「任天堂Switch、みんな気付いてない10の未来」を読みやすくするハック

日経テクノロジーオンラインに寄稿したNintendo Switch発売記念カウントダウン記事「任天堂Switch、私はここに期待する」が本日公開されました。

「任天堂Switch、みんな気付いてない10の未来」

白井 暁彦=神奈川工科大学 准教授

全11ページあるうえに、毎ページのようにログイン要求されるので、著者ですら読みづらいと思いました。以下インデックスしておきます。

 

1.Switchは「テレビゲームの歴史にトドメを刺す」
2.グラフィックス性能の向上で見えなくなる「何か」が明らかに
グラフィックス性能を上げたら売れるとは限らない
3.テレビの奪い合い戦争が終焉する
遊びを遊びとして保つためには「やめる自由」が大事
4.「何かゲームがしたい人」は結局なにも買わない
ゲームを買うのはソーシャルな理由
5.でもスプラファンは「スプラ2」さえ出れば満足
任天堂ハードで「○○専用機」は珍しくない
6.玩具の歴史であってゲーム機の歴史ではない
7.「1-2 Switch」こそが最注目タイトル
8.「VRエンタメ」の未来に「触覚VRエンタメ」あり
一番手が抜けない場所がユーザー任せ
9.「Joy-Con」がひらく日本がアップルを超える未来
“Switch”という名前の本当の意味
10.やはりSwitchは「テレビゲームの歴史にトドメを刺す」

最初は「10のヒミツ」として書き出したら10どころか20ぐらいあったので、だいぶ圧縮しております。全部で11,000字ぐらいあります。

基本はエンタテイメントシステム、プラットフォーム設計の歴史と変遷の話なのですが、任天堂の中の人さま、一部憶測で書いてゴメンナサイ!
今度機会があったら試遊会に呼んでください、もっとちゃんと書きますから!

でも「テレビゲームの歴史にトドメを刺す」は本気と思いました。

ご感想は日経テクノロジーオンラインのほうにお寄せ下さいませ。

横須賀で #ポケモンGO の遊びかたを再考した – #ポケクリGO その1

相変わらず超長いBlogエントリーを書いてしまいましたが、ポケモンGOをもう一度ちゃんと楽しむノウハウ集になっている感じです。続きもありますが皆さんの反響次第。

横須賀から学ぶPokemonGO再考

まず今日は、横須賀市さんの企画

▼リアルワールドゲームを楽しもう!~安心・安全に「Ingress」や「Pokémon GO!」で遊ぶために~
http://www.cocoyoko.net/event/literacy.html

の打ち合わせで横須賀遠征だったのです。

ポケモンGOを3次元的に楽しむ&位置情報ゲーム世界で町おこしノウハウや、社会問題になりつつあるプレイヤー文化どうにかせねばと日々研究している事もあって協力させていただいております。ちなみにNIANTICさんも協力で入っています(詳細はまだ語れませんが)、ありがたい。

 

横須賀すげえ。覆されまくる横須賀への偏見

さて恥ずかしながら横須賀市って(横浜生まれにとっては)近くて遠いし、JRと京急でも駅違うし、あんまりしっかり観光した記憶がなかったのです。三浦半島・三崎口まで行く途中って感じで。

研究クラスタとしてはNTT光の丘に用事あったり、JAMSTECとかは行くけど。
海軍カレーとかは聞くけど、ミリタリー属性も高くはないし。

でも行ってみると横須賀って微オタからオタク研究者から艦これ厨からB級グルメぐらいまで含めてかなり楽しめる街だったのですよ。

艦これコラボカフェ「酒保伊良湖」が市役所すぐそばにオープンしてました。

▼横須賀にオープンした常設型「艦これ」コラボカフェ「酒保伊良湖」をレポート。にじみ出るこだわりが強すぎて,ご満悦度は高い(4gamer)
http://www.4gamer.net/games/205/G020591/20160728093/

バンダイとナムコと、それからシダックスさんがやっているので、食事もちゃんとしていて、各艦娘が「沈んだ月」がテーマになってて、「7月は島風」って、オープンしてから3日ぐらいしかないのに ぜかまし愛を表現していたりするんですって(市役所の人談・ほぼそのまま)。なんだかすごい。

IngressとポケモンGOと電池とケーブルを持って出かけたい街

横須賀中央駅から見たポケモンGO世界
横須賀中央駅から見たポケモンGO世界
横須賀市役所近辺のIntelmap
横須賀市役所近辺のIntelmap

まず平日昼間の横須賀中央駅前からの眺めがこの賑わい(ポケモンGO世界)。ちょっとした中規模都市の風景ですよ。とても海の近くとは思えない。

街の至る所からひしひしXMを感じるのです。

銅像とかアートとか、街を特徴づけるようなXM資源がとても多い上に、ローカル色の強い飲食店なども多い。もちろん景色も綺麗だし。更に言うと米兵さんとその家族も多いので、Ingress好きそう。

街の至る所からひしひしXMを感じるのです。

さすが市役所が支援するだけのことはある。

知らない人のために、横須賀のIngress観光資源化を紹介しておきます。

もちろんそんなシンプルな話ではなく、はたから見ていると「横須賀に昔から幅を利かせていた青と、それに喧嘩を仕掛けた緑のヤクザの抗争を、一人の女エージェント(市役所職員)が仲裁に入って一山当てた」という話でしょうか。うーんどうだろ。そんな血なまぐさい話ではなく、ちゃんとIngressを使って観光開発しています。少なくとのその時の経験や人脈は大変生かされている。

▼STRATEGY BASE FOR INGRESS IN YOKOSUKA

http://www.cocoyoko.net/ingress/

▼Mission Day Yokosuka

http://ingressyokosuka.blogspot.jp/

▼1人1人が作り上げた「Ingress Mission Day」、横須賀に2000人集まった日 (2015/11/2)

http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/728611.html

追記:そしてもちろん ポケモンGO も。

▼無人島なのにポケストップ充実!ポケモンGOが楽しめる島(しらべぇ・2016/8/3)

http://sirabee.com/2016/08/03/148150/

 

 

横須賀の町を歩きながらポケモンGO総括

忘れもしない2016/7/22の10時頃リリースから、日本中が大騒ぎになりました。あの日からいろんなものが破壊され、変わって変わって変わり続けています。創造主John Hankeにありがとうを言いたい。

横須賀の町を歩きながらいろんなことを考えていました。

ポケストップ削除の前にちょっとストップ

ポケモンGOリリース以降の日本列島は大フィーバー、社会現象な1週間でしたが、こんなこと、「ゲームが社会を動かす」って私の記憶にある限りでは、インベーダーとパックマン以来の出来事です。ドラクエII・IIIの時もすごかったけど世界同時的な動きではなかったし、せいぜいカツアゲと徹夜ぐらいです(それのおかげで高校受験を棒に振りましたが)。

「ポケモンのIP」のおかげ、っていう人もいますが、どうでしょうか。

ポケモンに興味がない人にとっても面白そう!って思うことはこのスマホの時代にはめったに起きていなかった、ってことかもしれないですよね。おじいちゃん・おばあちゃんで携帯電話持つ人が、否応なしにスマホに置き換わっている時代というのも背景にはあると思います。

ポケモンGOのグラフィックスやモデリングなども地味によくできている、育成大好き、収集大好きな人にとっても面白いと思う。でも、ポケモンGOの「歩いて収集」を成立させるインフラであるポケストップやジムを作った人は誰かというと、Ingressの時にものすごい熱心なエージェントさんたちがいたおかげです。

いや過去形にしてはいけない。

bengaruSukare

カレーの町よこすか・カレー専門店「ベンガル」と「スカレーさん」です。
カレーだけじゃなくて蕎麦屋とかもありました。

横須賀の街並みにはこの手の店舗ポータル/ポケストップがとても多い。

Ingress時代でも「ひとの集まる場所&ローカルビジネス」で商店は申請可能だったけれど、中々採用されないのです。気合(解説)と人x件数と気長に待つ必要があった。天の恵みです。

しかも、NIANTICの源泉であったはずの集合知・ポータル申請も現在では機能が停止している状態です。

参考:Ingress これからのポータル申請・審査を考える。

ingress これからのポータル申請・審査を考える。

この原稿を書いているその瞬間にも、ポケストップ削除が本格的に動き出しているようで、シドニーからもこんなニュースが舞い込んできました。

IngressからポケモンGOに全てのポータルが転生したわけではないので、いま「店や家の近所にポケストップできた」と言っている人は、先ずは2-3年前に熱心だったプレイヤーがそこにいたという「彼の記憶」であって、まずはその行為に感謝した方が良いと思います。

まあ見た目はどう見ても不審者でしょうけど…。

ポケストップ・ジム削除は集合知による刈り込み?

