこちらへ): http://aki.shirai.as/sa2015/
■日本語Facebook: https://www.facebook.com/SA2015Kobe

地元での応援も本格的に始まっているようです!
https://www.facebook.com/hyogo.sangyo
早期割引は10月2日まで!その後は10月23日までが通常価格(当日より安い)です。
http://sa2015.siggraph.org/jp/registration-travel/registration-categories-fees.html


 

CEDEC2015が近くなってきました!
ここ数年,毎年発表者として参加させていただいておりました&賞などもいただいておりましたCEDECですが,残念ながら今年は私事都合でお休みさせていただきます.
その代り,イキのいい3年生をレポーターとして送り込みますので,うちの学生を見かけたら是非いろいろ対話&体験させてあげてくださいね.

関連して,ゲーム関連企業の方から「SIGGRAPH ASIA 2015(神戸)ってどうなの?」という相談をされることが増えてきました.夏のSIGGRAPHももうすぐ開催ですしね.
というか自分,「若手プログラムリエゾン」というお役目をいただいているのでした!
(もうちょっと働かねばと思うのですが,まずはこういった非公式版ガイドを書くのも大事な仕事とと思います)

まずは宿確保しましょう

まずSIGGRAPH ASIAは世界最大のコンピュータグラフィックス&インタラクティブ技術の国際会議SIGGRAPHのアジア版(以下SA)です.
毎年,シンガポールを中心に(偶数年)アジア各地(奇数年)で開催されていますが,6年ぶりに日本で開催です.前回は港町・横浜で開催されましたが,今回も港町・神戸が開催地に手を挙げてくださったそうで,神戸開催となりました.

【シーグラフアジア2015カンファレンス&展示会 会場】
シーグラフアジア2015は2015年11月2日から5日まで神戸国際会議場・国際展示場にて開催されます。
〒650-0046 兵庫県神戸市中央区港島中町6-9-1
神戸国際会議場・神戸国際展示場

そういえば,横浜でのCEDEC開催はまさにこのSIGGRAPH ASIA 2009がきっかけになったものと推察します.CGやアニメーションで経済を刺激しようという横浜市の思惑,東京電車エリアに大型カンファレンス会場がない,という開催側の需要にうまくマッチした形です.

■SIGGRAPH ASIA 過去の動員実績

2014年 – 深圳(中国)︓来場者5,968、出展者45社
2013年 – 香港(中国)︓来場者6,078、出展者96社
2012年 – シンガポール︓来場者7,000、出展者130社
2011年 – 香港(中国)︓来場者7,734、出展者122社
2010年 – ソウル(韓国)︓来場者9,000、出展者102社
2009年 – 横浜(日本)︓来場者6,424、出展者71社
2008年 – シンガポール︓来場者3,389、出展者81社

■製品やサービスを売るだけではなく地元の若い人々との接点を作る場所

上記の表を見ると,韓国の動員が大きいですが,地元の中高生へのアプローチがあったためと記憶しております.当時のつぶやきから.

yfrogのおかげで写真が残っていないのは残念ですが,制服の地元中高生がSIGGRAPHのExhibition会場を埋め尽くす様子はインパクトがあり,本分野への未来への投資を感じました.

日本は前回の6000人台を超えられるかどうか?に注目が集まると思います.関西のCG,グラフィックデザイン系の専門学校や人材系の企業ブースが増えることが大事ではないでしょうか?

 

さて国際会議で行く神戸はこんな土地です.
・京阪奈からアクセスよし
・ホテルはキャパ少なく取りづらい,時期によってはUSJのおかげで本当にとれない.
・ゆえに宿高い
・新神戸駅はアクセス最高というわけではない
・頑張れば東京圏日帰りも不可能ではない
・医工学関係の研究や産業,カンファレンス強し
・温泉有り,ビーフ有り!
間違ってたらごめんなさい.ご指摘いただければ補強します.

まずは宿確保しましょう

というわけで,自費だろうが社用だろうが,参加する予定がある人は,今すぐ宿予約したほうがいいと思います.
実施会社であるケルンメッセさん&近畿日本ツーリストさんのご配慮で,ホテル予約プログラムが走り始めました.まずはこちらをどうぞ.
http://www.ec-knt.jp/SIGGRAPH/ja/index.html
見たところ,Hotels.comよりは安くて数が多いと思います!少なくとも暴利ではない良心的価格.

