国際会議査読タイムアタック

エンターテイメントコンピューティングの国際会議「ICEC2009」、
今年はフランス・パリで開催なんだけど、自分、参加できないんだよね・・・。

流れ上、プログラム委員会を引き受けてしまったので、査読を行う。

easychair.orgという不思議な国際会議運営システムを使っている。
SSL証明書が古いのは勘弁して欲しい、最初はフィッシング詐欺かと思った。

それはそれとして、システムがコンピュータサイエンス系のガチな感じの研究者が
エイヤッとつくった感じがする。
・画像がほとんど出てこない
・自分の興味のある分野を選択すると
・自動的に論文が割り当てられる
・締切が近くなると催促が来る
・コマンド行などが含まれるテキストファイルを編集してアップロードするとパーサーが解釈
・他の査読者が読んだ結果なども届く
…なかなか良い感じじゃないですか。
この仕組みだと飛行機とかの移動時間とかに査読する先生は嬉しいですね。

先日、某みやた先生が「ある有名若手研究者に査読依頼したら1時間で返ってきた!」という話があったので、タイムアタックに挑戦してみた。

1本目は、ポルトガルの音楽ロボティックアート系の論文。
論文の9割が哲学になっていて、人名から他のプロジェクトを調べるのに時間がかかった。
ジョン・ケージの「4分33秒」とかを引用し始めたら、何でも有りになってしまうではないか。
そして英語も酷い。
残念ながら頑張って読んだ割に査読結果は良くない。「惜しくも不採録」とした。引用すべき引用もたくさん与えられたので私としては、心残りはない(多少勉強にはなったが)。
後から届いた他のレビューは「まるっきり不採録」だったのでよしとするか。
ラップタイムとしては2時間。やはり哲学引用されるとコメント作成するのにも時間かかる。

全然関係ないが「初音の4分33秒」というニコ動があって笑った。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1088800
ジョン・ケージ再誕なかんじ。

2本目は、中国から分散レンダリングファームのシステムデザインについて。
詳細を書くとまずいのですが、予想していたような論文ではなかった、良い意味で。
アーキテクチャーについての細かい話と言うよりは、どのような理由でこのような設計になっているのか、を短く丁寧に話している。もっと丁寧でも良いぐらいだと思った。分散レンダリングの論文は多くが「タスクマネジメント」とか「メモリ最適化」とかに結論が落ち込む事が多い。たしかにそーなんだけど、そんなら最初からコンピュータサイエンス系の学会に出せよな、という読後感が走る。というかそれなら、レンダリングの話じゃなくて、自動改札のロードバランス制御の話だって通じるっちゅうねん、という読後感かもしれない。
ま、それはともかく、この論文は、フレキシビリティとか××保証型(論文の中身に触れるため割愛)な設計なのである。「フレキシビリティ」とか言うと『えー無理でしょ』とか思うんだけど、論文の中ではMayaレンダラーによるアニメーションと、Blender Foundationの「Big Buck Bunny」というオープンソースなアニメーション作品をちゃんと実験に使っているのがすごかった。クラウドとかボランティアコンピューティングとか次世代にはいろいろ出てくるだろうから、このフレキシビリティを評価するのは大事なことだね。

「Big Buck Bunny」について日本語解説その他
http://hyper-ball.blog.so-net.ne.jp/2008-05-25

アムダールの法則(Amdahl’s law)とか地味に検算しちゃったよ
http://ja.wikipedia.org/wiki/アムダールの法則

ちなみに査読時間は2時間ちょい。コメント入力込み。
検算自体にあまり意味はなかったが、やはり1本あたり2時間きるのはきついな。

でも「うーんうーん、査読めんどくさいな・・・寝かそう」という心理で積み上げるよりは、
Wii本の執筆の息抜きに他人の著作を読む、しかもタイムアタックで!というほうが
すっきりさわやか読めました。

あ、まだ和文査読が・・・これは気分が良いときに読む予定。

明日は息子の入学式です。
執筆に戻ります。