確かに高速道路上とかはそもそも危険を増長してますし、TPOを考えれば平和記念公園も避けられるべきかもしれない。そもそもIngressでは神社仏閣はポータルとして推奨されているスポットのように見えていましたが、プレイヤーが多いとその感覚も自由ではなくなるようです。

ポケストップやジムの削除はNIANTICの公式ホームページから削除申請できます。
どう見ても人力ですが、人間によるプライオリティが設定されているだけ、削除希望派には配慮ある設計と考えたほうがいいように思います。増えすぎたポータルを集合知によって刈り込みするという設計なのかもしれませんが、どうなんでしょうね。

うちの近所にはIngressがだいぶ流行り終わった後に、小中学校の通学路にポータルが生えました。危険という理由で削除申請しましたが、未だに生えていますし、ポケストップにもなっています。

削除は申請できても実際に削除されるには時間がかかると思いますし、逆に生やすのはとても難です。不可能と言ってもいい状況です。

まずは削除申請したい人は、流行りが去った後まで待ったらいいと思いますよ。落ち着いて。

根本にある問題は「人が多すぎる」ということでしかないのですから。

生えるならジムよりポケストップがいい

かくいう私も「相模Ingress部」なる活動をしておりましたので、近所の集落や職場の周りにはたくさんポータルを生やしました。ごめんなさい。今は昼間でも夜中でもいろんなトレーナーが徘徊していて微笑ましく眺めているのですが、正直”人多すぎ”です。ごめんなさい。閑静な住宅街に、女子の一人歩きとか、酔っ払いとか、車運転したままプレイとかごめんなさい。

特に「ジムは邪魔くさいので御愁傷様」と思います。

エージェント(=日本語で言うところのスパイ)がコソコソ活動しているIngressと違って、ポケモンGOに一生懸命になっているゾンビ達は、パチンコ屋から出てくる射幸心煽られまくりで疲れた人たちと同じ目をしています。

ジムと違ってポケストップは商店にとっては良いです。ルアー入れれば確実に客寄せになるし、客が来たら赤提灯的にルアー入れても良い。桜吹雪で花見風なのもいいし30分ぐらいの有効期限&他プレイヤーへの付加価値提供は意味ある。

でも、ジムは喧嘩の種になるから今のところ様子見したいです。

ちなみに今日はジムでこんな感じでピッピの支援技?のようなものを発見。なんか応援している。

謎が多いジム戦ですが、結局は力の誇示と課金アイテム”ポケコイン”が入手できるという設計なので、ゲーム設計上の諸刃の剣です。数十円でもお金の価値があるものが設定されると人間は頑張ります。

ジム戦全てが否定されるべきではないけれど、これは公園のような「人が多すぎる」という問題とは少し違います。深夜の女性ひとり歩きや馴染みの商店・飲食店、”家の前”など身バレや声かけなど個人特定されると困る要素のほとんどはジム戦を中心に発展する「力こそが正義」の世界観が問題です。数は多くても少なくても、相対的な力の誇示が。

Ingressでは慣れている感覚なのですが「相手が反抗したいと思わなくなるまで叩き潰す」がPvPの真の勝敗ではないかなと。要はデビューしたり力を誇示するなら勇気いるって事。さらにゲームの中だけでなく、脇や背後にも注意ですよ。

ソロプレイ女子など”声かけられたくない人”にわかりやすい印が必要と思います。

もしくはジム戦しない。所有や縄張りの意識を捨てる。その勇気も重要。

 

もしあなたの家の前にジムができたら?

レベル上げたい、強いポケモンを育成したい、お前も同じ陣営だろ参加しろ、「五重塔のようになった我がジムは眺めが良いなあ!」とかいう気持ちはやっている方は楽しいかもしれませんが、そんなもん家の前に作られたら、家の前にヤクザの事務所ができたような気持ちになりますよ。年がら年中、”鉄砲玉”がスマホ持って家の前でウロウロしているのですから!

少なくとも自分はまともにプレイできなくなりますよ。

もう一度書いておきます、ジムの削除申請はこちらです。

 

そんなわけで横須賀はすごい

Ingress&PokemonGOガチ勢の皆さんはここまで読んで「そんなん当たり前だろ!!」って言ってそうですが、横須賀はすごいと思います。岩手も神戸も、それから鳥取も。Ingressでの経験が見事に生きているわけです。鳥取は「現代版・木を植えた人」に相乗りした形ですが、それでもフットワーク軽い自治体はそれだけで素晴らしいと思います。

横須賀の街中でプレイする人たちをウォッチしていますと。買い物帰りのおばちゃんや、中高生、米兵さんやその家族・・・たくさんの人々が市民権を得ている感じがします。

自治体の仕事というのは税金です。公(おおやけ)の仕事にするということは、数々の問題に取り組まねばならないわけです。いろんな視点がある人の意見を聞いて、それでも新しい取り組みに挑戦して、新しい価値を認めつつ、街を時代に合わせて変化させていかなければ、その先は「ゆっくりとした死」しかないのです。

深夜女子の一人歩きの問題も、「歩きスマホ危ない」、「ゲームは個人の楽しみだろ!」という考え方の人々も、結局は都市という人々が集まる集積地に暮らす問題を明らかにしてくれています。たくさんの人々がいるから問題になるのです。

そしてこの手の自治体は、異なる考え方の人々が同時に住むホームタウンが成立するように、常にアンテナを伸ばして頑張っているのが素晴らしいと思います。

私も行動力の割に影響力が全然ない、いちプレイヤーです。

だからこそこうやって筆をとって書き残しています。

ポケモンGOのおかげで、世の中の変化スピードが加速しています。

続きます。

あっ、冒頭に書いたイベントは8月21日に本当に開催しますよ。
一般の人は予約制なのでお早めに。
メディアの方も是非是非。

▼リアルワールドゲームを楽しもう!~安心・安全に「Ingress」や「Pokémon GO!」で遊ぶために~
http://www.cocoyoko.net/event/literacy.html

<関連投稿>

『Pokémon GO』に学ぶ商標問題と、VRを面白くするために「もっと大事なこと」。

『Pokémon GO』に学ぶ商標問題と、VRを面白くするために「もっと大事なこと」。

★文中、ポケモンGO、PokemonGoなど表記が揺らいでいまが、日本語表記については微妙な状況にあるようですので、本稿ではNiantic公式に従い可能なかぎり『Pokémon GO』と表記します。

ことの発端はこれ。本稿公開時で3,000RT(個人RTレコード更新)。

★ちなみに、最終的な拒絶査定でもないですし、商標ゴロに訴えられているわけでもないですし、今後日本で発売できないわけでもないですよ。RTする前に、このエントリーを中盤まで読んでくださいね。

手っ取り早く、くだんの発言の知財処理上の詳細を理解したい人はこちらの方のエントリーを読んでいただくのが良いと思います。

 

世間は Pokémon GO で大騒ぎです

 

この原稿はとあるWebメディアに向けて執筆していた原稿の成れの果てなのですが、技術だけでなく、社会的インパクトが大きすぎる上に、書いているそばから新しい話が出てきてしまい、もう個人Blogぐらいか書きようがない話になってしまいました。

まず『Pokémon GO』は大ヒットした位置情報ゲーム『Ingress』を作った Googleから独立したAlphabetグループ企業 Niantic Labs社 が開発した最新の位置情報ゲームです。

 

<動画:Ingress – It’s time to Move. (2012/11/15)>

 

IngressがSF風の雰囲気で演出されているのに対し、『Pokémon GO』はポケモンの世界感を大事に、その育ったポケモン世代にアピールしています。

<動画:UK: Pokémon GO – Get Up and Go!>

 

★ゲームの中身についての解説は、まだ日本でリリースしていませんのでまたの機会にいたします!