何を見るべきか?

とあるゲーム開発会社の中間管理職の方から「うちの若い衆,英語全然ダメなんだけど,SA神戸って見に行って何か役に立つの?」質問をいただきました.

YesかNoでいえばYesだと思います.
7月末時点,SA神戸すべてのプログラムが公開されていませんので,夏のSIGGRAPHを使って説明します.
まずは夏のSIGGRAPHの開催イベント一覧…英語ですねすみません.
アップデートとしてはBlogのほうが見て面白い,わかりやすいと思います.

もっとわかりやすい資料としてはYouTubeのSIGGRAPHチャンネルがあります.
https://www.youtube.com/user/ACMSIGGRAPH

SIGGRAPH 2015 – Computer Animation Festival Trailer

SIGGRAPHの歴史の中でも一番魅力的な,ショートフィルムのフェスティバル(Computer Animation Festival: CAF)です.CAFだけの小部屋上映会がありそれだけにアクセスできるチケットあります.アート系の人は必須必見ですが,技術系の人はElectric Theaterがその傑作選で2時間ぐらいで一気に見れますのでそちらでもよいかもしれない.いずれにせよ公開前・公開直後の映像やメイキングが一気に見れるのが価値有ります.DVD(USB)には商業映像は収録されないことが多いです.いわゆる商用Blurayパッケージのボーナストラックになるような映像だからでしょうか.

SIGGRAPH 2015 Dailies Trailer

日々面白いものを紹介するセッションです.論文にはなりづらい,商業系映像・小規模製作のメイキングが多いです.

SIGGRAPH 2015 – Real Time Live! Trailer

ここ3年ぐらいではじまったリアルタイム自慢大会です.ゲーム関連&大学の研究のリアルタイムデモを含めたプレゼンショーで,大ホールでやります.プリレンダー系の技術が多い中,リアルタイム・ゲーム関連の人は必見です.私と西川善司さんが最前列にいることが多いでしょう(笑).

SIGGRAPH 2015 – Emerging Technologies Trailer

通称,E-Tech.白井が20年ぐらいにかけて中心的に参加してきた分野はこちらですね.VRやインタラクティブ技術などの革新的な技術をデモするゾーンです.デモだからと言って甘くはないです,これはここに来ないと体験できない.論文と並んで,世界の頂点の一つです.フランスLaval Virtualとの交換作品もあり,日本のVRの研究者の活躍も目覚ましく,国際VRコンテストIVRCからも今年は2件採択されていますが,MicrosoftやDisney Research,NVIDIAなどの最新技術,技術者と直接接する機会があるのも重要と思います.

SIGGRAPH 2015 – Technical Papers Trailer

SIGGRAPHの中でも頂点オブ頂点になるのが,この技術論文(Technical Papers)の関連セッションです.全部で100件近い採択がありますが大変興味深い,一方で前提知識なしでは大変キツイ.
そのため,初日夜にTechnical Papers Fast Forward(PFF)という「1件30秒」というフラッシュプレゼン大会があり,これがまた面白わかりやすいです.
OpenGLの安藤さんが毎年日本語解説をまとめられておりますので必見です.
http://www.andoh.org/2014/08/siggraph-2014-papers-fast-forward-day1.html
また,会期前半にはCoursesという,前提知識理解のための予習復習セッションがありますので,部下に「この分野について調べてこい!」というのであれば大変役に立ちます.

そういうわけで,「見てわかる」という意味ではどんな言語レベルの人も価値はあると思います!
以下,まとめますと

英語全然ダメっすというひとでも大丈夫そうなプログラム
Art Gallery, Emerging Technologies, Exhibition,
Awards Presentation,
Computer Animation Festival-Daytime Selects,
Computer Animation Festival-Electronic Theater,
Dailies, Exhibits Fast Forward, International Center,
Real-Time Live!, Studio, Technical Papers Fast Forward

専門の分野であれば何とかスライド読める人向け
Courses, Exhibitor Tech Talks, Keynote Session,
Production Sessions, Talks,

かなり専門家向け
Technical Papers (分野による), Art Papers(発表による), Panels(話題による), Making @ SIGGRAPH 2015

熱意があれば無駄にならない、日本語OKな交流系
Birds of a Feather, Posters, Reception
CV用意してくる、就職市場が何を求めているのか知る
Job Fair
→フリーランスで仕事探している人,映像系アーティストなどは絶対準備していったほうがいい!

