がんばって探せ、されば報われる。

就職活動継続中。
ここ数日は企業向けの活動が中心です。
さて何で「今さら企業で働きたいか」というと…
・大学教授になるには早いと思っている
 就任時35歳。准教授としては悪くない年齢。
 でもあと15~20年(しかも場所によっては期限付き&更新なしポスト)で
 同じ場所で働き続けられるか…というと疑問がある。
 研究の内容的には5~10年は先を行っているだろうけど、
 世の中の変化のスピードに大学教員というポストがついていけるか?
・工学/ものづくりは企業のほうが経験になる、絶対的な「環境」の違い
 「工作室もない、相談できるプログラマもアーティストもいない環境」
 …という環境が耐えられるか?
 全部自分でゼロから作り上げていく、という経験をこれ以上重ねたくない。
・しかも世の中に実際に使われる可能性が大学研究室よりも高い
 プロトタイプやデモ、論文は日本の大学研究者にとってのゴール。
 でもそれは本当に人類の明るい未来に貢献できるのか。
 おもちゃを作るのは楽しいが、その楽しみのために自分の人生に
 限界を設定してしまうのは、なんだかつまらない。
・「ひとりでできる」に限界を感じている
 もちろん自分自身の「個人の能力」は常に高めていますし、
 自立心、「一匹狼的思考」も持ち合わせてはいます。
 しかし!冷静に考えてください。
 今後のインタラクティブ業界は、本当に、ひとりで物が作れるんでしょうか?
 コンシューマゲームを例に挙げるまでもなく、
 プログラムもハードウェアも人々の巻き込み方も、どんどん規模が大きくなっています。
 「スタンドアローン思考」は、もう限界かもしれない。
 私は笑顔でにこやかに仕事するのが好きです。
 人と話をするのも聞くのも好きです。
 信頼感を得て、ともに働くのが好きなタイプは、
 ハードもソフトもアートも国際も判る、経験がある人は、
 やはり『ひとりでできるもん』というレベルから脱していかなければ、
 世の中のためにならないんではないかと思うんです。
 私が勝手に思っているだけなんですけど。
 まあ「インタラクティブ2.0的思考」とか勝手に名づけておきます。
 ☆せめて2.0名以上、5.0名ぐらいはスペシャリストがいるチームがいいかも。
・「人を育てる」のも魅力ある、しかしそれは研究室でなくてもできる。
・大学は2−3年で学生が入れ替わってしまう(結構大きな理由)
 人を育てるのは本当に楽しい。
 たぶん、向いてもいるだろう。
 しかし、その出口が「卒業」であり、その先が「企業」であり、
 その中のプロジェクトで活躍することなのであれば、なんか違う。
 「人を育てる」のは、できれば「一緒に働くために」育てたいと思う。
 (もちろん論文の共著者として育てる、というのはありですが)
・異業種、異文化、革新的、スピード、どれをとっても大学よりは企業のほうが(テンポ的に)向いている。
 日本の大学は「同業者、同文化、保守的、できればゆっくり」という文化。
 断定したくはないが、大多数はそういう文化です。
 (否定する人は、連絡求む。with募集要項。)
 さらに日本の大手企業の研究所も、より厳しいけど、路線は近かったりする。
 「厳しい環境に身をおく」というのが全面的に好きなわけじゃないし、
 最近は日本の研究ポストも結構厳しい。少なくとも「ぬるま湯」ではない。
 でも、事務的・内部抗争的なストレスを高めるぐらいなら、
 「学内で一番」ではなく「世界で一番」を目指してほしいと思う。
 事務方/事務仕事は、そのためのサポートを全力でする、という位置づけであるべき。
 できればそういう場所で働きたい。
以上、大学の大きさやミッションにもよるけど、
数年の経験の後、だんだんそう感じるようになってきた。
だからいまのところ第一希望は企業。
しかもR&Dがちゃんとできるところ希望。
もちろん子供二人育てているので、給料もしっかりもらえるところ希望。
日本企業も3年前よりはずいぶんと魅力的になってきたと思う。
(というか格差社会、企業格差は確実に広がっているように思う)
そうでなければ、本当に責任持てる人(部長クラス・学科長クラス)が、
直接私を口説いてください。
その人にカリスマがあり、私が信頼できると思えば、
多少条件が合わなくても「経験として」一緒に働いてみたいと考えています。
むしろ、そのために履歴書出したり、試験を受けたり、面接を受けにいったりしていると思います。
ところで。
2000-2003年に、SCEが任天堂に打ち負かされるなんて、誰が想像したでしょう?