近日中に日本でもプレイできるようになるそうですので、ゲームのリリースについての情報はこまめにNiantic公式Blogと、公式Twitter、ストアを確認することをお勧めします(Android, iPhone)。

 

なお、本稿では分かりやすさのために、前作である『Ingress』の用語に訳せるところは可能な限りIngress用語で解説しています。Pokémon GO のゲームの詳細について予習したい人は公式のこちらの情報用語集を読むと良いと思います。

株価への影響

▼任天堂株が1年4カ月ぶりの日中上昇率、ポケモンが米首位(Bloomberg・2016年7月8日)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-08/O9Z08F6KLVS201

この記事の時点で「前日比11%高の1万6560円まで買われた」、とありますが、この記事の執筆時点(7/16)の10日間でも、オーストラリアやUKはじめとするヨーロッパの各国でリリース直後から話題となり連騰し、初週7月15日の終値で 2万7780円まで上がっています。長く低迷していた頃に任天堂株を最低購入価格である150万円で買った人は、 Pokémon GO リリース後に倍近い額になっている計算です。なお、任天堂は Niantic Labs社に3000万ドル(当時 約36億円)の出資をしていますが。直接の開発元であるNiantic Labs社や株式会社ポケモンは上場公開しておらず直接投資できない点と、ゲームと連携して遊ぶIoTデバイス「Pokémon GO PLUS」を近日中に発売する予定の任天堂株が買われているという情報です。

経済インパクト大、そして社会問題にも…

さて問題は株価だけではありません。その異常なまでのプレイヤーの熱狂ぶりが報道されています。

運転中の Pokémon GO 禁止、警察署やミュージアムでの Pokémon GO での進入禁止などはニュースが多すぎて把握できませんが、特徴的なニュースを引用しておきます。

 

▼アメリカ人、ついにメートル法を学習 「ポケモンGO」のキロメートル表記が分からず検索急上昇BIGLOBEニュース・2016/7/12)
http://www.excite.co.jp/News/it_g/20160712/Biglobe_7672285195.html

▼「ポケモンGO」公開4日で売上14億円突破、米調査会社データ(フォーブス・2016/07/12)
http://forbesjapan.com/articles/detail/12822

株価上昇だけでなく売り上げも大変な規模です。「公開4日で14億円」がどれぐらいすごいかというと、Niantic社の前作 Ingressでは「立ち上げから現在までの総売上が110万ドル(約1億1300万円)」(同記事, SuperData社の元記事)ですので、そのインパクトの大きさが売り上げ規模から想像できます。

一方で、同じSuperDataの調査によると、2016年にVR業界全体での売上は29億ドル(約3190億円)という予測。2020年には10倍以上の403億ドルに伸びるとして予測していますので、単純な掛け算・割り算では最初のインパクトが続くなら、VR業界全体の年間売り上げの1/3程度の規模となります。

経済だけではなく社会問題にもなりつつあります。

▼Teen playing new Pokémon game on phone discovers body in Wind River
(19歳が新しい携帯ポケモンゲームをプレイ中に水死体を発見, county10, 2016/7/8)
http://county10.com/201021174044426240

朝早起きしてポケモン探していたら、白骨死体とかじゃなくてけっこうナマ温かい死体を発見してしまったようです。ただ、このようなプレイヤーが増えることで犯罪抑止力の目にはなるかと思います。

▼Pokemon GO が、米国の夕方の公園の風景を一変させていた(Yahooニュース・松村太郎・2016/7/14)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/taromatsumura/20160714-00059978/

犯罪が多く、お世辞にも治安が良いとは言えない日没のアメリカの公園の景色が、Pokémon GO用語の「トレーナー/Trainers」、Ingressスラングでいう所の「不審者」がたくさんいて、大人も子供も皆何かに夢中になっているような写真が撮影されています。それを裏付けるかのようにこんなニュースも。

▼「ポケモンGO」に便乗? ヒラリー陣営、ストップで集会(日本経済新聞・2016/7/15)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN15H1I_V10C16A7000000/

日本では選挙権が18歳まで引き下げられましたが、アメリカではそれを笑うかのように Pokémon GO を選挙運動に取り入れているようです。日経新聞で「ストップ」と言えば株価の「ストップ高」なのかと思いきや「ポケストップ」、Ingressにおける「ポータル」、つまりゲーム上の「いかねばならない重要地点」で集会を開いているそうです。日経新聞の記事をそのまま引用しますが、

“ヒラリー陣営は集会にあわせ、ポケストップにモンスターを一定時間おびき寄せられるアイテムを使用する計画だ。陣営のサイトでは「無料でポケモンを捕まえ、戦わせよう。選挙人登録を行い、ヒラリー・クリントンについてもっとよく知ろう。子どもたち歓迎」として、家族連れの参加を呼びかけている”

候補陣営→エサ撒く→ポケモンやってくる→Pokémon GO ユーザ寄ってくる→話聞いてくれるかも?……それってつまり「ポケモンの力を借りて選挙に勝つ」という新モデルで、もはや「選挙にポケモンを召喚しているような状態」ではないでしょうか。日本の公職選挙法もこれぐらい斬新な方法を想定して整備してほしいものですね。

 

そして悲しい事件も起きています。

 

▼「ポケモンGO」に夢中の少女、車に跳ねられる(BIGLOBEニュース・2016/7/15)

http://www.excite.co.jp/News/it_g/20160715/Biglobe_3370741731.html

命に別状はなかったのですが、「ラッシュアワーで混雑している交通量の多い4車線の道路を横断」して事故に遭っています。事故後はアプリをアンインストールし他のプレイヤーに対して、「周りをよく見て気を付けて」と語っているそうですが、そのメッセージはアプリ起動時にも表示されています。

特にジム戦が白熱して盛り上がっているようで、動画を探すとポケモンを追いかけて人々が衝突しているような危なげな動画もあります。

以上のようなニュースは憶測やデマのような未確認情報まで含めるとたくさんあり、まさにとんでもない熱狂ぶりです。
Ingress or Pokemon GO

日本ではいつリリースされるのか?

日本ではいつ、Pokemon Go がプレイできるようになるのでしょうか?

待ちきれない人々からは「某巨大企業提携説」、「流行に弱い日本人の気質」、「サーバーの増強」など様々な憶測が飛んできます。

前作 Ingress を長くプレイするエージェント(Ingress用語;プレイヤーのこと)は、より多くの視点と経験を持っています。

まず、Pokémon GO が日本市場投入される時期として、最も早いタイミングとして見られていたのが、2016/7/16以降です。前作 Ingress が、世界中のプレイヤーを巻き込んだ大会を実施しており、その“最終決戦”Aegis Novaの最終ステージが、東京で7月16日に開催される予定でした(公式イベントHP)。Ingressの世界の上でも Aegis Novaで一旦のストーリー展開上の終結を見る、という設計でした。

▼Pokémon GO、Ingressのナイアンティック川島氏に聞く 1万5000人規模のAEGIS-NOVA TOKYO開催直前、Pokémon GOの日本での提供は(ImpressケータイWatch・2016/7/13)

http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/interview/1010228.html

“川島氏:それらの国の優先順位が高かったというわけではありません。法律的な問題や安全性への配慮、時間が必要なものなどいろいろな要素が影響しており、慎重に選んだものです。重要性で決めたわけではありません。日本でのローンチが遅れているのは、サーバー自体が予想を上回るアクセスで、きちんとしないといけないというところです。発表だけして遊べないと言うのでは困ります。エンジニアは寝る間を惜しんで増強に努めています。近いうちに、日本でも提供いたします”