■ SIGGRAPH(米国)におけるJob FairのポータルであるCreative Heads
CANONやSEGAなど日本企業に加えて海外の研究系企業のロゴも見えます.そして値段は4000USD~.日本は求人サービスあるんだろうか?

そのほか,毎年,中嶋正之先生と共著で執筆している「SIGGRAPH見聞記」がお役に立てると思います(映像情報メディア学会誌).CiNiiにいくとPPVで買えますね.
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009892012

どの参加カテゴリーで登録

SIGGRAPH,SAには複数の参加カテゴリがあります.
どのRegistration classにするべきかはご予算次第で,個人でお金に糸目がないなら「迷ったらフルカンファレンスでいいんじゃね?」ということでいいと思いますが,日程や予算に限りがある人は選んでもいいと思います.

SA神戸の登録カテゴリと価格が公開されていますので紹介しておきます.時間があったら解説もしてみたいと思います.
http://sa2015.siggraph.org/jp/registration-travel/registration-categories-fees.html

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個人で,本当にお金がないんです,という人でも1000円から参加できます.必見のシアターを加えても5000円です.シアターはダイジェストですが,見れる本数と内容から考えると,映画たくさん見るより安い.これは行かないほうが損というものですよ!

 

なんと展示会のみのチケットでもCAF(アニメーションフェスティバル)とExhibitionと基調講演にアクセスできてしまうという大盤振る舞い.Postersもたくさん人が来る可能性があって発表者にも利益ありますね.
なんと展示会のみのチケットでもCAF(アニメーションフェスティバル)とExhibitionと基調講演にアクセスできてしまうという大盤振る舞い.Postersもたくさん人が来る可能性があって発表者にも利益ありますね.

 

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なんと団体割引もあるんですねえ

 

 

上司の上司のための説明資料としては「Reason to Attend」という資料がありますので,英語読解力のチェックのために翻訳させるといいと思います.これが翻訳できないとなると本当にビジュアルしか見れないことに…それでも価値はあると思います.

 

忘れちゃいけないExhibition

Exhibitionとは企業展示・機器展示です.
見学側としては「機種選定,決定権がある」もしくは「推薦する立場」の人は是非見に行ったほうがよいと思います.
またCG関連企業の経営者さんは,社員旅行だと思って大挙してExhibitionに出場するのがよいと思います.そういうフェスティバルなんですよSIGGRAPHは.
「うちの会社は日本市場しか見てないよ!」という企業さんも参加してみる価値はあると思います.東アジアのコンペチターは日本語をよく勉強していますし,日本市場を狙っていますので,そこにぽっかり穴をあけるのはよくないです.
逆に「アジアのCG業界で一目置かれたい!」という企業や大学等研究機関にとっては,これはめったにないチャンスです.
CEATECやInterBee,IVR展のような客層と少し違う,しかし出展費用はそこまで高くない.
早く判断して宿代を安く済ませることができれば,もしくは関西近郊であれば,なおさらだと思います.

ちなみに白井研究室はExhibitionにも参加します!富士通SSL社と並んでブースを出しますよ!

こんな折,実行委員長の北村先生からメッセージをいただきました.

SA15プログラムにはいずれもそこそこの数の投稿があり,レベルの高いプログラムが組めそうな状況が見えてきております.皆様のご尽力に感謝いたします.

一方では,Exhibitionの盛り上がりはあまり伸びがないように聞こえてきます.
Exhibitionはその国/地域のCG産業の盛り上がりを感じるのにもっともわかりやすい場だと思います.
たとえば,

・映像関連(オリンピックに向けて仕事がほしい/人がほしい)
・電機メーカー(VR関連の新規事業,コンシューマエレクトロニクスなどでのアジア圏でのプレゼンス)
・ゲーム関連企業(人がほしい!/知名度あげたい/ファンサービス)
・IT関連企業(社員活性化,異文化を体験)
・ベンチャー企業(知名度向上,アジアでのパートナー掘り起し)
・学校(高専,専門学校,大学等)/研究所(社会周知,発信)
・自治体(LavalのようなVRで町おこしをうちの自治体でもやりたい!)
などなど,大きなチャンスだと思います!