しかしいま、すごい勢いでSONYグループから同業他社に人が流れていますね。
たとえばSONY→Canonなど、かつてとはまったく逆の方向に。
SONY社員をどうこう言う気はないんですが「沈む船センサ」が働く人は逃げたらいいし、
「膝まで沈むまで耐える」人は耐えたらいいと思います。
どっちにしろ、個々のエンジニアにとって、給与や生きがい、プライオリティは違いますし。
ただ、あっけなく某・東アジアのライバル企業とか、同業他社とかに身売りする人は、
自分の人生でも「何か大事なもの」を売ってしまったと思ったほうがいいかもしれないですね。
売ってお金になるうちに売った、という表現が正しいかもしれませんが)
あと
「レヴォリューション」といえば聞こえは良いんですが、
やはり「堅実に革新を継続」という経営判断ができる場所でなければ、
革新的な研究開発は続けられないし、新製品も個性が生まれない。
「2番手でいいや」という企業はいままでいっぱい見てきたけど、
「2番手→1番を目指す」という方向性とタイミングが重要。あと謙虚さ
でないといつでもひっくり返される。日本はそういう世の中になってきた。
なんだか矛盾しているようですが、それだけ難しいことを経営者は要求されているわけですね。
もちろんこれは経営トップから係長ぐらいまでがそういう意識でないと成立しませんが。
さて。
大学が滑り止め、というわけではないし
受けたところはどれも自分に向いているところだと思います。
ただ、その中の社会が自分に向いているかどうかは外からはわかりませんし、
こればっかりは「縁なもの」なのだと思います。企業もそうですが。
そんなわけで、ここから先は
「私の都合」というよりも一旦、
「受け入れる側の都合」というフェーズになってくることでしょう。
無責任なようですが、
働くことが決まった職場では、いつも死ぬ気でがんばってます。
これからも責任持って「運を天に任せたい」と思っています。
ところで企業への再就職、つまり私の場合は転職ですが、
ヒューマンインタフェース、VR、リアルタイムグラフィックス、人間科学、というカテゴリは
けっこうニッチで、なかなか一般の転職支援サイトでは見つかりません。
ここ数年で転職市場も大きく変わってきたなあという感覚は…
・ゲーム会社を検索すると、パチスロ関係と携帯関係がほとんど。
 さらに"まともな給料"で契約じゃない雇用形態だと、必然的にパチスロになってしまいます。
・IT系は裾野が広い
 冷静に考えると、Webプログラマとして普通に飯が食えるスキルがあるようなので、
 「生きていけないかもしれない」という恐怖はないんですが、その後の行き詰まりは早そう。
 それぐらいなら大学教員で研究よりの仕事目指してがんばったほうが、長い残りの就業人生ではプラスかも。
 それに、とにかく給料の幅が大きい業種です。
 やっぱりこれも成果やスキルを見積もるのが難しいんではないかと思います。
 「儲かっている会社=給料安い、契約社員」という、一定の損益分岐ラインが存在する。
 でももし死ぬ気で働くなら、そのカテゴリはやめたほうがいいと思う。事故死/過労死できるから。
・メーカー系でマルチメディア
 けっこうこの種類の業種は増えてきたように思います。
 しかもIT系と違って、(転職市場的に)業務経歴から簡単にスキルが見積もれるわけでもないので、
 「PhD+海外経験者」という日本の転職市場における「イリオモテヤマネコ」な私は、
 イリオモテヤマネコが「普通の猫と見分けがつかない場所」にいくべきではないと思う。
 むしろ「外産種がいてもおかしくない」ような、動物園みたいな場所のほうが向いているかもしれない。
・企業間の速度の違い
 人事・採用を通して「企業間の速度の違い」というのを目の当たりにしています。
 これは実は企業の大きさとはあまり関係なく、大きく違いますね。
 有名/老舗メーカーは転職支援サイトでもエージェントサービスを利用して、応募者をふるいにかけ、
 さらにそこから社内人事部で選考するので、軽く2−3週間はかかります。
 そんな状況でも、エージェントに頼らず、社内のHR部門が高速にプロフィールや履歴書、
 職務経歴書を読み解き、即座に「つば付け」ができる企業というのはキラリと光っています。
 こういう企業は、海外からの応募でもWelcome!といった感じで、場合によっては
 「書類→技術面接→筆記→役員面接」というプロセスを短縮してくれたり、
 電話インタビューで選考してくれたりといった対応をしてくれます。
 「評価してもらえる」ということに「応えねば」というモチベーションが出てきます。
 こういう人事スタイルの会社は(もちろん大学も)、社内でもその「熱さ・速さ」を大事にしていることでしょう。
またアメリカのシリコンバレー付近の会社の場合、
やはり人獲り文化が違うなあ、と感じました。
エンジニアやR&Dというポストのせいもありますが、
まず「雇ってやんよ」という感じでは扱われません。
つまり落選したからといって「めっちゃ不快」という感想を抱くことが少ない。
というかそういう会社は最初から返事こないし。無視ですスルーです。
そもそもレジュメを読んでない/読めてない/興味ないのかもしれませんが。
直訳すれば、こんな感じの「不採用通知?」が来ます。
――あなたの過去の経歴、スキル経験に感銘します!
非常に興味深い!
ですが残念なことに、いま我々はあなたにピッタリなポストを持ち合わせていない。
今ちょうど○○(具体的なスキル名)でPh.Dを取得した人材を必要としていて、
ちょうどここ最近、数名採用してしまったところなんです。
また連絡を取り合いましょう――

…という感じです。これも会社のサイズによらず数社。
まあ人材を選ぶ相手がエンジニアだったら(だいたいCTOが多い)、
日本でもそういう反応かもしれませんけどね。
とにかく落とすからには「さわやかに受け入れられる理由」があると、報われますよね。
まあ、長々知ったようなことを書いてしまいましたが、
この2週間ほどで、何十件も応募しているわけです。各国語で。
もちろんいい話も舞い込みますし、非採択通知もたくさんもらいます。
日本の企業はおおむね玉虫色の回答をしますが、
まあ『これはダメなんじゃないかな』と理解しておいたらお互い幸せなんじゃないかと思います。
そこはそれ、「縁なもの」なので、お付き合いしますけどね。
仮に大学の先生になったら、共同研究したらいいわけだし、
卒業学生のインターンや、就職先など、いくらでも付き合いはあるでしょうから。
そんなわけで、就職活動。
今週のフェーズは「がんばって探せ、さすれば報われる」といったところなのでした。