筆者も実際に取材を兼ねて参加してきましたが、CEOジョン・ハンケによるスピーチではやはり Pokémon GO のリリースに関する新情報はなく、そのタイトル名もあえて伏せてスピーチが行われるほどでした。

<動画:Aegis Nova Tokyo終了後のCEOジョン・ハンケによるスピーチ>

筆者の憶測の範疇を出ませんが、川島氏さんの「法律的な問題」、John Hanke氏の「名前を言えない」という点から日本は商標登録に問題があるのかもしれません。調査してみると「ポケモンゴー」と呼べる商標は任天堂から「商願2015-086693」として出願されており、任天堂株式会社、株式会社クリーチャーズ、株式会社ゲームフリークが権利者として明記されていますが、現状は「存続-出願-審査中」になっています。「Pokémon GO PLUS」(商願2015-087286)も「存続-出願-審査中」ですが、同時期に提出された文字だけの「Pokemon GO PLUS」は2016年5月27日に登録となっています(登録5852656)。どうやら類似商標などを懸念して審査官から拒絶のお知らせが出ているようで、補正手続きも出されていますが、7/16時点で最終的な判断まではたどり着いていないようです。

これはそもそも任天堂の商標出願ですし、一方で商標登録までたどり着いていなくてもサービス開始しているポケモン関連アプリもありますので、なかなか難しい問題ですが、これが日本でリリースできない理由のひとつになっているのかもしれませんね。インタビュー記事やイベントでの発言にも納得がいきますし、実際の係争が起きているわけでないようですが、商標関連は片っ端から出願してくる会社もありますので騒いでもいいことはありません。あくまで公式には「サーバーの増強」として、憶測は憶測として応援しながら見守るしかありませんね。

Q6-PokemonIP<原稿執筆時点での「ポケモン」関連商標検索結果(一部)、(日付左)が出願日(日付右)が登録日>

 

“ポケモン”は商標問題のポケットモンスター

結構身近なところでこんな話も聞こえてきますが、

▼クライアントや上司に「ポケモンGOみたいなゲーム作って」って言われた時に投げつけるまとめhttp://togetter.com/li/999088

そもそも「ポケモン」や「ポケットモンスター」の商標って複雑なんですよね。

ポケモンだから複雑だというか、長年売れたタイトル、かつ自社発ではないIP(知的財産権)だとなおさらです。

▼ポケモンを例に出して世界一簡単に商標登録とは何かを説明するぞぉ(2016-04-18)

Pokémon GOはARではない…?

一方で、海の向こうのポケモントレーナーから「ARゲームじゃない、IPの力で成功した位置情報ゲームだ」なんて意見も出てきます。

冒頭に引用した米調査会社SuperData社も「Pokémon GO ARではない」と明言しているのも興味深いです。

我々はIP取得を忘れていないか?

たしかにIngressや Pokémon GO を支えるテクノロジーとして重要な技術は、「スマホでのAR」というよりも「大規模・多人数・同時の位置情報ゲーム」という点です。しかし「ポケモン」という長年任天堂他が培ってきたIPも上記の通り「なんとか守ってきたIP」という説明の方が正しいと思います。

任天堂のポケモン関連の商標をみると、本当にギリギリまでがんばって、登録の見通しが立った瞬間に出願をしていることが感じられます。日本の特許や商標は公開制ですので、新しい出願があったときには皆さんに異議申し立てができるように公告されます。興味がある人は特許庁の検索(無料)やTwitterの商標速報bot(@trademark_bot)などを追いかけてみると良いでしょう。

でも、任天堂がギリギリまで商標出願しない理由のひとつは、他でもないゲームファンの人々が商標出願情報から新ポケモン名を書き立てたり、商標ゴロに連想できるような類似特許を取られないため、でもありますよね。

みなさん新しいVR作品を取得する時に、IP取得していますか?

IPといってもよくいうキャラクターのことではありません、もちろんインターネットプロトコルのアドレスでもありません。Intellectual property、具体的には特許出願と商標出願をしていますか?

私は企業との共同研究や商業案件の場合は必ず特許か商標を出願しています。

単独個人のお金で出願することもありますし、共同研究先と共同出願することもあります。大学から業務特許で出願して大学の保有になっているものも多いです。

出願したものが全て権利化されるわけではありませんし、むしろ特許の場合は物言いがついて頭を悩まされることの方が多いです。

しかし他者に真似された時も悔しいですし、訴えられるのも困ります。

でも、最も辛いのは「将来自分が特許や商標を出願した時に、自分の作品のおかげでIPが成立しない」という時ではないでしょうか(まあ味わってみないとわからないでしょうけどね…)。

この先、VRやARで一山当てよう、とおもっているあなた。

作り手なら、まずはIPについて学びましょう。Pokemon GOの問題は、学ぶよい機会ではないでしょうか。

 

IngressとPokemon GOの本質を見抜け

ところで、現在のゲーム業界はインベーダーのコピー基盤の販売で拡大したという歴史を覚えている人はおりますでしょうか?

PlayStationのDUALSHOCK2に実装されていたバイブレーターの制御技術が、PlayStation2を一時発売停止に追い込み、特許問題になったことを覚えていますか?
(なお、この技術は白井の修士時代の研究に大変関係があるものです…)

今、IngressとPokemon Goの人気の本質にあるものはなんでしょうか?

ポケモン人気?位置情報ゲーム?それらの本質を見抜いておかなければ(一時は劣化コピーで儲かる瞬間もありますが)、ものづくりの原動力が見抜けていないということです。継続的にはその後の訴訟やサポートで大変な痛い目を喰らうかもしれません。

私はこう考えます。

多くの社会的影響も含めて、設計上、強く人々を惹きつけているのはGPSを用いたスマートフォンゲームであること、特にその中でも「マルチプレイヤーARであること」が最も重要ではないでしょうか。

Google MapsやGoogleが支えるサーバー技術は確かに強大なのですが、AWSやPhoton、そしてGoogleのサーバーサービスなど、本質的にはお金を出せば買えるものなのです。そもそもNiantic Labs自体、(2014年のGDCにて)Ingress APIをUnityプラットフォームに提供する準備がされており、Pokemon GO自体もこの環境において開発されているようです。

スマホARは今後、Pokemon GOを軸に大きく転換期を迎えるものと感じています。

VRエンタテイメントでは今後、実体体験型VRとマルチプレイヤー型のモバイルARにすみわけが進んでいくのではないでしょうか、その中で、既存IPとの連携、VRにおけるStory(ナラティブ)など考えることは多いのですが、それもやはり、人々が飽きればそれで終わってしまう可能性がある演出要素でしかないのではないでしょうか。驚異的な存在であることは間違いないです。

VR/ARエンタテイメントでみんなが忘れていること

このように強大な存在ではあるのですが、実は、Nianticの人々はPokemon GOを作ったのは、他でもない、Ingressのエージェントたちだ、と明言しています。これはリップサービスでしょうか?たしかにお世辞なのかもしれませんが、この22歳の青年のスピーチを聞いて何を感じますか?