実はExhibition参加は大穴かもしれない

ケルンメッセさんから以下のような情報が届きましたので紹介します.
—-
★★★ 出展者&スポンサー募集中 ★★★

最終出展申込締切:2015年7月31日(金) お急ぎ下さい!

◇ シーグラフアジア史上最大規模での開催!
◇ 国内出展でありながら海外への情報発信も強力にサポート!
◇ 50超の国と地域から来訪する7,000人以上の業界関係者とダイレクトに商談!
◇ これまでの関係強化はもちろん、新規ビジネス構築には欠かせない基盤!

スタートアップ・ベンチャー企業様向けのプランもご用意しております。
詳細は事務局までお問合せ下さい。

最終出展申込締切:2015年7月31日(金)まで お急ぎ下さい!

ご出展・スポンサーシップに関するお問い合わせ
http://a01.hm-f.jp/cc.php?t=M260918&c=6287&d=4cd0

★★★ 助成金を活用してシーグラフアジアに出展! ★★★

J-LOP+(ジェイロッププラス)  ⇒ http://plus.j-lop.jp/

平成26年度補正予算による助成金制度、J-LOP+(ジェイロッププラス)。
海外展開に必要な「映像素材等のローカライズやプロモーション」を行う事業者に対しての助成金制度。
お申込の条件、要件、対象費用、手続のルール等はJ-LOP+へお問合せ下さい。

経産省が応援するクールジャパンからの流れですね.

J-LOP+は、平成26年度補正予算による「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業費補助金」を活用し、海外展開に必要な「映像素材等のローカライズやプロモーション」をおこなう事業者に対し、補助金を交付することにより、日本のコンテンツの海外展開を支援し、「日本ブーム創出」にともなう「関連産業の海外展開の拡大」や「訪日観光等の促進」による地域経済活性化につなげることを目的としています。
J-LOP+は、平成26年度補正予算による「地域経済活性化に資する放送コンテンツ等海外展開支援事業費補助金」を活用し、海外展開に必要な「映像素材等のローカライズやプロモーション」をおこなう事業者に対し、補助金を交付することにより、日本のコンテンツの海外展開を支援し、「日本ブーム創出」にともなう「関連産業の海外展開の拡大」や「訪日観光等の促進」による地域経済活性化につなげることを目的としています。

ちなみにJ-LOPは鳥取県 とっとりマンガ王国と「Manga Generator」のコラボレーションによるワールドツアーでもお世話になっております.
SIGGRAPH ASIA 2015神戸に会社丸ごとで出展するナイスな助成金ではないでしょうか.

公式資料から紹介

ご厚意で,ケルンメッセさんから出展者(Exhibitor)向けの資料をいただきましたので共有します.

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来場者見込6400名です!

 

来場者の属性
アニメーション関係が多いとのことですが,学生がメインの参加層であることは見逃せません.

 

来場者の購買決定権保有者および関心
来場者の購買決定権保有者および関心

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出展タイプと出展参加料金
米国SIGGRAPHに4000USD出すよりは,渡航費やその後のフォローも考えるとかなり安いんじゃないでしょうか?日本に来たい海外の才能を発掘するという上でも,日本のとんがった才能を発掘するという上でも.

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米国SIGGRAPHに4000USD出すよりは,渡航費やその後のフォローも考えるとかなり安いんじゃないでしょうか?日本に来たい海外の才能を発掘するという上でも,日本のとんがった才能を発掘するという上でも.

まとめ・フィードバック募集

以上,査読や執筆で超忙しい中,駆け足でまとめてみましたが,関連情報などあればまた加筆したいと思います.

質問などありましたらTwitter(@o_ob)等でどうぞ!

特に「上司にこういう質問された,こういう情報ほしい!」など歓迎です.

中学高校高専,専門学校,大学等の学校団体で見学されるかた,こちらも歓迎!

直接ケルンメッセさんにお問い合わせください,その際ご一報いただいて,ケルンメッセさんにも「白井先生のBlog見ました」と言っていただけるとよいフィードバックになると思います.
☆白井はケルンメッセが儲かってもあまりいいことはありませんが,中高生も含めた若手の参加が期待できるためにはSA神戸&SIGGARPH自体が盛り上がってほしい,その想いで筆を執っております☆
See you in KOBE!!

 

 

2016卒就活戦線は泥沼の様相-「育てる視点」がキーワードかも?

2016卒就活戦線が泥沼化している。

ことIT関連の採用担当者が「採れない…」と溜息をつく一方、学生の方は相変わらず「内定デナイ…」と言っている。

実は、学生側の溜息は例年とあまり変わることがない。なんだかんだと言っても、指導もしっかり行き届いて、卒研のテーマも決まり、戦略もって幅広く受けている学生であれば、7月も中旬になると、多くの学生が内定ゲットし始める。教員はここで教員ならではの「今年の就活戦線のフロントライン」を感じることができる。

今年の就活戦線の特徴において、学生側の特徴といえば「自己評価が低めの学生が多い」ように思う。この年代の学生に就活開始頃「どんなキャリアを歩みたいか?」という質問をすると、夢は見ない、非常に無難で堅実なアウトプットが出てくる。大震災の年に入学した2015年3月卒就活戦線は「入学式のお流れ」から大学生活が始まっており、今から思えばサバイバル精神に溢れた学生が多かったように思う。それに比べ、進路である大学の学科選択には比較的慎重になったペルソナが多い年でもある。

ただでさえ、「生まれてからこの方、日本が右下がりに縮小する世界しか見たことがない」という近年の学生が、「大きく挑戦」するよりも「無難で堅実な選択肢」を選んだ割に、就職活動の段になって「アベノミクスでV字回復」なのである。自己評価や自己効力感(自分の人生に自分の努力がどれだけ寄与できるか)は低くても、仕方ない。

もちろん、そんな就活戦線でもシッカリ内定ゲットしてくる実力ある学生はいる。その合格ラインとスペックと割合を見れば、どんな戦線なのかはだいたい見えてくる。
(あくまで自分の周囲や他大学、自分のTwitterTL等での観測なので、統計ではないが、数百人規模の状況 x 数十社の採用試験 x 毎年の事なのでデータを見た感覚と結果とはゆるい相関がある)

この時期内定ゲットしている人の特徴
・わかりやすい
・自助努力タイプ
・爽やか/美形
・運動部/体育会系/スポーツ系サークル

こんな感じのペルソナで「実際に行きそうな会社」から若干スペック落としたところを業種広く満遍なく受けている学生が結果を出しており、合格率はだいたい10人に1-2名といったところ。

ここには、就職協定を守っている8月1日以降の大手企業の”結果待ち戦線”は含まれていない。一部の学生が夢見ているような「8月1-3日に大手企業から新規の説明会情報が出るかもしれない」という観測は「妄想」にしか過ぎず、ほとんどの大手企業が会社説明会の形で予備審査を済ませているというのが現状かもしれない。

実際、今年の学生のスペックは上記のマインドを除いてあまり変わらず「ノンビリ」である。大震災以降…いや以前から、生まれてからこの方、エコロジーモードで動いてきたので、何があっても「ノンビリ」なのだから変わらないだろう。オジサンたちがそれに血圧を上げるどうかだけの事である。

視線を学生から企業に向けると、戦線の形成から状況が見えてくる。
まずは採用担当者が早めに方針転換して「和平交渉」と「ゲリラ戦略」を採った企業は比較的善戦しているように思う。具体的にはOBを連れたり卒業生の近況をもって、丁寧に大学周り、研究室まわりをした会社。採用担当者が学生や教員が見える距離にアプローチして学内選考や学内説明会、大学開催の合同企業説明会などに数回アプローチしている例は結果や結果予備軍を多く抱えており、今後の戦況を握っている。