Pokemon Goが出たとしても、インストールしたとしても、Ingressが生んだものは強大です。

技術やIPは大事なのですが、コミュニティを醸成していく技術は超大事です。

そして、私は「Nianticの杜撰さ」は褒められることではないけれど、その先進性と「未完成さ」は評価できると思います。

日本でのリリースはいつになるかはわかりませんが、世界各国で Pokemon GO が始まってから起きたことは、Ingressと人々を研究する側としては「想定されていること」でした。

 

相模Ingress部で学んだこと

ちょっとした余談になってしまいますが、筆者は相模原市立博物館と協働で、位置情報ゲームをつかった相模原市全体のフィールドミュージアム化についての共同研究を行っており、2013年からARやGISを使ったゲームによる人々の理解や行動がどのように変化するかについて調査しています。

その中でも、ゲームをゲームの中だけで終わらせるのではなく、積極的に経済活動につなげたり、プレイヤーへの啓蒙活動や、文化・知的探求活動につなげていくための手法や知見、データをまとめています。

▼相模Ingress部

http://ingress.sagamiharacitymuseum.jp

▼フィールドミュージアム構築における代替現実ゲーム「Ingress」の活用 (SliderShare)

▼代替現実ゲーム「Ingress」で魅力的なまちづくり ―プレーヤーも、観光客も、地域住民も喜ぶためには(観光政策フォーラム・2015/4/1)

・Part1 ゲームが観光客を連れてくる!?
  https://www.kankou-seisaku.jp/ksk/jsp/kankous/st?n=87&d=1

・Part2 ゲームを使ってフィールドミュージアムをつくる―市立博物館との市民協働プロジェクト―
 https://www.kankou-seisaku.jp/ksk/jsp/kankous/cr?n=87&d=19

・Part3 Ingressで見える、魅力的なまちとは
 https://www.kankou-seisaku.jp/ksk/jsp/kankous/cr?n=87&d=20

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<筆者主催のイベントでの相模原市渕野辺駅前の商店街の様子・Ingressエージェントと地元商店街の融合が見える>

 

今となっては、この規模のIngressイベントは珍しくなくなってしまいましたが、Ingress公式のXF(cross faction, 両陣営合同)イベントが発表される前から、JAXAや はやぶさ 、博物館と絡ませた初詣やら、豆まきやらを企画し、Ingressをハックして楽しんでいたのです。

クラシックなITやサービスの考え方では「ペルソナ」つまりユーザはたいてい一人として設計されています。しかしミュージアムやMMMMORPGのプレイヤーはひとりではないのです。

 

<上記SlideShareから:ミュージアム来館者は単体ではないため、複合ペルソナを考える必要がある>

Ingressガチ勢問題

一方、位置情報ゲームをあまりプレイしない人々からは、特に「Ingressは”ガチ勢”が多い」と言われ敬遠されます。

確かに、装備や行動、発言やリーダーシップにおいては「普通じゃないな」とか「XMでアタマやられているな」(訳注:XM=エキゾチックマター, Ingress世界でそこらじゅうに拡散している謎のエネルギー)という人もたくさんいらっしゃいます。

しかし、Ingressのプレイヤー全てがガチ勢というわけではなく、ゆるふわ勢も、コスプレしながら楽しむ人も、妊婦さんもいます。

Ingressというゲームの設計や戦略上、そのような行動を取る人、またうつ病や肥満、運動不足の解消を目的としてゲームを開始した人も多く、ちょっと変わった人も多いです。

ネットではガチ勢の人たちばかりが目立ちますし、ハングアウト(訳注:Google Hangouts、Ingressのエージェントが情報交流に使っていることが多い)ではものすごく高圧的な人物が、会ってみると以外と温和な人だったりして、なかなか見極めるのは難しいのですけれども。

一方で、ガチ勢の中でもこのゲームを愛する人々、ボランティア精神がある人はただゲームをプレイするのではありません。運営と連携し、陣営や自分が所有するポータルや実績を一旦忘れ、寄り添ってコミュニティ醸成活動に参加します。そうしないと、位置情報ゲームは固着しはじめると「これは俺の所有物」と考える人も多くなり、それによる力の誇示や争いが生まれ、初心者が入りづらくなり、活動範囲も狭くなり、カルト・セクト化してしまいます。これはイングレスのようなMMMMO(Map-based Mobile MMORPG,マップベースモバイ大規模多人数オンラインゲーム)だけではなく、一般のMMOでも同じ傾向があります。

クリエイティビティを発揮できるゲーム

一般のMMOと同じ要素がある一方で、Ingressの「遊び」のもう一つの重要な要素、それは「自由」です。

カイヨワをベースにした[遊びの成立]の現代語訳。遊びは「遊ぶために遊ぶ自己目的性の行為」であり、「隔離された活動」,「非生産的活動」,「虚構の活動」, 「規則のある活動」,「未確定の活動」そして最も重要なのは「自由な活動」 であること。 自由はいつでもやめられること。日常と非連続、現実世界に富を生まない、現実とは区別がつく (写実でもよい) 、遊びの世界を支配するルールがある、先が読めない、選択の自由がある、「遊び」の成立。これら全ての特徴がそろっているときに純粋な「遊び」が成立し、「遊戯状態」にあると定義できる。

上図はカイヨワをベースにした[遊びの成立]の現代語訳。遊びは「遊ぶために遊ぶ自己目的性の行為」であり、「隔離された活動」,「非生産的活動」,「虚構の活動」, 「規則のある活動」,「未確定の活動」そして最も重要なのは「自由な活動」 であること。

自由はいつでもやめられること。日常と非連続、現実世界に富を生まない、現実とは区別がつく (写実でもよい) 、遊びの世界を支配するルールがある、先が読めない、選択の自由がある、「遊び」の成立。これら全ての特徴がそろっているときに純粋な「遊び」が成立し、「遊戯状態」にあると定義できる。

「行動の自由」や「やめる自由」もさることながら、現代ではプレイスタイルや表現、つまりファッション性や同人制作など「個々のユーザのクリエイティビティを発揮できる自由」も重要な要素です。

<写真上:様々なファッションで参加する>

<写真下:同人制作の数々>

動的ペルソナ:「白井博士の未来のゲームデザイン」より
動的ペルソナ:「白井博士の未来のゲームデザイン」より

これは「白井博士の未来のゲームデザイン」において予言していた「動的ペルソナ」が確実に進んでいるということで、Pokemon GO登場以降、2016年以降はこの図の動的ペルソナに「Pokemon GOをプレイする女子」を想定してエンタテイメントシステムを設計していかねばならないということです。

 

みんな新しい体験が欲しい

どうしてあたらしいゲームを始めるのか

筆者の調査によると、日本人が初めてゲームを開始する年齢が「4歳」で、その理由は「プレイしたいゲームがあったから」ではなく「友人や周囲の話題についていきたい」というモチベーションが切っ掛けになっています(幼稚園におけるヒアリング、大学生に対するアンケート中心の調査による。本当は大規模調査したいので誰か一緒にやりましょう)。つまり「ゲームを開始する理由はそもそもソーシャル」ということです。

また新しいゲームを開始する時、特にプレイしたことがない「新しいジャンルのゲームを開始すること」は人々によって難しく、ちょっとした挑戦になります。自分の意思ではダウンロードしないアプリをダウンロードする時は、仲の良い、信頼できる他人から誘われる時が最も有効に働きます。新しいSNSツールなどがまさにその典型で、自分が信頼しているリアル友達に誘われない限り、もしくは強い強制力がある、センスいい、出し抜かれたくない、話題についていく必要がある、といった理由がない限りは新しい価値観のゲームをプレイしたりアプリをインストールする事は、なかなか期待できないのではないでしょうか。

Pokemon GOを始める理由

その中で、Pokemon GO が持つ魅力、「Pokemon GOを開始する理由」だけでも列挙してみるとこれだけの要素があります。

・ポケモン世代

・既存スマホゲームに飽きた

・Ingressエージェント

・運動不足解消したい

・なんだか米国で話題なので

・(非ポケモン世代)子供がインストールしろというので

・(非ゲームプレイヤー)株価への影響がすごいので知っておきたい

多くのPokemon GOプレイヤーや、未リリースの日本市場が気づいていない点も指摘しておきます。

ほとんどのスマホユーザーが「友達が欲しい」と思ってゲームをダウンロードしたりはしません。

しかし Ingressは大会に出ると、ほぼ高確率で新しい友達が増えます。

 

Ingressは愛されているのです。
(時には愛憎余ってたいへんなことになりますが)

そんなこともあって、Niantic LabsはIngressエージェントを中心に、Pokemon GO の日本でのベータテストを事前に行っています。体験したIngressガチ勢は「Pokemon GO は Pokemon GO、IngressはIngressで面白い」と言っています。やっぱりIngressは愛されているのです。一目惚れがそのまま続いている感じです。

専用ハードウェアこそが頑張る場所

上記の通り、”ガチ勢”は簡単に乗り換えをするのではなく、今後、IngressとPokemon GOなどそれぞれの位置情報ゲームにあわせてスマホ2台持ちといった方法に流れていくのではないかと予測します。その中で、Pokemon GO プレイヤー専用のIoTガジェットである『Pokemon GO Plus』や任天堂が売り出すかもしれない関連商品や専用ハードウェアのような展開は、さらに新しい文化や商機を生み出すと見ています。

日本製品が世界で成功するなんて話は、本当に最近聞かなくなってきているなか、
任天堂は頑張って商品展開を進めてほしい!と思います。

 

もちろんNiantic Labsも動いています。他社の参入チャンスも大いにあると思います。

▼ポケモンGO、ARデバイスへの対応等、今後の新機能に期待(MoguraVR・2016/7/14)

http://www.moguravr.com/pokemon-go-ar-vr/

ポケモンGOを近々リリースされる可能がある新型Google Glassや、Microsoft HoloLensなどのウェアラブルARデバイスで体験可能にすることも検討中だとハンケ氏は語っています。

(関連記事)ポケモンGOがVRに対応の可能性 ライセンスが示唆か

みなさん知らない人も多いので、Niantic Labs社のCEOである、John HankeがGoogle Mapsを作るさらにはるか前に、何を作っていたか、紹介しておきます。

Windows95の時代にMMORPGを作っていた人物が「自分の子供を外に連れ出すゲーム」を作ったのがIngressです。時代を先取りしすぎです、しかも「Meridian 59」は、権利問題を解決して、いまでもプレイ可能な状態でネットに存在しています。

John Hankeの挑戦はまだまだ続くのではないでしょうか。

そして、この先進性を一緒に楽しんで、未来に進めていかければなりません。

 

IngressやPokemon GOはコンテンツなのか?

筆者が今回、Aegis Nova Tokyoで見たかったのは、Ingressの人気や人々の行動・理解がどのように変化していくのか?といった点です。課金アイテムの売れ行きとかアフターパーティーの人の集まり方とか。そもそもIngressは終了するのか、Pokemon GOは始まるのか。

そういった「IngressやPokemon GOはコンテンツなのか?」といった疑問に、Aegis Nova Tokyo終了後の私は明確にNo、だと言えます。

Ingressは世界システムです。エンタテイメントシステムです。
Pokemon GOも次なる可能性やポテンシャルを秘めています。

それは一過性の人気ではなく、人類の歴史に大きな第一歩を与えるアクションであると感じます。

 

どう控えめに見積もっても、
長年続いたJRの「ポケモンスタンプラリー」は来年夏には終了していると思います。残念ですが。

夢の世界がどこにあるのか?

ARで想像を補うのか、VRに自分を浸すのか。

ARは宇宙のリアリティです。VRは地球のリアリティです。

どっちがいいか?そんな宗教戦争は無意味だと思います。

 

夢の世界を地上に持ってくる技術は、たくさんあっていいとおもいます。

Pokémon Go の日本リリース、いろんな問題が片付かなくて、いつまでたってもラウンチしないけど、おかげで新しいARゲームやビジネスのアイディアはどんどん出てきます。

GoogleGlass今売れよ!的な。 

ちなみに、現在公開されている Pokemon GO はトレイラーで描いていた機能のほんの一部でしかない、今後もどんどん機能追加されていくはずです。負けていられません!!

 

まとめ

まったくどうにも信じられないぐらい長いエントリーになってしまいましたが、最後まで読んでくれてありがとうございました。

『Pokémon GO』に学ぶ商標問題と、VRを面白くするために「もっと大事なこと」。

・”ポケモン”は商標問題のポケットモンスター。

・VRコンテンツ作ってる人は、特許でも商標でもいい、IPとっとけ、いますぐとっとけ。

・プレイヤーも作り手であることは楽しい

・プレイヤーは複合ペルソナ、ひとりじゃつまらない。

・プレイヤーは動的ペルソナ、Pokemon GO以降を設計せねば。

・ライブ感、みんな集まるMMMOを維持する技術

・みんなに愛される必要性

・ハードウェアこそがんばれ

 

以上、テクノロジーの話ではない話ばかりで、何も前に進んだ感じがしない話になってしまいましたが、なんでこんな長い話を書いたのか、というと、私も「ひとりじゃつまらない!」のです。

ARやVRのエンタテイメントシステムのその未来を、これからもバシバシ解説していきたいと思います。

世界のエージェントやトレーナーたちと一緒に、今日も、歩きます!

 

 

 

追記

おとなり韓国も…

そういや日本のGoogle Mapsの地図著作権もいろいろ問題あるわけですが、これは Ingress で解決済み。
こうやってNianticがいろいろ風穴あけてくれているという理解もできる。

【機密文書】Ingress, Machi Café Drink Card でわかること【取扱注意】

本記事は個人の妄想とXMを含んでおります。

2015年7月7日の七夕の日から、「Ingress, Machi Café Drink Card」(以下”IMDC”)が発売になりました。

IMDC1

 

2014年11月15日にIngressとローソンが提携した日に「ローソンポータルの効果」というエントリーを書き起こさせていただきました。

その後も、私自身は博物館とのコラボレーションや地方創生のシナリオに関連した研究などを国内外で執筆させていただいておりますし、当のIngressもAXAシールド、MUFGカプセル、Softbankウルトラリンクに伊藤園の自動販売機ポータル化など、特に日本企業との提携に力が入っており、無料ベースのスマホゲームに新しい取り組みを挑戦する姿勢は、単なるメディアアート、Googleの実験的な取り組みという枠を超えて、世界のゲーム開発者が注目すべき状況になってきているといえるでしょう。

今回は、このIMDCをテーマに、エンタテイメントシステムの未来を考えてみたいと思います。

まずはIMDCを入手。

こちら、とあるエージェントさんからいただいた、IMDCです。ありがとうございます!さあコーヒー飲むぞー。

IMG_4905.JPG

 

私の周りだけでなく、FacebookのIngress関連グループなどでは、

・7/7の午前0時から並んで買った
・近所のローソンになかったので数件回った
・店員がIngressのことを知らないので説明が大変だった
・数枚買い占めた
・プレゼントすればIngress流行らせられる
・武器とか足りないときにいいねー

といったレポートがTLをにぎわせております。

6種類42個というインベントリがあふれそうなほどアイテムコードがついてくることもあり、Ingressプレイヤーであるエージェントたち(以下”Ingress民”)は、この”リアル課金”はおおむねポジティブのようです。

かくいう私も、今年の正月にこのようなリアル課金をしておりました。3000円のプレミアムつき、マチカフェドリンクカードです。

このつぶやきが1/7なので、6ヶ月でぴったり商品化されました。ただの思いつき、Twitterつぶやきが、現実の商品になるという流れは考えようによっては悪いことではないですし、この商品の実現のために何人もの関係者が開発や説得をして進めてこられたものだと推察します。ローソン明子さんに絡んでもらえたらもっと嬉しかった。同じ名字だけに。

Ingress民の多くも、Ingressのサーバーを支える技術やコストがゼロ円であるとは思っていませんし、ローソンと提携することでこの楽しいゲームが長く続くであろうという期待、そして、さらに多くの人々がIngressの魅力に気づくであろうと期待していることを感じます。

 

しかし。

Ingressを研究する身としては、いろいろ気になる点があります。

 

それは、
・Google/NIAがローソンとどのような情報、契約、ビジネスの上で、この商品が成立しているのか?という点と、
・Ingress民がこの商品に対して何をコストとして払っているのかという点。
・これによって、ARG(この手のゲーム)開発者がどのような可能性を得たのか?というビジネス以外の可能性

もちろん、私は開発者ではなく、市中の一般プレイヤーですので、推測の域を出ませんが、ITなりゲームなり、メディアアートやエンタテイメントシステムを研究する側としては見逃せない実験要素があることに気がついています。それを発売から48時間経った現在、明らかにしておきたいと思います。

(1) どこのローソンで買うか?