一方で、大規模広告・大規模採用はもうダメかもしれない。絨毯爆撃方式は採用担当者ではない企業側すら既に懐疑的である。クラスタ攻撃も難しい。ハッカソンやワンデーセミナーに出てくる学生は、玉石混合で一本釣りしようにも、釣ったはいいが「スペック高過ぎ自意識高すぎ」で内定受諾には至らない。一方で、「大企業っぽいから受けておこう」ぐらいの縁しかない有名大学の学生は、業界研究も企業研究も、卒業研究も浅く、かつプログラミングスキルなども微妙。

そんなわけでやっぱり企業側も「10人にひとりふたり」ぐらいしか内定が出せていない。例年に比べて「お眼鏡が高すぎる」訳ではないのに「何故こんなに採用が進まないんだろう?早く始めたはずなのに!」と首を傾げている担当者もいるようである。

なお、今これを書いているのは、可哀想な学生と企業の採用担当者を救うためである。それぐらい異常な「泥沼」が今年の就活戦線にはあるし、今後もっと泥沼は深くなるかもしれない。主に企業側において。

企業:プロモーションすればするほど上滑り

仮に、採用担当者さんがこのままの採用ペースで「1/10選考」を繰り返していくと、もうそろそろ「応募者総数」を増やすのは難しくなっている。「興味がある」というレベルの学生は既に受けているし、「知らなかったが受けてみた」という学生も既に受けて落とされている。
採用担当者側で残っている手段は、
・一度落とした学生を再度選考する
・スピード選考を売りにする
・受け入れ側部署の閾値を下げてもらう
・採用予定数を減らす
どれもリスクがあるが、企業側ではそろそろ検討され始めているようだ。

少なくとも、中小〜極小の小回りが効く、社長が採用プロセスを自分でやっているような会社は、早めに内定を出して、この戦線をゲリラ戦略で飛び回っている。泥沼の戦地に金の卵がたくさん無防備な状態で転がっている。

学生:初内定が出てからが真のスタート

自己評価が控え目な学生は、初内定が出てからが「真の就活スタート」になっている。
例えば、内定前は「内定もらえれば何でもいい」と言っていたが、いざ受かり始めると、給与や勤務地、業務内容や企業側のビジョン、成長戦略、自分の趣味とのマッチング、担当者の人格などが気になり始める。

比較対象、足し算でしか考えられない。

悪い事ではない、それが自我というものだ。

しかし不義だけは働いてはいけない。まずはすぐに内々定の御礼メールを書いて、せいぜい7月末〜8月第1週までに自分の職業人生において「最初の自我」を磨き、発揮しよう。内定受諾後の闇就活などはこの泥沼をさらに悪化させる。逆に、自分の進路として納得がいくような足掻きをするのは大事な事だ。

双方:「育てる視点」がキーワード?

結局のところ、買い手市場は終わってしまっている。

私の周りにいる学生は、スペックの高いのも低いのもいるが、総じてこのまま企業側の「10人にひとり」が続くと、未内定市場はさらに玉石混合となり、お盆中〜お盆明け戦線が大変な事になるだろうという事は予想できる。
内々定済学生も他の採用判断待ちの結果によって「就活戦線離脱!」を宣言するかどうかを決めるのであるから、学生も企業側もお互いの内定獲得状況はオープンにして、不要な学生は早めに「縁がなかった」とリリースしてあげないと、玉突き衝突が起きている。この泥沼には誰も勝ち組がいない。あるとすれば、ゲリラ戦略で金の卵を拾った判断の速い会社だろうか。

最後にヒントを述べておく。

内々定を貰った学生が内定受諾に応じるかは、その後の「不安」をどのように払拭して自我で会社を選べるかどうかにある。

ビジョンがない企業は不安に感じる。
何より、学生は未完成。
(それはいつの時代も変わらない)
「育てる気概」がない企業には明日がない。
(それはいつの時代も変わらない)

企業側採用担当者は、ご面倒ではありますが、研究室の指導教員などとも連携し、是非とも主体的に、本人が向き合えるよう、教育的な視点をとって頂ければと思います。

最後に、上から視点で長々書いてしまってごめんなさい。
大学に関わる側としては、育てた人材が人財として御社を盛り上げていくことが大事です。
「いい就職」が、この国を変えていきます。
それは間違いありません。

ご意見などありましたら、Twitter@o_ob でお受けしたいと思います。

ありがとうございました。