ローソン公式の「このカードを取り扱っている店舗はこちらから」というリンクで、取り扱い店舗を確認することができます。
これはすばらしいストアチェーンマネジメントで、公式HP上ではこちらのURLへリンクされているようです。
http://store.lawson.co.jp/lw_gadget/index.html?type=2&json=new_json/ingress1
(あたかも…つぎのキャンペーンもありそうなURLですね!)

ローソンの店舗のリストは、そのままポータルのリストでもあるわけですが、今回注目すべき点は「扱っている店舗と扱っていない店舗がある」という点です。ローソンは、フランチャイズですので、ローソンの店長さんや仕入れ担当者が「こんなわけのわからん商品は要らない」と思えば発注する必要はありません。しかし、それが店舗に並んでいる、しかもレジ前というよい場所です。ストアオーナーからすれば、腐ってロスになるわけでもない商品ですが、ほかにもWebMoneyやゲームカード、Amazon商品券、AppleやAndroidのストアプリペイドカード系を並べる場所のかわりに「マチカフェ」変り種のプリペイドカードを置くことには何かしらの利益があると考えます。大した利益がなかったとしても、コンビニ他社に後れを取りながらコーヒーマシンを設置したローソンとしては、少しでもコーヒー利用率、マシン稼働率を上げる貢献ができれば、と考えるのは普通でしょう。

しかし、「取り扱わなかった店舗」はどのような思考なのでしょうか?このようなバーチャル商品には興味がないのか、理解がないのか、それとも近所にはまったくポータルもなく(ローソン=ポータルなのでそれはありえない)、「Ingress民がいない」と認識されているのか、それともIngressが嫌いなのか、コーヒーマシンがないのか。

どうせ買うのであれば、近所のローソンではなく、ちょっと辺鄙な場所にある、お住まいや職場から遠いローソンで買ってみてはいかがでしょうか。理由は後に続きます。

(2) いつ買うか?何枚買うか?

実はこのカードには有効期限があります。上で紹介したプレミアムつきプリペイドカードは初回利用時にアクティベートされる仕組みらしいのですが、今回のIMDCは「購入時より6ヶ月」と明記されています。つまり、購入時にPOSレジ通した瞬間から、完全にトラッキングされているということです。

IMG_4918.JPG
IMDC(Ingressマチカフェドリンクカード)の裏面:Ingressのパスコードに併記され、カード番号、さらにポスレジ用のバーコード、マチカフェWebサイト上で利用できるPINコードが続きます。

コンビニで売っているIngress関連商品が完全にトラッキングされている。

=これはIngress民にとっては新しい体験です。

今までも、Ingressついでに深夜の変な時間にローソンに立ち寄り、Lチキを頬張ったり、トイレを借りたり、立ち読みしながら5分待ったり、カフェを利用したりしてきたわけですが、その行動は自由でした。しかし、今後、Ingress民はすべてこのカードで紐付けられ、記録可能になったということです。すばらしい。

これが意味することは、こういうことです。

・午前0時に並んで買ったのは誰か
・まとめて買ったのは誰か
・まとめて買って誰に配ったのか(ソーシャルグラフ)
・近隣のIMDCがないローソンではなく、そこに移動したのはなぜか?ローソン内ライバル店はどこか?
・Ingress民が現れる時間帯はいつか
・Ingress民は何を買うのか、コーヒーと連携して何を買うのか?
・Ingress民はどんなコーヒーを買うのか?(カフェラテは甘いのがお好きなのかどうか?)
・Ingress民はどの程度の頻度でローソンに来るのか?
・Ingress民はこのカードの残額をどう処分するのか?有効期限内に使いきれるのか?
・(コーヒーは同時に2個は飲めないので)、単身来店なのか?
・ついでに何か買う場合、Ingress民は現金が好きなのか?その他の支払い方法が好きなのか?
・ローソン店員がこのカードを持っている人をIngress民と認識しやすくなる

IngressのエージェントIDはわからないかもしれないけど、NIAとローソンの連携がより強固な連携でポータルハッキング状況との紐付けができると、もっといろんなことがわかります。

・このIngress民は緑か青か?レベルはいくつか?
・このIngress民はポータルオーナーか?
・このIngress民はどんなメダルを獲得しているのか(プレイヤーモデルの分類)
・過去に何回、このローソンを訪れているか?
・IMDCが有効期限後も、ハッキングついでに何か買ったりするのか?
…などなど…(ほかにもありますが)。

つまり、ローソンがIngressと提携以後6ヶ月、知りたくても知ることができなかった、「このお客さんはIngressが目的/刺激になってこの店舗に来たのだろうか?」という最大の謎が、このカードによって紐付けられるということです。これはIngress側も知りたかったことですが、NIAはポータルのハッキング状況や、個々のエージェントがどのような行動をしたかは(ゲーム内ではわかっても)購買行動までは調べられません。またローソン単体では調べようもない情報であることは間違いありません。

「Ingressをプレイする人、しない人」、という境界線のなかに、「自分の個人情報がバレるのが怖い、自宅を襲われそう」というラインがあると思います。

ガチなIngress民は、
・そんなこと気にしてたらこのゲームできない
・自宅とかバレないようにすればいい
・ストーキングされても守ればいい、失うものがない
・他人に恨みを買うようなプレイをしない
といった方法で自己解決/納得してきたとは思いますが、IMDCの購入や使用については、敵エージェントやゲーム内行為ではなく、胴元による消費+行動の分析がさらされていますので、さらに注意が必要かもしれません。あくまでビッグデータの常識から類推した可能性指摘なのですが。

 

(3) タヌキと組み合わせて買うのはきわめて危険な行為

上記(2)はGoogleのポリシーである「Don’t be Evil」(Googleは悪になってはいけない)という原則からすれば、一般消費者は「えーそんなことありえないですよね?」と思いたい、しかしながらGoogleは2013年頃から「Don’t be Evilはばかげている」との方向性を出しています。

もちろん私は開発者としてGoogleのサービスを愛していますし、2000年に初めてGoogleのクローラーボットに出会って以降、Googleのないインターネットなど考えたこともありません。GoogleMaps、IngressやNIAももっとがんばってほしいし、社会(企業ではなく一般のエンドユーザ)への理解ももっと進んでほしいと思い、この長いエントリーを書いています。

そもそもIngressは”エージェント”というスパイ的な存在で、この現実の世界にて隠密活動をしているのではなかったか?

しかし、企業の提携というものは、単体のロジックやポリシー、理念では動かないものです。

たとえば、Tポイントカード、ローソンでいうところのタヌキのロゴの入ったポイントカードについて考えると、規約上このようなことが明記されています。

http://www.ponta.jp/c/rule/

第2章 第2条(個人情報の収集、利用、提供・預託)
当社及びポイントプログラム参加企業は、本章第3条に定める利用目的のため、例えば、以下のような個人情報につき保護措置を講じた上で適法かつ公正な手段により収集・利用します
(1)属性情報 会員が所定の申込書に記載する等により申告した会員の姓名、生年月日、性別、年齢、婚姻の有無、郵便番号、現住所、電話番号、メールアドレス、職業、未成年者の場合、親権者の姓名と親権者等、会員の属性に関する情報(その他申込時、及び申込後に会員から通知を受ける等により、当社が知り得た変更情報を含みます。以下同じ。)
(2)契約情報 入会日、入会店舗、会員番号、会員証の状況等の契約内容に関する情報
(3)ポイント情報 ポイントの付与、利用、残高、利用店舗、会員証の利用履歴等のポイントに関する情報
(4)Pontaカスタマーセンター等への問い合わせに関する情報 Pontaカスタマーセンター等への問い合わせの際の音声情報やEメールの情報
(5)当社のWeb(当社のWebの広告主、広告サービス配信事業者等を含む)及びポイントプログラム参加企業のWebサービスを利用・閲覧した場合の、閲覧したページ、広告の履歴、閲覧時間、閲覧方法、端末の利用環境、クッキー情報、IPアドレス、位置情報、端末の固体識別番号等の情報
(6)モバイル端末による位置情報
第3条に定める利用目的達成のために必要な範囲で業務を当社及びポイントプログラム参加企業が他の企業に委託することがあります。その場合には、当社及びポイントプログラム参加企業は、当該委託業務の処理に必要な範囲で、個人情報の保護措置を講じた上で会員の個人情報を預託又は提供します

つまり、わかりやすいシナリオとしてはこうです。POSレジで、タヌキのロゴの入ったカードとともに、IMDCを買ったとします。そうすると、

[P]いままでの購入履歴
[P]何時にどこの店舗で、何を買ったか?
[P]住所、家族
[I]自宅から最も近いローソンはどこ?
[I]お勤め先から最も近いローソンはどこ?
[P+I]きょうもガーディアンでローソン守ってくれてありがとう、Lチキ新味はいかがですか?
[P+I+Chrome]きのうは新作アニメを検索してましたよね、レジ前サイネージで関連商品をご紹介しますよ!

[P]はタヌキのカードだけで収集できます。情報は株式会社ロイヤリティマーケティングというローソンや三菱商事、リクルートなどが出資している会社が管理収集しています。2010年時点で7000万人の会員がいるようです(Ingressのプレイヤー人口の比ではありませんね!)

しかし、オンラインショッピングをしているわけでもないユーザのデジタル+アナログ世界での行動や習慣データを収集することはなかなか難しいです。例えば、朝夕の購入データから「お勤め先や通勤路」を個々のユーザに推測することは可能かもしれませんし、朝は「コーヒー+パン」なのか「コーヒー+おにぎり」なのかは調べることは簡単ですが、このユーザが「ローソン以外のコンビニに行かない保証がない」ので、その精度は低いものになります。

しかし、Ingress民は「コンビニ?ローソンか、それ以外か」という感覚ですよね。

[I]はIngress単体でもわかる情報です。朝夕のソジャナメダルの獲得のために、多くのIngress民が自宅近隣のポータルでその日最初のハッキングを行い、職場近隣のポータルでしばしスキャナがオフラインになります。そして再度そのポータル近隣で昼休みを過ごし、ローソンや近くの飲食店に行き、帰りは最寄の駅から自宅最近隣ポータルに向かって帰宅し、最後は動かなくなります(眠っている)。

なお、地価やお勤め先の住所から、年収を推定することも不可能ではありません。むしろ、ほかのアプリやGoogleのほかのサービスより、Ingressのほうが適切にその人のアナログ世界での行動を把握しているかもしれません。

さらに[P+I]がIngressとタヌキの連携で達成できる広告・マーケティングの一例です。

[P+I+Chrome]はIngressとGoogleのサービスが結合し(技術的には何の壁もありません、現在のIngressの規約上では読み方によっては利用可能ではある)、ローソンでのターゲット広告に利用した例です。

 

じゃあどうすればいいの?

もはや、これはSFではありません。

あなたの見ている世界が、私の書いたBlogでの妄想と異なるなら、認識は変えたほうがいいかもしれません。

私たちがタヌキのカードを利用して、個人情報を数円の報酬に変換していることを知らなかったのでしたら、まずはそこは知っておいたほうがいいと思います。

無料でプレイできるゲームが、原価がゼロ円で作られているわけでもありませんし、運営にもコストがかかります。さらにいうとローソンもGoogleも私企業ですから、株主が「利益を出せ」と開発・運営側に迫れば多少のプレイヤーは減っても、規約の変更や、マーケティングへの利用やマネタイズは可能であるし、そのためのテストを行う時期に来ているという認識を持つべきであると考えます。

「これはまさにエンライテンドとレジスタンスのXMというビッグデータをめぐるゲームなんだね!!」

と開き直って遊ぶのもありだと思います。

日本のゲームプレイヤはコミュニティ温情派が多いので、「IMDC導入を機会にこのゲームから去るぜ!」という人は少ないように思います。

(それも含めて調査できてしまうのが今回のコード商品の難しいところです)

そもそもXMの正体は、Wifiや携帯電話網のパケットの残りかすだという説もあります。

Ingress民にはおなじみの「WifiをONにするとGPSなしでも位置推定ができる技術」には、WifiのMACアドレスと電波強度とGPSのヒントをひもづける必要があります。iOSでもAndroidでも同じような技術が実装されていますし、GPSはAndroid標準化では最低限実装しなければならないデバイスのひとつとなっているそうなので、腑に落ちる点が多くあります。そもそも我々はXMやポータルを追いかけて、世界中のエージェントとこの世界を旅する以上、避けて通れない問題なのかもしれません。

そういえば、日産のLEAFもシリコンバレーの研究所で、だれが、どんな走行をして、どこからどこを往復して、どこで給電して、どこが壊れそうで、これはいつものドライバーとは違って…といった情報をビックデータ化し、APIとして外部に公開するサービスに展開するという計画が発表されていました。

■ IVR展2015に行ってきた/日産とコマツの特別講演拝聴録
http://aki.shirai.as/2015/06/nissan-komatsu-ivr2015/

IoT時代はこのような非IT分野のプレイヤーが、いったんエンドユーザ、ビッグデータを経由して、IT経由で何かの利益を回収するという仕組みが一般化していくのかもしれません。
そのような時代に、
・俺の個人情報だ!
・公共のために
・悪の企業め!
なんてことを言っていると、頭がおかしいと思われるのか、それとも、みんな肯定してしまうのか。
私が2009年頃、某国の科学館で開発した展示物にはそのあたりの「情報科学技術の未来、危惧と選択」が設計として深くディスカッションされていました。
おもったより、審判の時代は早く来てしまったのかもしれません。それも空間情報科学の最先端のエンタテイメントシステムで。

はやくAPIを公開してほしい。

2014年11月ごろ、IngressのようなARGを開発する開発者(おそらくインディではなく業として開発をおこなう”社”)むけに、APIの公開がされるという話がありました。GDCでも小規模ですが発表があったようです(Unity向けのAPIなど)。個人的な要望に聞こえるかもしれませんが、IngressAPIが悪意や私企業の利益活動のためだけではなく、一般に広く公開され、「面白いゲームや体験を開発して、エンドユーザの利益につなげる」ということが重要と思います。そのループ、エコシステムがなければ、いずれ、ブームはブームで終わってしまうと思います。

私はIngress大好きだし、メディアアートの産業化については、どんどん進めていきたいし、ビッグデータの社会利用はどんどん進むべきだと考えています。
しかし、私企業(国家や行政ふくむ)が企業の利益のために、ごくごく少数の担当者の判断で設計されていく仕組みは、あまり健康ではないように思います。

私もエンタテイメントシステムの開発者ではありますが、今は何もできません。

 

いや、学者として、皆さんにこの情報科学技術と社会の科学について、新しい知や視点を提供するしかありません。

エンライテンドのみなさんや、レジスタンスのみなさんが、ただ野蛮にエネルギーを消費して陣取り合戦に勤しむのではなく、

無知のままではなく、人類を新たなステージに、鬩ぎあいながら、引きあげていくのが正しい姿とおもい、筆を執りました。

 

最後にNIAやIngress開発、運営、ローソン方面の方々、
Ingressをプレイするすべてのみなさん、
この長い妄想を最後まで読んでくれた人、
マチカフェカードを買ってプレゼントしてくれたエージェントさんに感謝の気持ちを述べて、筆をおきます。

NIAのエージェントが私や私のスキャナのアカウントを抹殺しないことを祈りつつ…。 Happy Hacking。

 

【関連記事】

■代替現実ゲーム「Ingress」で魅力的なまちづくり ―プレーヤーも、観光客も、地域住民も喜ぶためには Part1 ゲームが観光客を連れてくる!?(Web観光政策フォーラム)

https://www.kankou-seisaku.jp/ksk/jsp/kankous/st?n=87&d=1

■書籍企画書公開「ゲームが世界を動かす!『INGRESS』」(仮題)
http://aki.shirai.as/2015/05/ingress-a-game-which-moves-the-real-world/

■相模Ingress部

http://ingress.sagamiharacitymuseum.jp/

■SlideShareより